ポチは今日から社長秘書です

ムーン

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お盆

せんじょう、よん

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感涙にむせぶほど美しい肢体はまだ子供のものだ。狭い肩幅や細い腰に危うさがある、少年らしさのある肉体だ。

「……ユキ様?」

服を脱いだ雪兎は収納棚を漁り始めた、新しい玩具だろうかと胸を躍らせ、後孔を疼かせる。

「ポチ、ベッドで正座してて」

言われた通りにしばらく待つと雪兎はウキウキ顔で拘束具を持ってきた。

「これ挟んでくれる?」

1メートル程の金属の棒を渡された。一旦正座をやめ、棒を両膝の裏に押し当てて足を曲げる。これで棒を足で挟んだことになるが、何の意味があるのだろう。

「この棒にね、この棒付けられるんだよ」

「家具でも組み立ててるみたいですね」

棒の真ん中には穴がある。似たような棒がそこに差し込まれ、ネジで固定される。T字の完成だ。

「この輪っかは……首に? ですよね」

新たに取り付けられた棒は左右の膝の間から首に向かって伸びており、その先端には黒革製の首輪が付いている。クッション性があるため棒で喉を突くことはないが、これ以上背を曲げることも反らすことも出来なくなった。

「姿勢固定タイプの拷問器具みたいですね」

右手首と右足首、左手首と左足首をそれぞれ枷で繋げて固定される。手足首をはめる輪を繋ぐ部分はとても短い、手錠のような余裕がない。

「どう? 抜け出せそう?」

両手を身体の側面にぴったりと下ろした正座という行儀のいい姿勢で固定された。

「いやー……無理ですね、これ。破損OKならイケますけど」

T字の金属棒によって背を曲げられないし反らせもしない。この棒だけなら足を伸ばせば首と背の固定は解けるが、手首と足首をそれぞれ繋がれてしまったため足を伸ばせないのでどうしようもない。

「棒二本と枷二つで完璧な拘束、鮮やかですねぇ。それで……これで何を? 色々と責めにくいと思いますけど」

「口」

「……口なら正座のままでも責めやすいですね」

「ポチは見えてないみたいだから仕方ないけど、口の中まだ血まみれなんだよ」

「えっ!? またあの滝行かなきゃいけないんですか?」

「別にあの滝でしか落とせないって訳じゃないよ、霊力を多く宿した液体じゃなきゃ落とせないってだけ」

ホラー映画は見るが、実際のオカルトには詳しくない。だから俺には山奥の荘厳な滝が霊力を宿しているかどうかなんて知らないし、あの滝と同等の霊力を宿す液体が何なのかも知らない。

「……そもそも霊力って何なんですか」

「霊気エネルギーのこと。霊体を構成する物質があるんだけど、まだ化学で解明出来てないんだ。電子と同じ素粒子だろうとは分かってるんだけど、霊能力者の感覚としての観測しか出来てないし、同じ物質でも含んでる量が違ったりして……まぁ、今のところ不思議パワーだよ」

「はぁ……それで強い霊力の液体って? 滝の他に何があるんです?」

「若神子一族は代々すごい霊能力者でね、その体液なら神域の滝よりも霊力を多く含んでると思うよ」

「……要するに飲精やれってことですね」

「飲ませはしないけど、使うものはあってるかな」

オカルト関係の難しい話が出てきたって俺の淫らな日常は変わらない、それが実感出来て少し安心した。

「ポチ、あーん」

「ギャグですか? 変わった形ですね」

「開口器だよ。口枷と違って口の中がよく見えるの」

ボールギャグのようにベルトを頭にぐるっと巻いて固定するようだ。肝心の咥える部分は玉でも輪でもなく、細い棒二本だ、口の形に合わせて曲がっている。

「ポチ、早くあーん」

「……あーん、んっ」

前歯と犬歯の間で棒を噛まされる。雪兎はベルトの長さを調整した後、二本の棒の開き具合を──つまり俺の口をどれだけ開かせるかを調整した。

「ぅあ……ぁー…………あぁ! ぁああっ!」

「わ、何、うるさい」

「ぅあっ、ぁ、あっ……!」

雪兎は無言で俺の手の傍にスマホを置いた。彼の意図を察し、口が裂けそうと入力した。

「もうちょいイケそうなんだけどなぁ……ま、いいか」

口の端に痛みを感じる程度で止めてくれた。俺が入力した文章を消した雪兎はそのままスマホのライト機能をオンにし、俺の口内を照らした。

「うわ、血まみれ。生きてる動物に齧り付いたみたい……ちょっと怖いなぁ」

「ゔゔ……」

「血まみれの舌はちょっとセクシーかも。でも、他の男の体液だと思うとムカつくなぁ」

舌を引っ張り出され、俺には見えない血の話をされながら親指で舌をぐにぐにと揉まれる。口を開かされっぱなしでは唾液が飲み込めず、どんどん雪兎の手を汚してしまう。

「擦っても取れないか……手に霊力込めて……ぁ、いや、僕細かい調整苦手だからなぁ……ポチの下顎か僕の手が吹っ飛ぶかも……うん、予定通り精液でやろう」

何だか恐ろしいことを呟いていた気もするが、そんなことよりも俺は雪兎の手を汚していることに興奮していた。
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