愛されすぎて、夜が足りない

ぴょす

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やっぱ、ばちぼこしか勝たん

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昼休み。

会社の休憩スペースの片隅、カフェラテ片手にスマホをのぞき込む。開いてるのは颯のSNS。つい数分前に上がった最新の自撮り。

……いや、まじで美しすぎる。
肌つやっつや……唇ぷるっぷる…

見慣れてるはずの顔なのに、何回見ても毎回、息が止まりかける。そして案の定、コメント欄は今日も女が群がってる。

"黒髪にしてからやばすぎる"
"え、これは人間?神様?"
"目、鼻、口、パーツの配置完璧すぎ。建築かよ"
"こんな子と付き合える人ってどんな徳積んだの"

ふふふ

スマホを持つ指先が自然と緩む。コメント欄がどんなに騒がしくても、颯が帰る場所は俺の家。

なんなら、あの“この世の奇跡”みたいな顔面が、朝起きたら隣にいることもある。しかも寝癖ついててちょっと不機嫌だったりする。そのギャップにこっちは毎回死にかける。

「……俺、幸せすぎじゃん」

心の中で小さくガッツポーズ。
その瞬間、メッセージ通知が鳴った。

「さっき載せた写真、どうでした?」

あざとい。あざといが、その確認をしてくる彼氏が可愛すぎて悶絶する。

「イケメンすぎてスクショしまくったわ」

と送れば、すぐにその画像が送られてくる。スクショよりも高画質。許されるのならホーム画面にしたいくらい。

ニヤニヤしている間にもメッセージアプリの画面には、颯が送ってきた一文が表示されていた。

「ちなみに今日の予定はリスケしてきました。ちゃんと、覚悟できてますか?」

一気に全身の血が頭に昇った。昼休みがあと5分しかないという現実が霞むほど、思考が奪われる。

「大丈夫なの?」

「大丈夫だからそうしました。侑成さんも今日は残業ないですよね?定時ダッシュしてくださいね」

人目を気にしてスマホを伏せたが、既にドキドキは止まらない。指が、震えるほど慎重に返信を打つ。

「あんまり煽んないで」

「侑成さんのがきっと先に家着くと思うんで、ちゃんと準備しといてくださいね」

心臓が跳ねる。打ち合わせでもこんな緊張しないのに。"準備"なんて言われたら…妄想が捗って仕方ない…

「オナホ分からせえっちってやつ?」

「そう、人権剥奪しますね」

「やば」

「首絞めながらガン突きしたい」

完全にアウトなやり取り。今スマホ落としたらいろんな意味で死ぬなぁってノリ。でも、やめたくない。ずっと続けていたい。文字だけなのに、まるで肌が触れているように、熱くて、苦しい。

「それ好き。あと口でしたい…頭掴まれてがんがんするやつ」

「そのまま口ん中でイってもいい?」

「ほしい」

「今日の侑成さんやばそう、早く壊したい」

堪らず、スマホをぎゅっと握った。まるで声が聞こえたみたいに鼓膜が熱い。その直後、また新しい通知。

「さっきの写真見てエロいこと考えたでしょ」

そこに来るか。さっきのSNS投稿。まさかこの伏線をここで回収してくるとは。そんでもってお見通しなのも愛か。

「バレてる?鎖骨今すぐ舐めたいって思った」

「今日してね」

「鎖骨舐めながらシコってイきたい」

返した自分のメッセージに、さすがに赤面する。でももう止められない。颯の前だと隠してきた俺の本性全部曝け出してしまう。

「雑魚ちんぽ罵倒しながらイかせまくってそのあとケツまんこ犯しますね」

「やっぱり俺そっちの颯のが好きかも」

「ほらね(笑)」

いやそりゃ、この前みたいなスローなえっちも良かったんだけど、と思うけど言い訳がましいかなってやめておく。

「てか僕もう限界、早く会いたいです」

俺のが限界なんだけど、って飲み込んで、颯にめちゃくちゃにされてる自分を想像して、身体が熱くなるのを止められない。

通知が止まり、画面を暗くする。

それだけの動作に、妙な未練を感じるのは、さっきまでの甘々なやり取りのせいだ。というかただのエロいやり取りだったんだけど。

「……はー……あぶな……完全に溺れてた……」

顔を両手で覆って、深呼吸。
マジでこのまま早退しそうになった自分をなんとか自制して、カフェラテをひと口。

口に含んだ苦味が、ようやく日常の輪郭を取り戻してくれる。

でも、ふとした瞬間に甦る。

「……“もう限界”って、なんだよ……」

ひとりごとのように呟いた言葉に、自分でふっと笑ってしまう。

完全にやられてる。
あの年下の、綺麗すぎる彼氏に。

画面を伏せたスマホは、ポケットの奥にしまい込んだ。
次に取り出すのは、終業のチャイムが鳴ってから。

「……ちゃんとやろ。今日は早く上がって、帰るんだから」

カフェスペースを離れ、会議資料を抱えて席に戻る。足取りは軽い。頬が緩むのは、仕方ない。

だって、あんな顔で、あんな声で……

恋は人を浮かれさせるって、昔誰かが言ってたけど。
……それ、ほんとだったんだな。





鏡の中。
自分の姿がそこにあった。
ほんの1時間前までは、まだ仕事をしていたというのに、帰宅して早々これだ。

前が開けられたワイシャツに、裸の脚。

腰までしか映らない鏡なのに、十分すぎるほどに情けなくて、女みたいな顔した俺。何より、それを後ろからじっと見ている颯の視線が、いちばん熱かった。

「ねぇ、侑成さん。鏡に映ってる自分、どう見えます?」

低く落ち着いた声が、背中のすぐ近くで響く。ほんのわずかに風を含んだような息の混じった声。それだけで、体温がじわじわと上がっていく。

「……今から…颯に犯されるの…期待してる…ように見える…」

目の端に、シャツの裾から伸びる自分の太腿が映る。その下の、わずかに震えている足首も。顔を隠したくなるほど、情けない姿で、なんて恥ずかしい事を言うのだろう。

「ちゃんと分かってて偉いですね」

「っ…♡」

優しく髪を撫でてくれていた指先が、突然荒々しく髪を掴んでくる。

「準備は?」

「っ…し……た…けど、まだ途中で…っ」

シャツの裾を指先でつままれて、ぴんと軽く引っ張られる。「じゃあ」と颯の語尾が伸びる。そして、髪を掴まれたまま俺は洗面台の淵に座らされてしまった。

呼吸が少しずつ、浅くなっていく。

「ぁ……♡♡えろ……♡♡鎖骨も…腹筋も…♡♡♡♡」

「好きですもんね」

「……っ、ん……♡♡」

「好きにしていいですよ、今は」

言われた瞬間、足を開いて、自身を扱く手が生き急ぐ。左手の中指も、蜜っぽくなった穴に押し込んで、そしたら思った以上にぐちゅぐちゅの音が響いてしまって…きゅっとナカが締まった。

「かーわい……♡」

「へ♡…ぁ♡」

「血管浮き出たびきびきの男ちんぽのくせに、ちんぽだけじゃイけないんですか?」

「ん♡、、んっ♡♡イけ、る…し別に…」

「ならケツまんこほじんのやめよっか」

冷たい視線。温度のない言葉。背筋が震えて、危うくそれで中イキしそうになるのを堪えて、指を引き抜く。名残惜しさで颯を泣きながら見上げてしまった。

「早く雑魚ちんぽシコってイって?」

「は、い、、、♡♡」

「侑成さんさ、雑魚ちんぽ晒してる時自分が歳上だって事忘れちゃいますよね。正直煽られてる気しかしないからもっと酷い事言いたくなっちゃうんですけど」

「っ♡う゛ぅ゛♡だって…♡き゛もちぃ♡…ん、だもん、頭よわよわなる、の、ぉ゛♡♡」

「そっかぁ。かわいいね。てか侑成さんて、女の子の汚ねぇまんこにコレ突っ込んだことあるんですか?」

「ぇ、あ、、♡♡な、いっ♡♡ない、よ…ほんとに……」

「まあ、こんな雑魚ちんぽじゃ2往復くらいでイっちゃいそーですもんね。顔イケメンなのに早漏でえっち下手な侑成さん、残念すぎてかわいい♡」

「……別におれ、は、女…興味…ないっ、し…」

「うん。そうじゃないと許さないです。侑成さんのちんぽは僕のために射精するだけの棒です」

颯の鎖骨あたりで鳴る不器用なリップ音と、涎をすする汚い音を遮るように、颯が俺の顎を掴みキスをしてくる。でもすぐに唇は離れて、なんの予兆もなく首が締め上げられる。

自分の思い通りに息なんてさせてもらえなくて
手を緩めたら首を絞める力が強くなって
汗ばんだ颯の鎖骨や胸元に俺はもう夢中で

「顔真っ赤にしながら射精してんの、マジでエロすぎ」

颯にそう囁かれて初めて、自分の今の状況を理解して恥ずかしくなる。

俺は洗面台の縁に浅く腰掛けたまま、身体を晒してる。ひんやりした陶器の感触が、太腿の裏を通じて静かに伝わる。

両手は、支えるように背後の縁に置いて、バレないように呼吸を整える。

目の前には、颯が立っている。至近距離。俺の膝のあいだにすっと身体を収めるように、静かに、そこにいた。

立っている颯と、腰かけた俺。
そのわずかな高低差の中に、自然と生まれる目線のズレが、呼吸をやさしく交錯させる。

触れ合う太腿。押し込まれるように詰められた距離。結合部が惜しげもなく見える、この絶景に俺は不甲斐なく二度目の絶頂を迎えてしまった。

「あ゛~~~……っ♡、、、…挿入っ、た、た゛♡けなのに゛♡イっちゃ、っ、あ゛♡♡」

「オナホなんだからちゃんとケツ穴締めて、ちんこ気持ち良くすることだけ考えて」

「は、い゛ッ♡しますっ、する、からっ゛♡ぉ゛♡♡ぱんぱん好きっ♡それ好きぃ゛、、♡ちんぽでっ、、♡奥っ♡もっと♡殴って♡」

激しい交尾の音の中、颯が腰を激しく動かす。もう、ないってくらい奥を突き刺すみたいにして。

「いく゛、、♡いくっ、、颯の生ちんぽでだいじなとこっ♡壊されたい゛っ♡颯のおなほ、…ですっ♡…ん゛♡」

「壊されるの嬉し過ぎて、精子で僕の身体汚してんの気付いてないでしょ、侑成さん」

はっとする、けど、またすぐ脳ごと揺さぶられる。

「謝ってくださいよ、ごめんなさいごめんなさいって、うっすい頼りないザーメンで汚してごめんなさいって」

「ぉあ゛っ⁉︎♡♡ひ、ぁ゛♡ごめ、ごめんなさっ、ごめんなさい゛…‼︎ごめんなさい゛っあ゛ごめっ、…んあ゛」

「いいですよ♡侑成さん年中発情期ですもんね、しかたないですよね。仕事中も発情してケツまんこ疼かせてむらむらしてごめんなさいでしょ♡我慢汁で蒸れたくっせーちんぽからザーメンぜんぶ絞り出してごめんなさいして♡」

「う゛ぁ゛ぁ゛っ、ぁ♡♡ぁあ゛や、もお゛、ごめ、なさぁ゛…………」

「こっち見ろよ」

頭掴まれて、頬を叩かれて、視界に星が飛ぶまで、何度も、何度も…

「ごめ…っ………なさ…ぁ、あ、あ゛………」

俺の喉が小さく震える。その声に、颯の動きがほんのわずか、止まった。

けれど次の瞬間、また激しく、むしろ激しさを増した下半身が押し寄せてくる。押しては、引き、押しては、最奥を、確実に、壊すつもりで、颯がくる…

指先が、洗面台の縁をぎゅっと掴んだ。その力加減ひとつで、どれほど追い詰められているかが分かる。胸が激しく上下し、息が乱れる。

その顔を、颯は恍惚な表情で見下ろして言う。

「かわいいね、僕の侑成さん…」

呟くように、頬に触れる。人差し指で輪郭をなぞりながら、頬骨の近くをくすぐるように撫でてくれる、でもまたすぐにその手は俺の首を絞めあげる。

「ナカ、ぐっちゃぐちゃにしたくなっちゃった」

そう言いながら、ゆっくりと腰を押し出す…
そして、そこから引く動作に、わずかな迷いが混ざった。
それは、颯のリズムが乱れたということだった。

「……っ」

今度は颯が、息をのむ。
舌の奥で噛み殺すように、短く漏れた吐息。
少しずつ速くなり始めた呼吸が、首を絞められて呻き声に近い声をあげる俺を自然と黙らせる。

「……っ、は…ぁ…あ゛…っ…つ…」

「あーあ…また…中出ししちゃいました…」

落ち着いた声の中に、微かな熱と不安が混じる。
ぎゅっと侑成の腰が抱き寄せられる。
距離はもう、ない。

「ぁ……あつい……颯の…いっぱい…」

「うれしい?」

「うれしい……マーキング…されるの…」

気づけば、腕に抱き上げられていた。
颯の腕の中は、安心するくらい安定していて、自分の体重を、難なく受け止めてくれる。まるで、それが当然かのように。

風呂場まで運ばれると、ゆっくりとシャワーをかけられる。
その瞬間、ふいにこみ上げた。

安心という言葉に、きっと今の自分は、溶けてなくなってしまいそうだと……





バスタオルを肩にかけたまま、俺はソファに座っていた。湯上がりの火照りをまだ頬に残したまま、ドライヤーの風が髪を優しくなでていく。

「侑成さんの髪柔らかくて気持ち良いですよね」

「んー………」

背後から、颯の落ち着いた声。優しく髪をすくい、ドライヤーの熱が偏らないように手で風を逃がしながら、丁寧に乾かしてくれる。

ドライヤー越しにふわりと香るシャンプーの匂いと、時折、指先が耳の裏をかすめるたびに、さっきまでの熱が、体の内側にふつふつと蘇ってくる。

「……ねぇ、侑成さん」

ふいに、颯の指が首筋に触れた。

「これ……ちょっと、やりすぎでしたかね」

鏡もなしに分かる。そこには、確実に痕がある。何度も口づけられ、吸われ、熱を刻まれた場所だ。それに何度もこの綺麗な手が絞め付けた場所。

「いいんだよ」

首に触れる手に、そっと自分の手を重ねる。乾かしかけの髪から雫が落ち、鎖骨のあたりに伝う。

「むしろ……颯がやったって、分かるから……嬉しい」

「そんな可愛いこと、言わないでくださいよ」

「可愛い……?」

「可愛いです」

耳の後ろに唇が触れる。ちゅ、と湿った音が小さく響いたと思ったら、手が腰に回り、背中ごと引き寄せられる。

「……っ、颯……風呂上がったばっかだろ……」

「そうですね。きれいになったばっかですから……全部、僕の好きなようにできるってことですよね」

言葉の端に、もう抑えきれない熱が滲んでいた。そのまま頬に落ちる口づけが、ふわふわと、でもどこか貪欲で。体がまた、ゆっくりと火照っていく。

もう一度始まってしまうかもしれない、と思った瞬間だった。


ソファの隣、颯のスマホが震えた。


「……出なよ」

颯が渋々腰を離し、画面をのぞき込む。

「後でいいです」

「だめ。今出ろ、マネージャーさんだろ?」

明らかに嫌そうな顔をしながら、スマホを取る颯の背中を見ながら、さっきまで預けていた体の重みと、そこに残る名残を、ゆっくりと確かめるように深く息を吐いた。

あとちょっとだったのに。

でも今日は、颯はその場で電話を始めた。前は外に出て行ってまで電話してたから、なんだか全てを見せてくれている気がして嬉しくなってしまった。

「はい、はい……いえ、それは、金曜までに調整できると思います……」

颯はソファに座った姿勢のまま、スマホを耳に当て、マネージャーとやりとりを続けている。

だけど、その反対の手が、そっと俺の髪に触れていた。

撫でるでも、梳くでもない。ただ、確かめるように、頭のてっぺんをぽん、と掌で包む。

「……あ、来週の撮影は……そうですね、17時入りなら……」

さらりと話しながらも、指先が後頭部をゆっくりとなでてくる。無意識なのか、わざとなのか。どちらにしてもなんだか、ずるい。

そんな風に触れられて、黙っていられるほど、自分は大人じゃない。

俺は静かに、颯の膝の間へとすべり込むように座った。
床に、膝をつく。目線がちょうど、颯の腰の高さと重なる。

「……♡♡♡」

声は出さない。代わりに、ルームウェアのウエストに指をかけて、軽く引いた。その下の布地に、静かに、手のひらを添える。

指を、ゆっくりと動かしてみる。
颯の声が一瞬、途切れかけた。

「……すみません、ちょっと……今、資料を……ええ、大丈夫です……」

わずかに脚がこわばるのが分かった。けれど、逃げるそぶりはない。むしろ、目が合う。
上目遣いで見上げた俺に、颯は一度だけまばたきをして、ほんの一瞬、にや、と片方の口角を上げて笑った。

その目が、「続けていいですよ」と言っていた。
むしろ、「もっと、してみてください」とも。

こいつ、余裕で構えてるつもりだな。

そんなふうに煽られて、黙っていられるわけがないい。指先に、少しだけ力が入る。電話の向こうでは、仕事の話が続いている。颯は、微動だにせず答えている。

でも、その首筋にうっすら浮かぶ汗と、押し殺すように深く吸われた息に、俺は気付いていたから。だから、颯の勃起前のちんぽを触る指先の動きに、迷いはなかった。

「……ええ、はい、それで大丈夫です……」

まだ電話は続いている。その足元では、俺がゆっくりと手を滑らせていく。

薄布の上から、指で軽く押し撫でる。

軽く、優しく、焦らすように。
指先の熱が移るたびに、膝の内側の筋肉がわずかに震えるのが見えた。

「はい……明日の朝、確認してご連絡……いえ、こちらで対応……」

ぎこちない一拍。それでも崩れない声に、わざとくすぐるようなタッチに変える。

指を使ってなぞるように、縁を確かめ、
そのまま、ぬるりと中心を撫でていく。
そっと当てた手のひらに、熱が伝わってくる。

こんなに硬くして……

そう思ったら、いたずら心がさらにくすぶった。顔を寄せて、そっと布越しに唇を押し当てる。

何も言わず、息だけを漏らして、舌先でなぞる。
濡れても、音を立てないように。

「……っ……はい、それで……ああ、ええ、大丈夫です、すみません」

颯の声が一瞬、震える。喉を引き絞るように、息を整えるその間が、たまらなく色っぽくて。

顎のあたりに、微かな震えが伝わってくる。
頑張って耐えていることを、身体が隠せていない。

わざと少しだけ強めに吸い上げた。
それでも布越しのまま、音が鳴らないように慎重に。

「……はい、それでお願いします……」

息を潜めながら見上げると、颯が唇を噛んでいるのが見えた。スマホを持つ手にも、少しだけ余計な力が入っている。

けれど視線だけは下へ。
俺を、しっかりと見ていた。
どこまでも、どこまでも甘やかすような、でも挑発的な目で。

その視線に、もうひと押ししてやりたくなった。

布の中へ、手を滑り込ませる。
そこはもう、じっとりと濡れて熱く、濃い期待で満ちていた。

「……明日また、よろしくお願……いします……っ」

かすかに、声が掠れる。
その瞬間の感覚が、俺の胸に満ちていく。

こんな颯、俺しか知らない。

そう思っただけで、口元が熱くなる。
我慢できないのは俺の方なのかもしれない。

スマホの画面が黒くなり、通話の終了音が部屋に響いた。

途端に恥ずかしくなるけど、今更引き返せるわけもなくて、俺はそのまま上目遣いで颯を見つめた。

颯の視線が、一気に足元の俺へと、すっと降りてくる。片眉をわずかに持ち上げたまま、口角をゆるめて勃起をしたそれを見せ付けてくる。

「誰がやめていいって言いました?」

低くて、甘くて、湿った声だった。
スイッチの入った声だ。

唇の端を噛みながら、颯は俺の腕を引き上げてソファに押し倒した。

「ちょーどいいや。僕これやってみたかったんですよね。馬乗りになって、目の前で勃起ちんこ見せつけながらシコってフェラさせるの」

「っ……♡ん……いーよ♡」

「侑成さんって、真面目な社会人のくせに今みたいな事平気でしちゃうんですね」

「だめだった?めちゃくちゃ勃たせてたけど」

反り上がった根本を握って、俺の鼻先に先端を押し付けて颯は、「だめなわけないでしょ」と妖艶に微笑む。

「僕といる時はずっーと発情しててほしい……♡僕の匂い覚えてほしい……♡」

「ん…っ、、、さきっぽ♡♡もぉ…えっちな匂いやばいよ……♡♡すき♡この匂い……♡」

すんっすんっ、と鼻を鳴らせば、颯の喉仏が上下して、ぴくぴくとまた痙攣する。

「すご…♡ちんぽがっちがち…♡ぴくぴくしてる…♡血管浮き上がってんのエロすぎ…♡」

「舌出して」

反射的に従えば、満足そうな颯が舌の上で扱き始める。もうその表情とか、艶っぽい息遣いとか、全てに釘付けで苦しい。

「僕の……ほしいって言ってましたよね……」

「っ、ん、、♡♡♡」

「あげる……」

「む……っ…♡♡♡、、ん♡♡♡」

仰向けじゃ長すぎてうまく喉奥に挿入らない颯のやつ。
それでも無理矢理押し込まれて、嬉しいのに苦しくて涙が。

「泣きながらしゃぶってんの♡かわいー………♡……あぁ…そう…………我慢汁は舌先で舐めとって……じょーず♡……また奥まで…………挿れて……ぐぽっぐぽっ、って……あ♡その音♡えろすぎ……♡♡♡」」

「ぅ゛……♡っ~~~~゛♡♡」

「これやばすぎます………っ♡」

立ち膝になった颯は、俺の頭をまるでプラスティックのオナホみたいに軽く扱う。颯からは見えない位置で俺はずっと足をバタつかせているけど、そんなのお構いなしで。

「ザーメン喉奥にぶっかけるからっ…♡」

その直後、喉奥に深い一撃がクる。
食道にまとわりつく重たいそれ。
油断したら吐き出してしまいそうで、俺は喉に力を入れる。

「あ……♡まだ出る……♡♡」

乱暴に口から引き抜かれる。重ためのザーメンが顔面に擦り付けられて、つい顔を背けてしまう。けれどそんな事、許されるわけがない。

「逃げないで……♡」

「っ、う゛…♡♡苦しっ……♡♡」

唇が首筋に落ちる。
触れるか触れないかの微妙な距離。でも、吐息だけで背筋が震えた。

「誘ったの侑成さんでしょ……責任取って、ちゃんと最後までしてください」

服のすき間に指が滑り込んでくる。

「ちょ……お前イったばっか…………っ…」

「侑成さんのナカに挿れないと終われないです…」

その言葉が落ちるより早く、俺の体はソファの上に綺麗に座らされた。柔らかいクッションが背中に吸い込んでいく感触の中で、肌と肌のあいだの熱が、ふたたび交わっていく準備を始める。

「だってまだ……ほら……硬いの分かるでしょ…」

正常位なんて正統派な体位が今は死ぬほど恥ずかしい。だって颯の精液で汚れた顔面を見下ろされてるんだから。

「侑成さんのナカ気持ち良くて…腰止まんないです…」

「っ゛♡♡ぉ゛…奥…♡♡♡それ♡好きっ、、、」

「じゃあもっと奥とんとんしてもい?」

「…………っ゛♡ん…♡」

たっぷりの息を吸って、颯は腰を引く。

「は……♡ちんぽっ……♡ちんぽ…♡ッ、あ♡ぁ♡ぁ……♡奥っ♡はやく……♡♡♡」

「早くほしい?」

うん、と頷く事に今は恥じらいなどない。
ふー……と颯が息を吐く。
その色っぽい表情に見惚れ、油断したその一瞬を颯は狙う。

「っ♡……うっ、、ん…っ゛♡♡~~~~!?」

「………奥…あっつ…」

「あ゛ッ♡ん゛ぁッ♡、、、な゛…っ、、、♡ん゛っ♡あぁ゛っ~~~♡♡♡」

「僕、正常位でするの好きなんですよね。見つめ合って、手…恋人繋ぎして、身体も心も全部が満たされてく気がします…」

「~~~~ッ♡♡ん゛ぉ…っ♡おれ、も、好き…っ゛…ぉ゛♡ぉお゛♡い゛♡いっ♡、、一緒に…イきたい、っ…♡♡」

口数の減る颯を見ればすぐ分かる。
もう限界、近いんだろうなって。
吐く息すら愛おしい。

「ん…好き、っ、、♡、、いっ♡、…はやとぉ♡、おねがいっ、イって、、、♡俺んナカて゛っ…………」

「…………っ…侑成さん…」

睫毛が、震えていた。
艶を帯びた眼差しが伏せられて、ぎゅっと目を閉じたその瞬間、喉から小さく零れた吐息が、肌に落ちた。

こんなに綺麗な顔を、自分だけに見せてくれるなんて。

身体を貫く動きの熱さよりも、その顔を見られることの方が、よほど強く、深く、心を揺らす。

激しく身体が重なり合う中、触れた唇の熱と、繋がった体の奥の震えが、同時に伝わってきた。

その瞬間……
絶頂に達した颯の指がぎゅっと俺の手を握る。

こんなに愛しい顔を、自分だけが知っていること。誰にも触れさせたくないと思えること。それらが心が満たしていく。

ただ、それだけだったのに。
俺にはそれが幸せすぎて、涙が出て止まらなかった。




静かに始まった夜が、
気づけば、終わる気配を見せないまま深く染まっていた。





触れ合った手が離れず、
俺たちはベットへと傾れ込む。
一度交わした熱が、冷めるどころか重なっていく。

ベッドの上だけでは、足りなかった。

ベッドサイドの明かりを浴びて、その下のラグに頬を埋めて声を震わせた頃には日付が変わっていた。
壁に背中を預けて、肩を震わせながら口づけを交わしたのは、いつのことだったか。

気づけば、キッチンのカウンターの端に手をついていた。冷たい天板も、すぐに体温を吸って、意味を失っていった。

寝室へ続く廊下の途中、もう立っていられずに座り込んだ夜明け前……

そこで重ねられたキスの回数なんて、覚えていない。

「もう無理」なんて、何度も言って、言われた。
でもそのあと、必ずどちらかが笑って、もう一度引き寄せた。

時折、どちらが上だったのかも曖昧になる。
けれど確かに、名前だけはずっと呼び合っていた。

明け方のカーテンの隙間から差し込む光が、
再びソファの上で交わるふたりの肩に、そっと触れる。

散らばった服、冷えた水、
頬に残る指の跡、鎖骨に咲いた赤い名残。
そのすべてが、この夜俺たちが求め合い続けた証拠だった。

もう、誰にも邪魔はできない。

言葉よりも、熱よりも、深く俺たちを繋いだ。
「この人となら、何度でも、溺れてもいい」と思えた。

それでも
どんなに深い場所で二人隠れようとも
その夜は、容赦なく朝を連れてきてしまうのだった。
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箕田 はる
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婿養子として篠山家で生活している睦紀は、結婚一年目にして妻との不仲を悩んでいた。 事あるごとに身の丈に合わない結婚かもしれないと考える睦紀だったが、以前から親交があった義父の俊政と義兄の春馬とは良好な関係を築いていた。 二人から向けられる優しさは心地よく、迷惑をかけたくないという思いから、睦紀は妻と向き合うことを決意する。 だが、同僚から渡された風俗店のカードを返し忘れてしまったことで、正しい三人の関係性が次第に壊れていく――

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