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高級品しか受けつけない (水月+ハル・ネザメ・ミフユ・シュカ・カサネ・リュウ・クンネ)
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昼休み、鞄を開くと内ポケットから小さな顔がひょっこりと現れた。
「……!? 嘘だろ、出る前にしっかり確認したのに……いつの間に入ったの? お見送りしてくれてなかったっけ」
《ミツキ! 出ていいか?》
「なんで着いてくるかなぁ、俺のこと好きなの? ふふ……おいで」
手の中にクンネを隠して持ち上げ、胸ポケットに移ってもらった。座り心地を整えているのかもぞもぞと動いていてくすぐったい。
「リュウ、悪い、購買行くならクンネの分も買ってきてくれないか? 何か適当に、おにぎりとか……」
「ほーい」
「くんちゃん今日も来てるの~?」
「着いてきちゃったんだよ」
リュウにクンネの分の昼食を頼み、俺は他の彼氏達と共に生徒会長室へ向かった。階段の影に隠れていたカサネと合流し、 部屋で待っていたネザメとミフユにアキが明日退院することを告げると、予想通りネザメは迎えに着いていきたいと言い出した。
「早く元気な顔をまた見たいと思っていたんだよ、お腹を刺されてしまったなんて……とても心配だったからね。是非、僕も混ぜて欲しいな」
「もちろ~ん! アキくん喜びますよ~。ね、みっつん」
「あまり大勢で押しかけては迷惑にならないか? 病室まで行くのは親族の鳴雷一年生だけにして、我々は病院の前で待つべきです。ネザメ様」
「そうだねぇ」
「かるーくお祝いしようって、近くのカフェでお茶でもしよーって話になってるんですけど~、そこで待ちます?」
「む……どういった店だ?」
ハルはスマホで店舗情報を調べ、ミフユに見せた。熟読を始めたミフユはしばらくして眉を顰めた。
「……ネザメ様には少々相応しくないな。もう少しグレードの高い店はないか?」
「え~、安い店は不味い訳じゃないですよフユさ~ん。いいじゃん安くてもぉ……ねぇザメさん、ザメさん高い店じゃなきゃ嫌なんですか~?」
「もちろんそういう訳ではないよ。僕は何でもいいのだけれど……」
「何もミフユも値段だけを見ている訳ではない。豆の品種を見てみろ霞染一年生」
「……? 品種なんか見ても分かんないですよ~」
「む、そうなのか。よくカフェがどうとかと話しているから堪能なのかと思っていたぞ。その豆は渋味が強いことで有名だ、ネザメ様の口には合わん。そも、コーヒーを売るに当たって豆の種類をある程度揃えないような店にコーヒーを売る資格はない」
「厳し~……」
「ミルク、砂糖、コーヒーをそれぞれ4.4.1で飲む鳴雷は飲む資格ないとか言われそう」
「セイカ、シーッ!」
超絶美形は涼しい顔でブラックコーヒーを飲み干せるものだ。それが出来ないだなんて知られたくない。
「じゃあもうフユさん店選んでくださいよ~」
「ふむ……しばし待て」
マップアプリを使うつもりだろう、ミフユはスマホを持った。
「すまないねぇいつも……ミフユは妙に高級志向でね。考えなしに高いものばかり選んでいる訳ではもちろんないし、何より僕のためだ。悪く思わないでやっておくれ」
「別に悪いように思ってはないですよぉ~。ねぇ?」
「あぁ、ネザメさんのこと大切にして、色々よく考えてるんだなって微笑ましくなってます」
「どうせなら高いもの奢って欲しいので、高級志向は歓迎です」
「しゅー……アンタ……」
ハルがシュカに呆れ顔を向け、ネザメがそんな様子を眺めてくすくす笑う。
「ミフユは高級志向ではない。ネザメ様の口や肌に合うものを選んでいるだけだ。ネザメ様と相性のいい食品、製品であれば値段は問わない」
「高いもんしか受けつけない身体って訳ですか」
「……言い方には不満があるが、まぁ、そうだな。丁寧に作られたものは自然と値段が上がるものだ」
「おやおや、僕のせいかい?」
「いえ! ネザメ様に責任など……! 安価な良品を探し出せないミフユの怠慢です!」
「いい店見つかりました~?」
「病院の半径1km以内にネザメ様が訪れるに足るカフェはないな」
「ミフユの基準は厳しいからねぇ……それならもう家に呼んでしまおうよ。そんなに遠くはないだろう?」
「そうですね、それならネザメ様に外出の必要はありませんし……お茶とお菓子の発注をしておきます。何人来るんだ? 霞染一年生」
「えーと、俺としぐしぐ……せーかも。で、みっつんとアキくん。コンちゃん?」
「荒凪くんとクンネの分もお願いします。あ、クンネのは半人前で……レイも来たがるだろうし、先輩はどうします?」
「いい……」
カサネは小さく首を横に振った。本当にミフユが苦手なんだな、まぁ顔を合わせる度に説教されていればそうもなるか。
「私も行きます」
「アンタ嫌っつってたじゃん」
「私の分は三人前用意してください」
「なんって現金なヤツ……! いいもん食えそうになったらこれとか、最低だってみっつん! フユさん! ちょっと怒った方がいいってこれ!」
「ふむ……鳥待一年生、即物的な態度はいただけないな」
「そうかい? 素直で可愛らしいじゃないか」
「そうですねネザメ様。鳥待一年生、貴様のその素直さは長所だ」
「すっげぇ手のひらドリル。従者様には自分の考えってものがないのかね」
「かさねんマジそれ! しっかりしてよフユさぁ~ん!」
そろそろ俺が口を挟んで雰囲気を和らげるべきかと狙っていると、扉が開く音がして彼氏達全員の視線がそちらに向く。
「おまたせ~。オムおにができたてで……な、なに? なんでこないにこっち見とるんみんな」
ナイスタイミングだ、流石リュウ。
「いやいやなんでもないよ。お疲れ様、リュウ。何買ってきたんだ?」
「オムライスおにぎり」
「オムライスおにぎり!? ま、また変わり種だな……でも全体的に味ついてていいのかな? クンネ、リュウがご飯買ってきてくれたぞー」
軽い揉め事などなぁなぁで流れてしまうようにと、俺は普段より声を張ってリュウやクンネと話した。その甲斐あってか彼氏達の興味はオムライスおにぎりや、小さいために全ての仕草が可愛らしいクンネへと注がれ、誰もがシュカとミフユの手のひら返しの見事っぷりを忘れた。
「……!? 嘘だろ、出る前にしっかり確認したのに……いつの間に入ったの? お見送りしてくれてなかったっけ」
《ミツキ! 出ていいか?》
「なんで着いてくるかなぁ、俺のこと好きなの? ふふ……おいで」
手の中にクンネを隠して持ち上げ、胸ポケットに移ってもらった。座り心地を整えているのかもぞもぞと動いていてくすぐったい。
「リュウ、悪い、購買行くならクンネの分も買ってきてくれないか? 何か適当に、おにぎりとか……」
「ほーい」
「くんちゃん今日も来てるの~?」
「着いてきちゃったんだよ」
リュウにクンネの分の昼食を頼み、俺は他の彼氏達と共に生徒会長室へ向かった。階段の影に隠れていたカサネと合流し、 部屋で待っていたネザメとミフユにアキが明日退院することを告げると、予想通りネザメは迎えに着いていきたいと言い出した。
「早く元気な顔をまた見たいと思っていたんだよ、お腹を刺されてしまったなんて……とても心配だったからね。是非、僕も混ぜて欲しいな」
「もちろ~ん! アキくん喜びますよ~。ね、みっつん」
「あまり大勢で押しかけては迷惑にならないか? 病室まで行くのは親族の鳴雷一年生だけにして、我々は病院の前で待つべきです。ネザメ様」
「そうだねぇ」
「かるーくお祝いしようって、近くのカフェでお茶でもしよーって話になってるんですけど~、そこで待ちます?」
「む……どういった店だ?」
ハルはスマホで店舗情報を調べ、ミフユに見せた。熟読を始めたミフユはしばらくして眉を顰めた。
「……ネザメ様には少々相応しくないな。もう少しグレードの高い店はないか?」
「え~、安い店は不味い訳じゃないですよフユさ~ん。いいじゃん安くてもぉ……ねぇザメさん、ザメさん高い店じゃなきゃ嫌なんですか~?」
「もちろんそういう訳ではないよ。僕は何でもいいのだけれど……」
「何もミフユも値段だけを見ている訳ではない。豆の品種を見てみろ霞染一年生」
「……? 品種なんか見ても分かんないですよ~」
「む、そうなのか。よくカフェがどうとかと話しているから堪能なのかと思っていたぞ。その豆は渋味が強いことで有名だ、ネザメ様の口には合わん。そも、コーヒーを売るに当たって豆の種類をある程度揃えないような店にコーヒーを売る資格はない」
「厳し~……」
「ミルク、砂糖、コーヒーをそれぞれ4.4.1で飲む鳴雷は飲む資格ないとか言われそう」
「セイカ、シーッ!」
超絶美形は涼しい顔でブラックコーヒーを飲み干せるものだ。それが出来ないだなんて知られたくない。
「じゃあもうフユさん店選んでくださいよ~」
「ふむ……しばし待て」
マップアプリを使うつもりだろう、ミフユはスマホを持った。
「すまないねぇいつも……ミフユは妙に高級志向でね。考えなしに高いものばかり選んでいる訳ではもちろんないし、何より僕のためだ。悪く思わないでやっておくれ」
「別に悪いように思ってはないですよぉ~。ねぇ?」
「あぁ、ネザメさんのこと大切にして、色々よく考えてるんだなって微笑ましくなってます」
「どうせなら高いもの奢って欲しいので、高級志向は歓迎です」
「しゅー……アンタ……」
ハルがシュカに呆れ顔を向け、ネザメがそんな様子を眺めてくすくす笑う。
「ミフユは高級志向ではない。ネザメ様の口や肌に合うものを選んでいるだけだ。ネザメ様と相性のいい食品、製品であれば値段は問わない」
「高いもんしか受けつけない身体って訳ですか」
「……言い方には不満があるが、まぁ、そうだな。丁寧に作られたものは自然と値段が上がるものだ」
「おやおや、僕のせいかい?」
「いえ! ネザメ様に責任など……! 安価な良品を探し出せないミフユの怠慢です!」
「いい店見つかりました~?」
「病院の半径1km以内にネザメ様が訪れるに足るカフェはないな」
「ミフユの基準は厳しいからねぇ……それならもう家に呼んでしまおうよ。そんなに遠くはないだろう?」
「そうですね、それならネザメ様に外出の必要はありませんし……お茶とお菓子の発注をしておきます。何人来るんだ? 霞染一年生」
「えーと、俺としぐしぐ……せーかも。で、みっつんとアキくん。コンちゃん?」
「荒凪くんとクンネの分もお願いします。あ、クンネのは半人前で……レイも来たがるだろうし、先輩はどうします?」
「いい……」
カサネは小さく首を横に振った。本当にミフユが苦手なんだな、まぁ顔を合わせる度に説教されていればそうもなるか。
「私も行きます」
「アンタ嫌っつってたじゃん」
「私の分は三人前用意してください」
「なんって現金なヤツ……! いいもん食えそうになったらこれとか、最低だってみっつん! フユさん! ちょっと怒った方がいいってこれ!」
「ふむ……鳥待一年生、即物的な態度はいただけないな」
「そうかい? 素直で可愛らしいじゃないか」
「そうですねネザメ様。鳥待一年生、貴様のその素直さは長所だ」
「すっげぇ手のひらドリル。従者様には自分の考えってものがないのかね」
「かさねんマジそれ! しっかりしてよフユさぁ~ん!」
そろそろ俺が口を挟んで雰囲気を和らげるべきかと狙っていると、扉が開く音がして彼氏達全員の視線がそちらに向く。
「おまたせ~。オムおにができたてで……な、なに? なんでこないにこっち見とるんみんな」
ナイスタイミングだ、流石リュウ。
「いやいやなんでもないよ。お疲れ様、リュウ。何買ってきたんだ?」
「オムライスおにぎり」
「オムライスおにぎり!? ま、また変わり種だな……でも全体的に味ついてていいのかな? クンネ、リュウがご飯買ってきてくれたぞー」
軽い揉め事などなぁなぁで流れてしまうようにと、俺は普段より声を張ってリュウやクンネと話した。その甲斐あってか彼氏達の興味はオムライスおにぎりや、小さいために全ての仕草が可愛らしいクンネへと注がれ、誰もがシュカとミフユの手のひら返しの見事っぷりを忘れた。
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