ポチは今日から社長秘書です

ムーン

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お盆

せんじょう、きゅう

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精液を絡めた歯ブラシで口中を磨かれたが、まだ喉の奥の血が落ちていないらしく雪兎は恨めしそうな顔をしている。

「どうしようかな……歯ブラシ突っ込んだら磨けるかな? でも歯ブラシまっすぐだし……ポチに真上向かせればなんとか……うーん、でも結構奥だし、飲ませちゃったらまずいし……」

雪兎は俺の顎を掴んで真上を向かせ、喉に歯ブラシを当てて長さを確認している。血が付着しているのはかなり奥らしく、そこを擦るには雪兎は歯ブラシの先端をつままなければならないようで、喉奥を擦れば嘔吐くだろう俺に歯ブラシを飲ませてしまう可能性を見越して手を止めているようだ。

「……さっきのうがいで落ちなかった感じですか?」

上を向かせる雪兎の手から逃れ、久しぶりに人語を使う。

「ダメみたい……」

「まぁこびり付いた血って落ちにくいですもんね。軽く流したくらいじゃ落ちないんですから、うがいじゃ落ちませんよね」

「……ポチ、血洗ったことあるの?」

「えっ、ぁー……まぁ男の子ですから、はしゃいで怪我することも多くて……?」

喧嘩した後、服やバールについた返り血を落としていたとは言いにくくて、つい嘘をついた。

「ふーん……今後は血出るような怪我しちゃダメだよ、筋トレ以外の運動許さないからね。訓練禁止、庭は……まぁ、ゆっくり歩いて花見るくらいならいいよ」

「心配してくださって嬉しいです」

「……本当に、やだ」

「…………今朝俺が血まみれになってるの見て、ユキ様泣いちゃってましたもんね。驚かせちゃったの申し訳なかったんですけど、そんなに俺のこと気にしてくれるんだって嬉しくもなりましたよ」

今も泣きそうな顔をしている雪兎を撫でるため手を上げようとしたが、カシャンと金属音が鳴って足首が引っ張られた。

「……あ」

手首と足首を拘束具で繋がれているのを忘れていた。雪兎は目を潤ませたまま微笑み、無言で俺の拘束を解いた。俺は足を伸ばしてT字型の金属棒の拘束具をどかしてから雪兎を抱き寄せ、柔らかい白髪を梳いた。

「…………ポチ、ゆきとね、ポチだいすき」

「ありがとうございます」

「ポチは?」

「はい、俺もユキ様が大好きですよ。愛しています」

あなたのためなら死ねる──なんて言ったらまた泣きそうな顔になるんだろうなと思い、何も言わずに腕の力を強めた。

「……そうだユキ様、ポチはいいことを思い付きましたよ」

「ん? なぁに?」

「ユキ様はとても大きくていらっしゃいますので、イラマチオしていただければ喉の奥まで擦れると思うんです」

「あー……なるほど? でも擦るって言っても、精液は……ほら、先っぽから出るわけだし、奥まで入れてたらポチ飲んじゃうし」

雪兎の髪を梳くのをやめて雪兎の精液が溜まったコップを持つ。

「まだ結構残ってますから、ユキ様のにユキ様のをこう、ローションみたいにすればどうでしょう」

「なるほど……いいかもね、やろうか。すごいよポチ、アイディアマンだね。でもそんなことパッと思い付くのちょっと気持ち悪いよ……?」

精液を歯磨き粉代わりにして俺の歯を磨いたくせに、そっちの方がよっぽど特殊プレイなのに、自分を棚に上げて……! なんて主人に犬が言う訳もなく、黙って口を開けた。
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