ポチは今日から社長秘書です

ムーン

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お盆

みっかめ、いち

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ギャグボールが外されたが、口が閉じない。着せられていた縄を解かれたが、体のどこも少しも動かない。

「おはよう、ポチ」

昨日、俺は緊縛され言葉まで奪われたまま極太バイブで腸内を蹂躙された。朝食前に限界を迎えた身体を夜通し責められ続け、精神も限界を迎えているらしく、雪兎の顔に焦点を合わせることも難しい。

「バイブ抜くよ」

「ぅ……? あっ!? んんんっ……! んぉっ、おっ……ぉおおおぉおっ! ぁ、あぁーっ……! あ、ぁ……ぁ」

蕩けて痺れて快楽で壊されたはずの身体がまた快楽を与えられて仰け反った。唾液すら留めていられない口の奥の奥から野太い嬌声が上がり、色々見えているはずなのに何も見えない視界がバチバチと明滅した。

「わ、見て、どろどろ」

感じていた通りイボだらけの極太バイブは透明の液体に覆われているらしい。事前に塗られたり流し込まれたりしていたはずのローションよりも俺の腸液の方が多いだろう。

「これで二日目は終わりだね。まぁ、昨日の晩ご飯の後には終わってたんだけど……気分的にね。僕今日は部屋にも居られないんだ、三日目は休憩の日、ゆっくり休んでね」

「……ぁ、い」

後孔が開きっぱなしになっている気がする、閉じないと。雪兎が部屋を出ていくみたいだ、ついて行くか見送るかしたい。身体が動かない。声も出ない。

「ばいばい!」

「ゅ……ぃ……」

バタンと扉が閉じる音がして俺は考えを改める。限界を迎えているのは身体だけで、心は限界を超えて雪兎を想っていられているのだと。


雪兎が部屋を出た後、快楽から解放された身体は少しずつ回復してある程度動けるようになってきた。起き上がるのはまだ難しい、しかし腹が減った、ぐぅぐぅ鳴り始めた。

「…………喉痛い」

ギャグボールを咥えさせられていたせいで顎がだるいし、唸り続けていたせいで喉が痛い。あまり噛まなくていい柔らかいものを食べたいな。

「おっはよぅ! ヤられ過ぎてやべぇって聞いたが具合どうよ」

足に力が入るようになりそうにないし、這いずって内線の元まで行こうかと考え始めた頃、扉が開く音と元気な声が聞こえてきた。

「ぁ……?」

「おいおい真尋ぉ、そんな大っぴらに裸で寝てたら逆にエロくねぇぞ」

俺の顔を覗き込むとてつもない美顔、雪兎に髪型と瞳が赤いこと以外は酷似している彼は雪兎がほとんど見せることのない屈託のない笑顔を浮かべていた。

「雪風……」

「朝飯食ったか?」

雪兎の父親であり、俺の恋人でもある雪風だ。俺は雪兎の前では犬だが、雪風の前では一人の人間になる。

「よかった、俺もまだなんだよ、一緒に食おうぜ」

「……今日休みなのか?」

「おぅ、今日から盆休み! 予定よりちょっと早かったかな? ちょうどいいっつって雪兎にお前の世話するよう頼まれたんだよ」

雪風は話しながら俺を引っ張り起こす。流石は大人、雪兎と違って力強い。手をグッパッと動かして身体の動きを確認していると雪風に胸元をするりと撫でられた。

「射精させる以外なら何してもいいんだってな」

「…………マジかよ」

「今日はたーっぷり雪風さんと遊ぼうなぁ真尋ぉ~!」

今日は手錠をかけられていない、貞操帯は鍵がなければ外れないからだろう。改めて自由と不自由を実感した俺はまず俺を挑発している雪風を抱き締めた。

「……へっ? 真尋っ……? い、いや、俺はいいんだけどな? いつでも大歓迎なんだけど、でも、ほら、朝飯が先だろ?」

照れながら遠慮している雪風の耳元で囁く。

「…………あぁ、飯食ったらたぁーっぷり遊ぼうな、雪風」

ついでに耳にキスをしてやると雪風は甲高い声を短く上げ、へにょへにょと崩れ落ちた。造作もないな。
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