愛されすぎて、夜が足りない

ぴょす

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頑張ったあとは、狂うほどのご褒美えっちを

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颯がいきなり会社に現れて、一緒に昼飯を食べて、それでバイバイ。

本来なら、それだけのはずだった。

なのに今、俺は職場が入っているビルのトイレの個室で、冷たい壁に片手をついて、息を詰めている。スラックスは中途半端に下がっていて、Yシャツの裾が無防備に乱れている。

「颯……っ、こんな……ほんとに、だめだって……っ」

言葉だけが抵抗を試みるけれど、身体はもう颯の熱を受け入れてしまっている。理性がブレーキをかけようとしても、颯のすべてが、俺の理性を溶かしてしまった。

「本当にだめって思ってるならこんなに勃起させてちゃダメじゃないですか…」

「も……っ…誰か…来たら…」

「そういう緊張感もいいですよね。」

今の俺……社会人として、人として、絶対にしてはいけないことをしている。でも、こんな背徳的なシチュエーションに、火をつけられているのも確かだった。

「ぁ……っ、ん゛…」

息を飲むたび、抑えきれない声が漏れそうになる。それを堪えようと歯を食いしばると、今度は颯が耳元で笑いながらささやいてくる。

「ねえ……なんでそんなに我慢してるんですか?気持ちいいなら、素直になればいいのに」

わかってる。
俺のこと、試してんだろ。

俺をこうして掻き乱してくる颯が、たまらなくて。
許されないと知ってるこの行為が、もうやめられなくなっている。

個室の向こうに響く靴の音や、蛇口の水音が鳴るたび、心臓が跳ねる。こんな状況で颯に、奥まで深く貫かれてる。

肌がむき出しになった尻に、颯の手が食い込んでいる。声を出したら終わりだとわかっているのに、喉の奥から漏れそうになる喘ぎを何度も必死に噛み殺す。

その代わり、肩が震えて、指先に力が入らない。何かに縋らないと自分が壊れそうで、壁に両手をついて耐える。

「っ……ぅ…」

「……」

颯が無言のまま激しさだけをぶつけてくる。この体の奥に刻まれていく「全部が欲しい」っていう執着。

足元が崩れそうになる瞬間、後ろから腕が回ってきて、ぐらついた体をしっかりと受け止められた。

「……っ、颯……」

息を呑む間もなく、頬に熱がこもる。支えてくれる腕の力が強すぎて、背中に押しつけられた体温に息が詰まる。

「は……あ……っ……もう、ほんと、僕…我慢できない……」

そう呟く颯の声はかすれていて、どこか幼く、でも、妙に色っぽい。スーツのシャツが汗で張り付き、壁に手をつく俺の膝がその声に震える。

震える腕、熱い息、少しだけ濡れたシャツの感触。
こんなにも近いのに、まだ颯は、もっと近づこうとしてくる。

「……っ…」

声を出せない二人の間で、湿った摩擦音だけが響くけれど、それが一瞬止まる。

「ぁ゛…………侑成さん…」

「んっ゛…」

「えっちな汁、床にぶちまけちゃだめですよ」

「…ぁ゛ぃっ゛…」

低く囁く颯の声には蔑みと、でもどこか愛おしさが滲む。射精の瞬間、熱い波が弾け、颯の手が俺の精液で濡れる。

「は…………っ、ぁ゛…」

息を整えるのにどれだけ時間がかかったのか分からない。まだナカに颯の体温がかすかに残っている気がして、思い出すたびに鼓動が早まる。

「戻んないと俺……」

口ではそう言いながらも、俺は颯に身体を委ねたままで。

「今夜は家行ってもいいですか?」

颯はいつもの口調で、何食わぬ顔をして言う。シャツの裾を整え、くしゃっとなったジャケットの肩を軽く撫で、最後にネクタイを持ち上げながら。

「は…?なら別に今ヤんなくたって……」

「それとこれは別の話でしょう。それに今のは、昨日の残業頑張った侑成さんへのご褒美です」

くるくると器用に指を動かして、きゅっと中心に締めてくれる。優しくて、当たり前みたいに俺の世話を焼いてくれる颯が、愛しくてたまらなくなる。

「ご褒美なら……家でもくれよ」

気づけば俺は、胸元にしがみついていた。大人として、社会人として、ありえない姿だって分かってる。だけど今だけは、許されたい。

颯は驚くこともせず、当たり前みたいに俺の背中に腕をまわして、ぽんぽんと優しく叩いてくれる。

「まだ時間ある。あと3分だけ、こうしてたい」

狭い個室の中、寄り添う体温と心音だけが確かに響いていた。未だかつてこんなにも仕事に戻る気になれなかった事は、一度もなかった。

定時まであと10分というところ。

頭の中ではすでにタイムカードを押し、颯の顔を思い浮かべながら帰路につくイメージを組み立てていた。
あとメール一本送ったら今日は終わり。そう思っていた矢先、背後からひょこっと覗き込む気配。

「糸川さんって……もしかして最近、彼女できました?」

柏木の声は、わざとらしく周囲に聞こえるようなテンションで。ギクリと肩が跳ねた。

「は?なんで?」

「いや、なんか……最近めっちゃ機嫌よくないですか?しかも定時ですぐ帰るし」

完全に、動揺を隠せなかった。
心臓が跳ね上がる音が自分にだけはっきり聞こえる。

「そ、そんなことないだろ。てか残業なんてしないに限るだろ……それに彼女とか、そんな……」

しどろもどろ。視線も泳いでいる。少し離れた席では、塩野さんがモニターの奥からちらりと視線をよこした。

「なんの話?」

「いやー、糸川さんの雰囲気が変わった気がするなってずっと思ってまして!」

柏木が妙にニヤついた顔で、俺の方を見る。

「は?なんだそれ」

「いや、なんていうか……疲れてるってより、逆に“潤ってる”感じ?」

「潤ってるて」

「だから!絶対彼女できましたよね!? いやマジで!絶対!ほら、スマホよく見てるし、にやけてるし!」

「……お前、俺のことどんだけ見てんの」

「いやいや!そりゃ尊敬してますから~、気になりますって!で、どうなんです?」

柏木の目がキラキラしている。それに対して、俺はどう誤魔化すべきかと頭をフル回転させた。

「……まあ、いい感じの人が、いなくもない、けど…」

「うわっ!マジだーーー!うわぁ、誰ですか?どんな人っすか!?年上?年下?てか、どこで出会ったんです?」

「うるせぇよ絶対言わねえ」

「あっ!じゃあ社内ですか!?」

ニコニコと目元だけを細めて聞いていた塩野さんが、カップを口に運びながらポツリと口を挟む。

「たしかに。最近、糸川柔らかくなったっていうか……ちょっと、色っぽいね」

「ほら!塩野さんもそう思います!?それ絶対恋してますよ!絶対に!」

「塩野さんまで何言ってんですか…」

動揺を必死に抑える俺の首筋がじわりと赤くなっていくのを、柏木は見逃さない。こういうとこだけは勘がいいというかなんというか。

「わぁー赤くなってる!やっぱ図星だ~~!」

「もういいだろ!」

「くっそ~、いいなぁ……俺も春が来てほしい…!」

柏木が夢見るように遠くを見つめる中、塩野さんに一瞥された気がする。どこか探るような視線で。

柏木は素知らぬ顔で口元を抑えて笑いながら席に戻り、塩野は手を止めることなくただ小さく息を吐いた。

地雷を踏んだ、気がする。

俺はただただ、顔の火照りをごまかすようにデスクのペン立てを整理しはじめた。

「なんか跳ねてるよ」

不意に塩野が横にいる。侑成はビクリと反応した。視線を逸らしながらも何気なく髪に触れる。だが心当たりがありすぎて逆にどこを直せばいいのか分からない。

「えっ…」

「なんか今日、髪、乱れてない?朝からそうだったかなと思って」

その言い方が妙に芝居がかっていて、塩野が“確信犯”なのがわかる。本当に気づいてるのか、それともブラフなのか。読みきれない。

「そ、そんなこと……ない、はず……です、朝ちゃんと鏡見たし……」

「へえ?じゃあ、その香りも“朝からつけてたやつ”なんだ」

塩野の視線がふっと近づく。指先で自分の首元を指してみせ、そこから立ちのぼる“いつもと違う香り”を意味していた。

やばい。これ、完全に気づかれてる?

「な、なんの話でしょうか…」

「いや?別に?」

塩野は椅子に背を預け、飄々とした笑みを浮かべた。その笑みは何も言わない優しさなのか、言えない苛立ちなのか……俺には判断がつかない。

「……っ、じゃ、定時なんで、失礼します!」

俺は勢いよく立ち上がると、椅子の音をガタンと響かせながら、明らかに不自然な速さでバッグを手に取った。
まるで現場から逃げるかのようにフロアを出ていく俺の背中に、塩野の低くて落ち着いた声が追いかけた。

「……彼氏くん、大事にしろよ?」

振り返る余裕もなく、俺はそのまま顔を真っ赤にして、足早にオフィスを後にしたのだった。





帰宅してドアを開けた瞬間、漂ってきたのは空腹感を更に助長する良い香りで。昼間に鍵を渡しておいて良かった。擬似同棲に浸れるのならば…

「おかえりなさい」

キッチンの奥から聞こえてきたその声に、自然と背筋が伸びた。颯は、シャワーを浴びたあとなのだろう。上半身は俺のTシャツに下着姿のまま、フライパンを持っていた。

「フライパン持っててそんなイケメンな人、初めて見たんだけど」

「オムライス作ってみたんですよ、ほら!」

俺があげたヘアバンドで髪を上げてる颯。ふわりと美味しそうな匂いが廊下を漂ってる。愛おしくて堪らない。その気持ちが少しでも伝わったら良いなって、俺は真っ先に颯の腕の中へと飛び込んだ。

「先にご飯食べますか?」

「んー………」

「お風呂にしますか?準備してありますよ。僕シャワーだけ先にお借りしちゃいました」

「んーんー…………」

ぐりぐりと颯の胸元に顔を埋めてみる。だって今の俺がしたい事なんて、飯でも風呂でもなくってさ……

さっき会社で颯の存在を勘付かれて、匂わせてしまった。
でも…俺たち本当に付き合ってるんだもんな…
そう思ったらなんだか愛しさが…

「もしかして、僕のご飯よりえっちの気分ですか?」

「って言ったらしてくれんの?」

「当たり前じゃないですか。」

「…………昼間もしたのに……とか…思わないの?」

「思いますよ。でも侑成さんえっち大好きだし、すぐちんこ欲しくなっちゃうバカまんこじゃん」

って言いながら、押し付けてくるのずる…♡
しかも急に表情大人になるの、好きすぎる…♡

「暇さえあれば僕にちんこハメてもらってる妄想しながら、ココほじってんでしょ」

「や、だ……そんな…」

「あれ?もしかして年中発情期のケツ穴ディスられて恥ずかしいの?もっと恥ずかしい姿散々晒してきたのに?」

ヘアバンドを外した髪がアンニュイな表情を隠す。強く引かれた腕の痛みさえも気持ち良い。適当な廊下の壁に顔面を押し付けられて、乱暴に服を剥ぎ取られる。その行為に必要な肌だけが露出されて、颯が挿入ってくる。

「ッあ゛♡♡♡~~~~ッ♡」

「オナホのくせに一丁前に締め付けてさ、かわい♡侑成さんにはこういうのご褒美ですもんね♡」

「ん゛ッ゛♡ ッッ♡♡ ………」

「あー……緩んだ……そのまま…そう……力抜いててください…………ねッ…♡男としてのプライドぶっ壊してケツ穴でしかイけなくしてあげますから…♡」

「…………んお゙ッ♡♡♡お゙ぉッッ♡お゛っ♡」

ばちゅん♡と繋がる音……都合の良い位置に腰を持ち上げられて…….でっかいちんぽ叩きつけられて……も……ほんと好き……♡♡♡♡

「さっきまで仕事してたんですよね。ちんこ突っ込まれた瞬間、お゛っお゛ってきったないその声どっから出てんすか♡」

ねえ、ねえ、と煽られながら立ちバックの激ピストン…恥ずかしい言葉で責められて、日常と今の対比がえぐい…

「ぅ…ゔう゛っ、♡♡♡っ、、」

「首絞められて悦ぶとか…どうかしてますよ侑成さん」

後ろからネクタイを引っ張られて締まる首。
でもギリギリの力加減。そこに愛を感じてしまう。

「なんかあったんですか、職場で」

「ッ♡…べ…つに……」

「嘘下手ですよね」

「ぉ、お゛…………♡♡♡」

ぎゅ、ときつくなる首への圧が気持ち良すぎて、情けなく射精してしまった……

「こ、後輩に……聞かれた、から…」

「なにを?」

「彼女……できたんですか、っ、て…」

「で?」

「ご、まかした、、、けど…………い゛っ、」

少し緩んでいた首への力がまた強くなる理由は、分かる。

「なんでごまかすの?」

「違っ、くて、、でも確かに俺たちは付き合って、て……颯が…俺の恋人なんだな、って、思ったら嬉しくて……そんな周りに、気付かれるくらい……浮かれてる、のは…恥ずかしいけどっ……それくらい幸せなんだっ、て思ったんだよ…」

「それで興奮して帰ってすぐこんな事してるんだ」

「…………う、ん゛…」

浅いトコをとんとんしてた颯が、また奥を抉る。そしてようやく首に巻かれていたネクタイが緩んだ。

「隠さないでくださいよ、僕とのこと」

「ッ…だめ、だって……おれ…浮かれちゃう、から」

「浮かれててよ」

「…………久世颯…の恋人は俺だー……って…?」

背中に颯の体温。
繋がったままの甘いキス。
腰から砕けてしまいそうなほど、気持ち良くて。

「そう」

「なら、次聞かれたらそう答える、よ……」

ふふ、と笑う颯がナカでまた大きくなる。ぶるぶるっと身震いする俺の腰を掴み直して、また腰を打ちつけてくる。

「今日ね、僕も友達に最近満たされてる顔してるって言われて、今夜も侑成さんといっぱいえっちして満たされたいって考えてたら全然授業に集中できなかったんですよ。」

「~ッ♡♡♡おれも…ずっと考えて、た…♡♡♡」

「でも侑成さんは油断すると顔アヘっちゃうから、外では気を付けてくださいね」

「ぅ、う゛…♡」

「…………ちゅーしながらするの……きもちいですね…♡」

「ん゛……ちゅー…しながら…ちんぽズボズボされるの……好き…だから♡う…れしいッ…♡」

「これも好きですよね。」

「ひ、ぁッ♡乳首ッ、、♡すきッ♡すき~~~ッ♡」

「もっと乳首でっかく勃たせて戻らなくして、ワイシャツ着れなくさせたいなぁ」

「ん゛ッ♡や、た゛♡♡そんなイジったら、ぁ♡あ゛♡」

颯の手が俺の弱いトコぜんぶ触ってる…
颯のちんぽ穴にされてるって感じする…
後ろから回された手が俺をがっちりホールドして…
節操のない下品なピストンで、イかされちゃう…

「あ゛ッ♡あ゛ぁッ♡♡いぐッ♡イグッ♡♡ちんぽ♡奥クるッ ♡壊れる壊れる壊れるッ、、、♡♡♡」

「こんなんで壊れたら困るんですが。僕が腰振りしてあげてるんだからせめてケツ突き出して立っててください」

「んぁ゛ああっ♡ごめんなさッ♡、あ゛♡ごめ、♡ごめんなさッ゛ぁ゛ああ゛♡♡♡」

ちんぽ穴めがけて最奥ピストン♡こんなの無理すぎる♡射精♡射精がとまんないっ♡♡♡

「イ゙ぐぅぅゔッッ♡イ゛ぐ゛イ"ッッ♡ってるからぁッ♡もお出ないッ♡♡せーし出なくなっちゃッ♡ あ゛ぁあ゛……ぁ♡」

「侑成さんはもう、せーし出さなくてもイけるでしょ…」

「っぅぅゔ♡そんな、の、む、りッ…♡い゛ ♡も、出な♡い゛、、、」

床に吐き出した精子はもう薄くてなにがなんだか
身体中の水分がなくなってく
泣かされて、絶叫させられて、イかされる…





「い゛ッ♡~~~~~~…………♡♡♡♡」

「…………あぁ、っ…」





勢いよく颯が引き抜かれる。グロいくらい…俺の尻穴は颯の形を覚えてしまっていて…見えないけどひくついてるのが嫌でも分かった…

身体を重ねたあと、俺たちの間に残るのは、あたたかさと、ほのかな湿度で。颯が作ってくれたオムライスはちゃんと温め直して美味しくいただいた。もう眠るだけ。颯の好きな曲がゆったり流れる寝室で俺たちは手を繋いだ。

「あのね、侑成さん」

名前を呼ばれる声がやけに柔らかくて、思わず返事の代わりに頬を寄せた。すると、颯が笑って、指先で俺の髪を梳く。

「今日、マネージャーに言われたんです。大きい仕事を任せる事になるかもって。」

「大きい仕事?」

思わず少し身を起こして颯の顔を見る。
颯は流石に眉尻を下げて「うん」と頷いた。

「ハイブランドの…結構大きい案件らしくて」

「……そっか。すごいじゃん」

口ではそう言ったけど、心の奥でほんの少し、きゅっと何かが締めつけられる。それを悟られないように、俺はそっと毛布の端を整えるふりをした。

「でも学校もなぁ…最近出席やばいし、授業もちゃんと出れてないし……このまま卒業できるのかってちょっと不安になるんですよね。芸能の方に最近よく勧められるし、俳優とかもやってみない?って」

「やってみたいって思ってるの?」

「……うーん、まだ分からないです。でも、なんか最近、楽しいなって思ってはいます。撮影とか、現場の空気とか。自分の顔とか体が仕事になるって、最初は変な感じだったけど、今は……ちゃんと武器にしたいって、あっ、でも大学はちゃんと卒業しますよ。就職困りたくないし…」

その言葉に、胸の奥が少し熱くなる。颯はちゃんと、自分の足で立って歩こうとしてるんだって。

「だったら、進めるだろ。芸能の道。向いてると思うし、応援したい」

「……ほんとですか? 寂しくならないですか?」

「なるに決まってんじゃん。けど……寂しいって思うから、ちゃんと応援できるんだと思う」

颯は、少し目を伏せてから、静かに笑った。

「僕も、撮影は楽しみではあるんですけど……侑成さんとの時間が減るのは嫌だとも思ってて。すごいワガママですよね」

「ワガママじゃないよ。俺だって……今このまま時間止まればいいのにって思ってるしな」

そう言ったら、颯が俺の首に腕を回して、ぎゅっと引き寄せた。

「でも、僕たち、大丈夫ですよね?」

「うん。大丈夫。寂しくても、ちゃんと帰ってくる場所があるだろ」

「じゃあ、帰ってくるね。侑成さんのとこに」

まっすぐな声で言われて、なぜか不意に涙が出そうになる。こんなに誰かを信じたいと思ったのは、たぶん初めてだった。

「……待ってるよ。毎日ちゃんと」

ほんの少し力を込めて、颯の背中を抱きしめた。

この夜が、当たり前じゃないことをちゃんと知っているからこそだ。




今この時間を噛みしめるように、先に眠りついたのは、颯だった。

寝息を立てて眠る颯を見つめると、なんだか苦しい。
呼吸に合わせて、肩がゆっくり上下してる。
安心しきった顔をして、夢の中にいる。

幸せなことなのに、それなのになぜか、胸の奥がきゅっと締めつけられるような感覚がした。

何が不安なのか、自分でもうまく言語化できない。不満はない。寂しくもない。けれど、今ここにある“幸せ”が、ずっとこのまま続いていくとは限らないって、まるで未来の自分が耳元で囁いてくるような、そんな妙な予感がした。

颯の髪をそっと指先で撫でた。
何も変わらなければいい。
どこにも行かないで欲しい。
そう思ってしまう自分が、どこかで臆病になってる。

考えすぎだ。

目をつぶって、静かに呼吸を整えた。
颯の体温が背中に触れる。
それだけで、何もかもが救われる気がした。

でも、救われなきゃいけないような気持ちになること自体、答えのない不穏さが見え隠れしているみたいな、そんな不安な気持ちだ…
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