眼中になかった同期とセフレになってみたら沼すぎて、初恋。

ぴょす

文字の大きさ
42 / 66

すべて夢だと言われたらそれが正しいと思うほどに残酷なこと。

しおりを挟む
司の胸に頬を押しつけながら、俺はまだ呼吸の整わない身体をだらんと預けていた。シャワーを浴びたはずなのに、熱はまったく引かない。むしろ、ゆるやかに絡み合うこの時間のほうが、ずっと心臓をかき乱してくる。

「……なぁ」

「ん?」

「今日の司、めちゃくちゃ……エロかった」

俺がそう呟くと、司はくすっと笑い、腕の中で俺の顔を覗き込む。

「俺のせいじゃなくて、慎がそうさせるんだろ」

「……っ、うるさい」

「てか慎もエロかったし」

司の声は意地悪く低く、耳の奥にねっとりと残る。

「この細い指で、自分のナカ掻き混ぜてたの、マジでやばかった……」

指にキスをしたあと、軽く唇を重ねてきたかと思えば、次の瞬間には深く吸い込むようなキスに変わっていく。背中に回された手が、ゆっくりと撫で上げながら腰を引き寄せた。

「ん……っ」

息を奪われ、頭がぼうっとしていく。ようやく口を離した司が、熱っぽい笑みを浮かべて囁いた。

「……ほんと、お前、すぐとろけるよな」

「……そんなことない」

「それ。今の顔、めちゃくちゃ可愛い。」

再び唇を奪われ、今度は俺の方から舌を絡めにいく。司が少し驚いたような反応をして、さらに深く返される。唇の端から吐息がこぼれ、その音すらいやらしく感じてしまう。こんな気持ち良いキスは……司が初めてだ。

「……もっと、キスしたい」

自分で言って、顔が熱くなる。でも司は満足そうに笑い、額を軽く合わせながら囁いた。

「じゃあ、ずっとしよ。朝まで一緒にいよ。」

そんなことを言われたら、もう本当に離れられない。俺は司の首に腕を回し、また夢中で唇を重ねた。息もできないくらい、何度も何度も。

幸せ

その一言が、胸の中で何度も何度も反響する。

“早く俺のものになって”

さっき囁かれた言葉が、慎の胸を締めつける。その返事をするなら、今しかない。勇気を振り絞って声を出す。

「……俺」

喉がつまる。言葉が続かない。唇にまで乗せた“好き”が、まるで重くて吐き出せなかった。

「……なんでもない」

弱々しく絞り出した瞬間、司の瞳がきゅっと細められる。

「なんでもなくないだろ」

俺の視線を逃がさぬように、司はすぐ傍で言葉を重ねる。

「俺に……言いたいこと、あるんだろ?」

「……いや、ほんとに……」

「慎」

司の指先が顎をとらえて、視線を逸らさせてくれない。真っ直ぐな眼差し。いつもなら冗談めかすくせに、今は一切笑わない。

「ちゃんと言ってよ。」

その圧に押され、唇が震える。今にも零れ落ちそうな“好き”が喉の奥でせり上がり

けれど。



ピンポーン、と唐突にインターホンが鳴った。



「誰だよ」

司が面倒くさそうに呟く。俺も最初は宅配か何かだと思った。でも、次の瞬間、聞こえてきた声で背筋が凍る。

「司、いるんでしょ? 開けて。荷物取りに来たの。」

女の声……それに司が舌打ちし、立ち上がる。その表情は、驚きでも喜びでもない。ただ、心底うんざりした表情だった。そこで分かる。嫌でも気づく。こんな時の勘は、何故だかよく当たるから。

この扉の向こうにいる相手。

それはきっと元カノ。

この司が結婚も考えた、元カノだ……

ベッドの上で固まる俺に司が無言でシャツを被せる。そして自分も服を着てまた大きなため息をつく。

「ごめん、ここで待ってて」

短く言って、寝室のドアは無情な音を響かせ閉められた。

扉の向こうでは、最初は抑えられたトーンだったが、すぐにヒートアップしていく声が響き出した。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?

中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」 そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。 しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は―― ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。 (……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ) ところが、初めての商談でその評価は一変する。 榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。 (仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな) ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり―― なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。 そして気づく。 「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」 煙草をくゆらせる仕草。 ネクタイを緩める無防備な姿。 そのたびに、陽翔の理性は削られていく。 「俺、もう待てないんで……」 ついに陽翔は榊を追い詰めるが―― 「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」 攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。 じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。 【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】 主任補佐として、ちゃんとせなあかん── そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。 春のすこし手前、まだ肌寒い季節。 新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。 風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。 何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。 拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。 年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。 これはまだ、恋になる“少し前”の物語。 関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。 (5月14日より連載開始)

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

「これからも応援してます」と言おう思ったら誘拐された

あまさき
BL
国民的アイドル×リアコファン社会人 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 学生時代からずっと大好きな国民的アイドルのシャロンくん。デビューから一度たりともファンと直接交流してこなかった彼が、初めて握手会を開くことになったらしい。一名様限定の激レアチケットを手に入れてしまった僕は、感動の対面に胸を躍らせていると… 「あぁ、ずっと会いたかった俺の天使」 気付けば、僕の世界は180°変わってしまっていた。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 初めましてです。お手柔らかにお願いします。

借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます

なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。 そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。 「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」 脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……! 高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!? 借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。 冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!? 短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。

親友が虎視眈々と僕を囲い込む準備をしていた

こたま
BL
西井朔空(さく)は24歳。IT企業で社会人生活を送っていた。朔空には、高校時代の親友で今も交流のある鹿島絢斗(あやと)がいる。大学時代に起業して財を成したイケメンである。賃貸マンションの配管故障のため部屋が水浸しになり使えなくなった日、絢斗に助けを求めると…美形×平凡と思っている美人の社会人ハッピーエンドBLです。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。

陽七 葵
BL
 主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。  しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。  蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。  だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。  そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。  そこから物語は始まるのだが——。  実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。  素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪

イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです! 元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。 持ち主は、顔面国宝の一年生。 なんで俺の写真? なんでロック画? 問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。 頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ! ☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。

処理中です...