眼中になかった同期とセフレになってみたら沼すぎて、初恋。

ぴょす

文字の大きさ
18 / 66

セフレのルールとは。

しおりを挟む
あの誘い、つまり抱かせろって意味だよな?

「今日、俺ん家来いよ」

囁かれた言葉は、今も耳の奥に焼きついてる。反射的にうなずきそうになったのを、なんとか堪えたのは、理性の欠片がまだ残っていたからだ。

それでも、こうしてスマホを握っているのは、結局その答えを探してるからだろう。

検索バーに打ち込んだワードは「セフレ ルール」。

その次には、

「セフレ 終わり方」
「セフレ 家に行くのは」
「セフレ 情が移る」

くだらねー…………

と思いつつ、スクロールする指が止まらない。

「セフレ 付き合えない」
「セフレ 一生続く」
「セフレ 本命になれない」。

どんどん、息が詰まってくる。

そもそも最初に求めたのは身体だった。そのはずで。欲求のはけ口。お互いに都合がよくて、深く踏み込まない、そういう関係。そうだったはずで。

それなのに司は、なんていうか、甘い。

キスの仕方も、触れ方も、俺を見る目も、全部どこか“それ以上”の何かを匂わせてくる。今日みたいに、耳元で甘く囁いてきたり、恋人みたいなことを言ってみたり。それだけで、期待しそうになる。付き合ったら、もっと……って。

……バカみたい

都合よく夢見て、期待して、裏切られて、傷つくなんて絶対嫌だ。

だから俺は……
俺からは、絶対に恋なんてしない。

この関係は、セフレ。それ以上でも以下でもない。
綺麗に続けて、綺麗に終わらせる。それが一番。

そう思って深く息を吐いた、その時だった。

「渡瀬おつかれー」

顔を上げると、森田と──司がいた。
森田はコーヒーを片手に、気楽そうに笑っている。

「お疲れ」

スマホの画面を伏せてテーブルに置き、なんでもないふうを装う。だが、自然に視線が司に向かってしまった。司は、こっちを一瞥して、目を細めた。それだけで胸の奥が微妙にざわつく。

「てかさ、お前ら今日暇なら飯行かね?」

「あーごめん無理。」

即答で断るもんだから、俺は思わず司から目を逸らす。

「はや!なんだよ!もしかして彼女?」

「……まだ彼女じゃないけどそんな感じ」

「なんだよそれ。まだってことは“可能性のある相手”って意味?マジでお前は女の回転はえーよなぁ、羨ましすぎ」

「どうだろうな。相手はどう思ってるか分かんねーし」

「はいはい。いいからそういうイケメンの謙遜は」

「いや、マジで。どう思ってんのかなーって、ずっと思ってんだよね。割とガチで。」

司は俺を一瞥したまま、コーヒーに口をつける。何も言わないのに、言葉以上に気持ちを揺さぶってくる。

なんだよ…それ…
お前こそ俺のこと、どう思ってるんだよ。
俺をどうしたいんだよ。

「じゃあ、渡瀬と2人で行くからいーよ。何食う?」

「……え?…なにが?」

「だからぁー!めし!食べに行こって!」

俺は…と言いかけた瞬間、司が俺の肩に手を添える。

「こいつも今日用事あるから無理」

「はぁ?なんでお前が答えてんだよ」

「な、用事あるんだろ?」

「…………っえ……」

そんな自信どこから湧いてくるのか、本当分からない。でも全部俺の思うままにって感じの堂々とした顔に、何も言い返せなくなってしまう自分が悔しい。

「…………うん、ごめん森田…俺も用事あって…」

「はー?マジかよつまんな!!悲し!!」

騒がしい森田を宥めながら司は俺に背中を向けてそこを出て行く。

あぁ、また

乗せられてしまったかもしれない

てかなんだよ今の。あいつ何考えてんだよ。俺が何考えてるか分かんねーって、お前の方が分かんねーんだよ……

森田に誘われるのを断った司の声。「大事な用があるから」と微笑んでいたあの横顔。それが自分のことだと気づいてしまったからこそ、余計に思考がまとまらない。

期待したくないのに、ただ俺を揶揄っただけかもしれないのに、どうしても心が浮いてしまう。でも一方で、ほんの少しの温度差や曖昧な言葉で、すぐに疑ってしまう。結局自分が何を望んでるのか、よく分からなくなる。

なのに。

「慎」と名前を呼ばれたら、また何もかもがどうでも良くなってしまう。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?

中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」 そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。 しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は―― ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。 (……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ) ところが、初めての商談でその評価は一変する。 榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。 (仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな) ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり―― なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。 そして気づく。 「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」 煙草をくゆらせる仕草。 ネクタイを緩める無防備な姿。 そのたびに、陽翔の理性は削られていく。 「俺、もう待てないんで……」 ついに陽翔は榊を追い詰めるが―― 「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」 攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。 じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。 【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】 主任補佐として、ちゃんとせなあかん── そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。 春のすこし手前、まだ肌寒い季節。 新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。 風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。 何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。 拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。 年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。 これはまだ、恋になる“少し前”の物語。 関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。 (5月14日より連載開始)

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

「これからも応援してます」と言おう思ったら誘拐された

あまさき
BL
国民的アイドル×リアコファン社会人 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 学生時代からずっと大好きな国民的アイドルのシャロンくん。デビューから一度たりともファンと直接交流してこなかった彼が、初めて握手会を開くことになったらしい。一名様限定の激レアチケットを手に入れてしまった僕は、感動の対面に胸を躍らせていると… 「あぁ、ずっと会いたかった俺の天使」 気付けば、僕の世界は180°変わってしまっていた。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 初めましてです。お手柔らかにお願いします。

借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます

なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。 そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。 「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」 脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……! 高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!? 借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。 冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!? 短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。

親友が虎視眈々と僕を囲い込む準備をしていた

こたま
BL
西井朔空(さく)は24歳。IT企業で社会人生活を送っていた。朔空には、高校時代の親友で今も交流のある鹿島絢斗(あやと)がいる。大学時代に起業して財を成したイケメンである。賃貸マンションの配管故障のため部屋が水浸しになり使えなくなった日、絢斗に助けを求めると…美形×平凡と思っている美人の社会人ハッピーエンドBLです。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。

陽七 葵
BL
 主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。  しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。  蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。  だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。  そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。  そこから物語は始まるのだが——。  実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。  素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪

イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです! 元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。 持ち主は、顔面国宝の一年生。 なんで俺の写真? なんでロック画? 問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。 頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ! ☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。

処理中です...