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郊外の一軒家
はっぴーはろうぃん、にじゅうろく
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仰向けの俺の上でうつ伏せに寝転がる雪兎の背に腕を乗せ、もう片方の手で白髪を梳く。指通り滑らかな髪の毛はまさに絹糸のようで、指先が幸せになる。
「……ユキ様」
「んー?」
「俺そろそろ立てそうです」
「ほんと? じゃあお風呂行こっか」
寝返りを打つように俺の上から転がり降りた雪兎はウサミミを揺らして立ち上がり、俺に向かって手を伸ばした。
「んっ……」
起き上がるため腹筋に力を込める。その瞬間、ずくんっと下腹に重たい快感が産まれた。
「あっ……!?」
全身の力が抜け、ガクガクと下半身が震える。
「……ポチ? どうしたの?」
「ぁ、あっ……腹、お腹がっ……急に、気持ちよく……なっ、て」
「んー……?」
「よ、ぃん……?」
「余韻? 立てないの?」
震えはもう止まった。腹に力を入れないよう腕力に頼って身体を起こし、立ち上がる。少しふらつくが浴室まで歩く程度なら問題なさそうだ。
「……大丈夫そうだね、行こっか」
俺の手をきゅっと握り、雪兎は俺を浴室へと導いた。脱衣所で犬耳カチューシャを外し、雪兎が包帯の衣装とウサミミカチューシャを外すのを待つ。
「んー……! 楽しかったねぇ、ハロウィン」
浴室に入ると雪兎は伸びをしながらそう言った。雪兎の二種の仮装が見られた今年のハロウィンは俺も楽しく素晴らしいものだと思っていたので、笑顔で頷いた。
「俺はなんか、ずっと気持ちよかっただけでしたけど……」
「うん、だから楽しかった。ポチと一緒に居るのが僕一番好きだもん」
「……俺もユキ様と過ごす時間が一番好きです」
微笑み合い、抱き締め合い、唇を重ねる。何よりも愛しい雪兎の身体も口も舌も俺よりずっと小さい、少しでも力加減を間違えれば壊してしまいそうで震えるほど恐ろしい。
「ん……ねぇポチ、もっとぎゅってして」
「……苦しくないですか?」
「僕そんなに脆くないからぁ……ね、ぎゅーって……んっ、そう……ポチ、えへへ……大好き」
腕の中で微笑む雪兎が可愛くて、キスにも力が入る。互いの口の中が同じ味になるまで舌を絡ませ唾液を交換し合い、身体を洗うまでにかなりの時間を要した。
翌日以降、雪兎は何時間もパソコンに向かうようになった。レポートだとか、論文だとか、そんな話をしていた。教授だとかと通話している時もあって、そんな時はヘッドホンをしているし話す言葉は日本語ではないしで、つまらなかった。
「ユキ様ー、ご飯出来ましたけど……」
玩具を突っ込んで拘束して放置してくれる日もあったけれど、雪兎の膝に頭を乗せて甘えていていい日もあったけれど、大抵暇だった。
「……ユキ様」
食事の用意を俺に任せる日もあった。今日がそうだ、用意が出来たので呼びに来たがヘッドホンを着けていて気付かない。通話中のようだ、画角に入らない位置からパソコン画面を覗いてみると通話相手が初老の男性だと分かった。頭の良さそうな顔をしている。
「…………」
声が入るのもよくない。俺はメモ帳に「食事の用意が出来ました」と書き、映らないように四つん這いで机に近付き、メモ帳を雪兎の手元に置いた。
『……すみません、食事が出来たと家の者が』
『おや、あぁ、もうこんな時間か。では今日はもう切り上げよう』
『はい、教授。失礼します』
メモ帳を見た雪兎はほどなくして通話を終わらせ、ヘッドホンを外した。
「おまたせポチ、今日はポチがご飯作ってくれたんだよね。楽しみ~……ふふふっ」
「まだまだ修行中の身です……ユキ様のお口に合えばいいのですが」
「ポチが作ってくれたのなら多少不味くてもいいよ」
「…………ユキ様」
雪兎は疲れたのか歩きながら瞼越しに目を揉んでいる。そんな彼に構って欲しいだとか、これまでとは違って傍に居られるのに寂しいとは言えない。
「最近詰め込んじゃってるからさ、ご飯と寝る時だけが癒しだよ~……」
「お疲れ様です」
「早く卒業してポチとの時間作りたいからね。今はちょっと構う時間減っちゃってるけど……ごめんね? 書いてない時……読んでる時とか話してる時とかなら、机の下とかに来てくれたらなでなでくらいはしてあげられるから」
「……お邪魔では?」
「ポチなでなでしたら疲れ吹っ飛ぶよ、来て欲しいな」
「なら……次回からはそうします」
頭も俺は性感帯だ、撫でられれば下腹が疼く。抱いたり玩具で遊んだりしてくれないのなら、自慰を許可してもらわなければならない。
「うんっ、来てね」
食事中にそれを話すのは品がない。俺は許可を後でもらおうと脳にメモを残し、今は雪兎の可愛らしい表情を眺めることにした。
「……ユキ様」
「んー?」
「俺そろそろ立てそうです」
「ほんと? じゃあお風呂行こっか」
寝返りを打つように俺の上から転がり降りた雪兎はウサミミを揺らして立ち上がり、俺に向かって手を伸ばした。
「んっ……」
起き上がるため腹筋に力を込める。その瞬間、ずくんっと下腹に重たい快感が産まれた。
「あっ……!?」
全身の力が抜け、ガクガクと下半身が震える。
「……ポチ? どうしたの?」
「ぁ、あっ……腹、お腹がっ……急に、気持ちよく……なっ、て」
「んー……?」
「よ、ぃん……?」
「余韻? 立てないの?」
震えはもう止まった。腹に力を入れないよう腕力に頼って身体を起こし、立ち上がる。少しふらつくが浴室まで歩く程度なら問題なさそうだ。
「……大丈夫そうだね、行こっか」
俺の手をきゅっと握り、雪兎は俺を浴室へと導いた。脱衣所で犬耳カチューシャを外し、雪兎が包帯の衣装とウサミミカチューシャを外すのを待つ。
「んー……! 楽しかったねぇ、ハロウィン」
浴室に入ると雪兎は伸びをしながらそう言った。雪兎の二種の仮装が見られた今年のハロウィンは俺も楽しく素晴らしいものだと思っていたので、笑顔で頷いた。
「俺はなんか、ずっと気持ちよかっただけでしたけど……」
「うん、だから楽しかった。ポチと一緒に居るのが僕一番好きだもん」
「……俺もユキ様と過ごす時間が一番好きです」
微笑み合い、抱き締め合い、唇を重ねる。何よりも愛しい雪兎の身体も口も舌も俺よりずっと小さい、少しでも力加減を間違えれば壊してしまいそうで震えるほど恐ろしい。
「ん……ねぇポチ、もっとぎゅってして」
「……苦しくないですか?」
「僕そんなに脆くないからぁ……ね、ぎゅーって……んっ、そう……ポチ、えへへ……大好き」
腕の中で微笑む雪兎が可愛くて、キスにも力が入る。互いの口の中が同じ味になるまで舌を絡ませ唾液を交換し合い、身体を洗うまでにかなりの時間を要した。
翌日以降、雪兎は何時間もパソコンに向かうようになった。レポートだとか、論文だとか、そんな話をしていた。教授だとかと通話している時もあって、そんな時はヘッドホンをしているし話す言葉は日本語ではないしで、つまらなかった。
「ユキ様ー、ご飯出来ましたけど……」
玩具を突っ込んで拘束して放置してくれる日もあったけれど、雪兎の膝に頭を乗せて甘えていていい日もあったけれど、大抵暇だった。
「……ユキ様」
食事の用意を俺に任せる日もあった。今日がそうだ、用意が出来たので呼びに来たがヘッドホンを着けていて気付かない。通話中のようだ、画角に入らない位置からパソコン画面を覗いてみると通話相手が初老の男性だと分かった。頭の良さそうな顔をしている。
「…………」
声が入るのもよくない。俺はメモ帳に「食事の用意が出来ました」と書き、映らないように四つん這いで机に近付き、メモ帳を雪兎の手元に置いた。
『……すみません、食事が出来たと家の者が』
『おや、あぁ、もうこんな時間か。では今日はもう切り上げよう』
『はい、教授。失礼します』
メモ帳を見た雪兎はほどなくして通話を終わらせ、ヘッドホンを外した。
「おまたせポチ、今日はポチがご飯作ってくれたんだよね。楽しみ~……ふふふっ」
「まだまだ修行中の身です……ユキ様のお口に合えばいいのですが」
「ポチが作ってくれたのなら多少不味くてもいいよ」
「…………ユキ様」
雪兎は疲れたのか歩きながら瞼越しに目を揉んでいる。そんな彼に構って欲しいだとか、これまでとは違って傍に居られるのに寂しいとは言えない。
「最近詰め込んじゃってるからさ、ご飯と寝る時だけが癒しだよ~……」
「お疲れ様です」
「早く卒業してポチとの時間作りたいからね。今はちょっと構う時間減っちゃってるけど……ごめんね? 書いてない時……読んでる時とか話してる時とかなら、机の下とかに来てくれたらなでなでくらいはしてあげられるから」
「……お邪魔では?」
「ポチなでなでしたら疲れ吹っ飛ぶよ、来て欲しいな」
「なら……次回からはそうします」
頭も俺は性感帯だ、撫でられれば下腹が疼く。抱いたり玩具で遊んだりしてくれないのなら、自慰を許可してもらわなければならない。
「うんっ、来てね」
食事中にそれを話すのは品がない。俺は許可を後でもらおうと脳にメモを残し、今は雪兎の可愛らしい表情を眺めることにした。
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