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部屋中全てで愛を交わしても
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まだ、朝が静かに息を潜めていた。
カーテンの隙間から差し込む淡い光が、揺れる肩と肩のあいだをすり抜けていく。
肌と肌が重なるたび、小さな音がソファの革を鳴かせる。息遣いだけが部屋を満たし、名残惜しげに指が背中をなぞる。
何度目かわからないその重なりは、
まるで「終わらないで」と祈るような、熱の繋がりだった。
「ぅ゛♡♡っ゛♡…はやと…♡好きっ……好きっ♡♡、、、」
「僕も……大好き…っ…」
「部屋中でえっち…しちゃっ、た、な…っ゛♡」
「でもまだ足んない…」
ソファに座る颯の首にしがみついて、腰を振り落とす。自分でも引く。足りないのは俺もなんだ。
「侑成さんのここ…♡犯すたびに狭くなるの…♡だから…♡ちんぽで広げなきゃ…♡あー…………一生ハメてたい…♡」
「……な、なぁ…俺……まだ足りないの、やばくない…?」
俺の声は、もう若干くぐもっていた。息はとっくに上がってるし、汗は凄いし、腰も……。
でも、そんな俺がまたがっている19歳はというと。
ほんのり頬を染めながらも、信じられないくらい元気そうだった。
「じゃあこれで最後にしましょうね」
「お前さっきも“もう一回だけ”って……っ」
「……さっきのはさっきの“最後”で、これは今回の最後です」
「何その詭弁……言いながら笑ってんじゃねーよ…てか19の、体力すげぇ……」
「これって別に年のせいとかじゃないですよ」
と、颯は真顔で言う。
「侑成さんが相手だからです。僕、性欲とかあんまりなかったし……」
「嘘つけ……っ、今この状況でそれは説得力ゼロだろ……!」
「ほんとですって。僕、侑成さん以外でこんなに何回もしたいなんて思ったことないです」
「……は、はいはい……」
「そうやって流さないでください。僕ほんとに本気なんですよ」
言いながら、ぴた、と額を寄せてくる。汗ばんだ肌が触れ合って、もうそれだけで全身がぴくんと反応した。
「……可愛くて、全部ほしくなっちゃう。侑成さんの声も、顔も、身体もぜんぶ」
「……っ、も……いっぱいあげただろ……」
熱でぼうっとしてる頭に、そんな言葉をさらっと落としてくるなんて反則だ。
「侑成さん♡僕の勃起ちんぽ大好きでしょ…?こーやって…亀頭でぐりぐりーって…内臓押し上げて……♡」
「っ゛う……♡♡♡」
「ゴム多めに買って来たのにもうこれラストですよー♡侑成さんのキツマンコのせいでもうイっちゃいそ…♡ほらほら♡いいんですか?このままじゃ僕まだイき足りなくて中出しになっちゃいますよ♡」
「あ゛っ♡だめぇ…え♡も、何回中出ししたと思って…っ」
「だめ?さっき中に出してって言ってたのに?」
「ん゙、、、ッ♡♡~~~~っばか…♡」
「ねぇ、どっち?」
「…ひぁっ゛………⁉︎♡♡♡」
奥まで一気に犯されて身体が跳ね上がる。それから1秒もしないうちだった。
「あーあ……侑成さんが痙攣アクメきめちゃうから、、、イっちゃいました…♡」
「ッ…♡」
「でも…まだ足りないので………♡」
「…あ゙♡あ゛ぁ゛ッ♡♡まだだめ~~~~~‼︎ッ♡♡……………ん゙…………ッ♡」
「ほんっとにこれで最後にしますから、っ、」
「あっ……生ぁ……♡♡だめっ、あ゙♡あぁ゙ッ♡」
「とんとんとん♡って僕主導の腰振り…好きですもんね♡声帯緩めて、最後ちゃんと声出して、きもちいって、、言ってくださいっ……♡♡♡」
「んぉ゛♡きもちい゛ッ♡♡きもちいっ、の、ぉ゛お゛♡♡ぅ~~~♡♡♡」
「ぼくも……♡」
下から突き上げられて……
抜き差しのトコ見せられて……
正常な思考なんてできるわけない……
「ん゛ッ♡♡♡~~~~~~~~やっ…ば……ぁ♡♡♡おれのまんこ颯のちんぽで広げられてるの分かるッ♡う゛ッ♡♡う゛ッッ♡♡♡」
「はい…♡僕のちんぽ抜き差しするためだけの穴にします♡バカまんこになるまで何度だって犯します♡僕のだって刻みます♡」
「い゛ッッ、、、はいっ、、♡♡♡」
「いーお返事ですねぇ♡」
「ぉ゛♡お願いしまっ♡♡♡颯の専用ちんぽ穴にしてくださッッ♡♡♡ぁ♡あぁ゛……♡♡」
「はい♡嫌だって言ったとしても侑成さんはもう僕のものですよ♡はー………♡イきそ………♡バカまんこにどろっどろのやつ流し込みますねっ………♡♡ぁ…♡♡やば……♡イく…♡♡♡♡」
「んん゙~~~ッ♡好き~~ッ♡♡イグッ!!♡イッちゃう!!♡♡♡大好きな颯にイかされんの好きッ‼︎♡ねえもうおかしくなんの♡颯とえっちすんのやばいッ!!♡何回でもイけちゃ、、、うっ、、、♡」
「幸せすぎてやばいです…♡ッん♡イく…………♡」
「ぁ♡あ♡あっ♡どくどくきてるッ♡中ッ♡なかぁッ♡♡きもちい゛……………♡♡♡♡は、、はー…………ぁ…♡♡♡♡」
どちらともなく、名前を呼んだ。
どちらともなく、手を伸ばして、指を絡めた。
もう、どこに力を入れたらいいかもわからないほど、すべてを出し尽くした。
「あぁ……」
とろけた吐息が、俺の喉から零れた。
呼吸を整える余裕もなくて、ただ胸が上下している。
真上から覆いかぶさるように、颯の重みが乗っている。
でも、それさえも心地よくて、動きたくない。
「……侑成さんと……同じとこで……イったの、嬉しかった…」
「……そりゃ、お前が上手いからだろ……」
「ふふ、そうかも」
息を弾ませながらも笑う颯に、
俺はもう、何も言えなくて、ただ目を細める。
重ねた額が、うっすらと汗をにじませていて、お互いの熱が冷めないまま、時間だけがやわらかく流れていく。
ソファのクッションが、深く沈む。肌にまとわりついたブランケットも、乱れた髪も、すべてがどうでもよくなるほど、
心が“ここ”に落ち着いていた。
「……俺もう、動けない……」
「じゃあこのまま、寝ましょうか。ここで」
「ベッド……じゃなくて……?」
「……移動させる元気、僕にはないです」
「同じく……」
絡んだ指を離さずに。
重なった体を解かずに。
ふたりはそのまま、ゆっくりと意識を手放していく。
静かな室内に、やがて響くのは、
重なった心音と、浅く安らかな寝息だけ。
空っぽになった俺の身体の奥には、颯が。
颯の中にはきっと俺だけが。
ただ、残っていた。
リビングに差し込む陽が、柔らかく肌を照らしていた。それはもう夜を目の前まで知らせていた。
ソファに沈む感触、体にまだ残る微熱。
そしてすぐ隣で、寝息を立てる颯の寝顔。
目を覚ました俺は、しばらくの間動くこともできずにいた。というより、動きたくなかった。
そっと視線を落とす。
整った顔立ちが、今はすっかり力を抜いて、まつげの影が頬に落ちている。呼吸は深く、穏やかで、まるで子どもみたいに無防備だった。
……ほんと、綺麗な顔してんな……
思わず指先で、軽く頬を撫でる。
睫毛がかすかに揺れたけれど、それだけで、まだ眠っている。
ふと、こんな顔を見せるのは、自分だけなのだと気づいて、
胸の奥がきゅうっと温かくなる。
今は……俺しか、知らないんだよな。こんな顔…
「……侑成さん……?」
ふわりとした声が、目の前から返ってくる。
睫毛が開き、眠たげな瞳がゆっくりとこちらを見上げた。
「おはよ。起こした?」
「ううん……なんか……くすぐったいなって思ったら……」
「寝顔、見てた。……かわいすぎて」
言ってしまってから、さすがに自分で照れる。
けれど颯は、ふにゃっと笑っただけだった。
「……僕、こんなに安心してたことないです。どこも力入ってなくて……侑成さんの腕の中でしか、こんなに無防備になれない」
「……ほんとに、俺だけ?」
「ほんとです。……見てください、こんな顔、他の人に見せたくないでしょ?」
「うん、絶対見せたくない」
俺はそう言いながら、そっと額に口づけた。
触れた唇よりも、胸の奥のぬくもりの方がずっと熱かった。
「……ねえ、もうちょっとこのまま……」
「いいよ。……もう、ずっとでもいい」
絡めた腕に力を込めて、もう一度ふたり、目を閉じた。このぬくもりだけが、本物だと信じられるように。
「てか、今何時?…………」
「……えっ……うそ、もう18時?」
颯がソファの隣でぴょこんと体を起こす。スマホの画面を覗き込んだ顔は、ちょっと真剣だった。
「やば……完全に昼間、すっ飛ばしてる……」
ぼさぼさの髪のまま天井を見上げて、颯は軽く唇を尖らせる。
「せっかくのオフなのに……1日を無駄にした感じが……」
それを聞いた俺は、まだソファに沈みながら、目を細めて言った。
「……は?めちゃくちゃ幸せだったけど」
「……え?」
「寝てただけでも、颯と一緒なら最高なんだけど。……てか一日中えっちする約束だったろ」
颯が目を丸くするのを横目で見ながら、俺は小さく息をついた。言ったあとにちょっとだけ恥ずかしくなって、ブランケットを引き寄せて顔を隠す。
言いすぎたかも……
でも颯は、そんな俺を見てふっと笑ってくれる。
「……じゃあ、夜くらいは外に行きますか?このままご飯でも食べに」
「……別に、行かなくてもいいだろ」
「え?」
「……なんかもう、今日は外とかどうでもいいし」
「じゃあ何したいですか?」
「……颯と、家でだらだらしてたい。ずっと」
「……え、甘えてます?」
「甘えてねぇよ」
「甘えてますよね?」
「だから甘えてないって……」
「めっちゃ甘えてるじゃないですか、可愛い……」
そう言いながら、颯がくしゃっと笑って俺の髪をくしゃっと撫でる。あまりにあっけらかんと愛情を向けられるから、俺は返す言葉がなくて、ただ、誤魔化すようにブランケットに顔をうずめた。
「これからは毎日一緒なのに、まだ足りない…って思うのは俺だけなわけ?」
「ううん、僕も同じです。明日も明後日も僕はここに帰るのに寂しいです。会えない時間が1分でもあるならそれはもう寂しいんですよ」
「……分かる」
ふたりで並んで座るソファの上。颯は、何か言いたげに視線を下げたまま、自分の指先をそっといじっていた。
「……僕、けっこう……侑成さんに依存してますよね」
「だめなの?」
「いや……なんか、昨日から今日一日ずっと一緒にいて、嬉しかったんですけど……同時に、“依存しすぎかな”って、ちょっと思っちゃって」
目を伏せて笑う颯の声には、ほんの少しだけ不安が混じっていた。甘えることに慣れているようで、どこかで気にしている。そんな繊細さを、俺は感じてしまった。
「……それ、悪い意味じゃないだろ」
「……え?」
「“俺に依存してる”って、颯がそう言うのはさ、俺のこと大事にしてくれてるってことじゃん」
俺はゆっくりと、颯の頭に手を伸ばして髪を撫でる。何度も触れてきた柔らかい髪なのに、こうしていると不思議と落ち着く。
「颯にとって、俺が“いないとダメ”って思えるくらい、大きな存在でいられるならさ、むしろ誇りだよ」
「……侑成さん……」
「俺も、颯がいないと生きてけない自信あるし。そういうのって……もう、依存とかじゃなくて、“家族”みたいなもんじゃね?」
その言葉に、颯はぱちんとまばたきをして、次の瞬間には、ふにゃっと笑って寄りかかってきた。
「……じゃあ堂々と依存しちゃいますね。侑成さんに」
「ん、全部受け止めるよ」
「……かっこいい侑成さんだ…」
「たまには、ね」
体を預け合って、重なるぬくもり。それはきっと、“依存”なんて言葉じゃ表しきれない、優しくて強いものだって俺は思うんだ。
カーテンの隙間から差し込む淡い光が、揺れる肩と肩のあいだをすり抜けていく。
肌と肌が重なるたび、小さな音がソファの革を鳴かせる。息遣いだけが部屋を満たし、名残惜しげに指が背中をなぞる。
何度目かわからないその重なりは、
まるで「終わらないで」と祈るような、熱の繋がりだった。
「ぅ゛♡♡っ゛♡…はやと…♡好きっ……好きっ♡♡、、、」
「僕も……大好き…っ…」
「部屋中でえっち…しちゃっ、た、な…っ゛♡」
「でもまだ足んない…」
ソファに座る颯の首にしがみついて、腰を振り落とす。自分でも引く。足りないのは俺もなんだ。
「侑成さんのここ…♡犯すたびに狭くなるの…♡だから…♡ちんぽで広げなきゃ…♡あー…………一生ハメてたい…♡」
「……な、なぁ…俺……まだ足りないの、やばくない…?」
俺の声は、もう若干くぐもっていた。息はとっくに上がってるし、汗は凄いし、腰も……。
でも、そんな俺がまたがっている19歳はというと。
ほんのり頬を染めながらも、信じられないくらい元気そうだった。
「じゃあこれで最後にしましょうね」
「お前さっきも“もう一回だけ”って……っ」
「……さっきのはさっきの“最後”で、これは今回の最後です」
「何その詭弁……言いながら笑ってんじゃねーよ…てか19の、体力すげぇ……」
「これって別に年のせいとかじゃないですよ」
と、颯は真顔で言う。
「侑成さんが相手だからです。僕、性欲とかあんまりなかったし……」
「嘘つけ……っ、今この状況でそれは説得力ゼロだろ……!」
「ほんとですって。僕、侑成さん以外でこんなに何回もしたいなんて思ったことないです」
「……は、はいはい……」
「そうやって流さないでください。僕ほんとに本気なんですよ」
言いながら、ぴた、と額を寄せてくる。汗ばんだ肌が触れ合って、もうそれだけで全身がぴくんと反応した。
「……可愛くて、全部ほしくなっちゃう。侑成さんの声も、顔も、身体もぜんぶ」
「……っ、も……いっぱいあげただろ……」
熱でぼうっとしてる頭に、そんな言葉をさらっと落としてくるなんて反則だ。
「侑成さん♡僕の勃起ちんぽ大好きでしょ…?こーやって…亀頭でぐりぐりーって…内臓押し上げて……♡」
「っ゛う……♡♡♡」
「ゴム多めに買って来たのにもうこれラストですよー♡侑成さんのキツマンコのせいでもうイっちゃいそ…♡ほらほら♡いいんですか?このままじゃ僕まだイき足りなくて中出しになっちゃいますよ♡」
「あ゛っ♡だめぇ…え♡も、何回中出ししたと思って…っ」
「だめ?さっき中に出してって言ってたのに?」
「ん゙、、、ッ♡♡~~~~っばか…♡」
「ねぇ、どっち?」
「…ひぁっ゛………⁉︎♡♡♡」
奥まで一気に犯されて身体が跳ね上がる。それから1秒もしないうちだった。
「あーあ……侑成さんが痙攣アクメきめちゃうから、、、イっちゃいました…♡」
「ッ…♡」
「でも…まだ足りないので………♡」
「…あ゙♡あ゛ぁ゛ッ♡♡まだだめ~~~~~‼︎ッ♡♡……………ん゙…………ッ♡」
「ほんっとにこれで最後にしますから、っ、」
「あっ……生ぁ……♡♡だめっ、あ゙♡あぁ゙ッ♡」
「とんとんとん♡って僕主導の腰振り…好きですもんね♡声帯緩めて、最後ちゃんと声出して、きもちいって、、言ってくださいっ……♡♡♡」
「んぉ゛♡きもちい゛ッ♡♡きもちいっ、の、ぉ゛お゛♡♡ぅ~~~♡♡♡」
「ぼくも……♡」
下から突き上げられて……
抜き差しのトコ見せられて……
正常な思考なんてできるわけない……
「ん゛ッ♡♡♡~~~~~~~~やっ…ば……ぁ♡♡♡おれのまんこ颯のちんぽで広げられてるの分かるッ♡う゛ッ♡♡う゛ッッ♡♡♡」
「はい…♡僕のちんぽ抜き差しするためだけの穴にします♡バカまんこになるまで何度だって犯します♡僕のだって刻みます♡」
「い゛ッッ、、、はいっ、、♡♡♡」
「いーお返事ですねぇ♡」
「ぉ゛♡お願いしまっ♡♡♡颯の専用ちんぽ穴にしてくださッッ♡♡♡ぁ♡あぁ゛……♡♡」
「はい♡嫌だって言ったとしても侑成さんはもう僕のものですよ♡はー………♡イきそ………♡バカまんこにどろっどろのやつ流し込みますねっ………♡♡ぁ…♡♡やば……♡イく…♡♡♡♡」
「んん゙~~~ッ♡好き~~ッ♡♡イグッ!!♡イッちゃう!!♡♡♡大好きな颯にイかされんの好きッ‼︎♡ねえもうおかしくなんの♡颯とえっちすんのやばいッ!!♡何回でもイけちゃ、、、うっ、、、♡」
「幸せすぎてやばいです…♡ッん♡イく…………♡」
「ぁ♡あ♡あっ♡どくどくきてるッ♡中ッ♡なかぁッ♡♡きもちい゛……………♡♡♡♡は、、はー…………ぁ…♡♡♡♡」
どちらともなく、名前を呼んだ。
どちらともなく、手を伸ばして、指を絡めた。
もう、どこに力を入れたらいいかもわからないほど、すべてを出し尽くした。
「あぁ……」
とろけた吐息が、俺の喉から零れた。
呼吸を整える余裕もなくて、ただ胸が上下している。
真上から覆いかぶさるように、颯の重みが乗っている。
でも、それさえも心地よくて、動きたくない。
「……侑成さんと……同じとこで……イったの、嬉しかった…」
「……そりゃ、お前が上手いからだろ……」
「ふふ、そうかも」
息を弾ませながらも笑う颯に、
俺はもう、何も言えなくて、ただ目を細める。
重ねた額が、うっすらと汗をにじませていて、お互いの熱が冷めないまま、時間だけがやわらかく流れていく。
ソファのクッションが、深く沈む。肌にまとわりついたブランケットも、乱れた髪も、すべてがどうでもよくなるほど、
心が“ここ”に落ち着いていた。
「……俺もう、動けない……」
「じゃあこのまま、寝ましょうか。ここで」
「ベッド……じゃなくて……?」
「……移動させる元気、僕にはないです」
「同じく……」
絡んだ指を離さずに。
重なった体を解かずに。
ふたりはそのまま、ゆっくりと意識を手放していく。
静かな室内に、やがて響くのは、
重なった心音と、浅く安らかな寝息だけ。
空っぽになった俺の身体の奥には、颯が。
颯の中にはきっと俺だけが。
ただ、残っていた。
リビングに差し込む陽が、柔らかく肌を照らしていた。それはもう夜を目の前まで知らせていた。
ソファに沈む感触、体にまだ残る微熱。
そしてすぐ隣で、寝息を立てる颯の寝顔。
目を覚ました俺は、しばらくの間動くこともできずにいた。というより、動きたくなかった。
そっと視線を落とす。
整った顔立ちが、今はすっかり力を抜いて、まつげの影が頬に落ちている。呼吸は深く、穏やかで、まるで子どもみたいに無防備だった。
……ほんと、綺麗な顔してんな……
思わず指先で、軽く頬を撫でる。
睫毛がかすかに揺れたけれど、それだけで、まだ眠っている。
ふと、こんな顔を見せるのは、自分だけなのだと気づいて、
胸の奥がきゅうっと温かくなる。
今は……俺しか、知らないんだよな。こんな顔…
「……侑成さん……?」
ふわりとした声が、目の前から返ってくる。
睫毛が開き、眠たげな瞳がゆっくりとこちらを見上げた。
「おはよ。起こした?」
「ううん……なんか……くすぐったいなって思ったら……」
「寝顔、見てた。……かわいすぎて」
言ってしまってから、さすがに自分で照れる。
けれど颯は、ふにゃっと笑っただけだった。
「……僕、こんなに安心してたことないです。どこも力入ってなくて……侑成さんの腕の中でしか、こんなに無防備になれない」
「……ほんとに、俺だけ?」
「ほんとです。……見てください、こんな顔、他の人に見せたくないでしょ?」
「うん、絶対見せたくない」
俺はそう言いながら、そっと額に口づけた。
触れた唇よりも、胸の奥のぬくもりの方がずっと熱かった。
「……ねえ、もうちょっとこのまま……」
「いいよ。……もう、ずっとでもいい」
絡めた腕に力を込めて、もう一度ふたり、目を閉じた。このぬくもりだけが、本物だと信じられるように。
「てか、今何時?…………」
「……えっ……うそ、もう18時?」
颯がソファの隣でぴょこんと体を起こす。スマホの画面を覗き込んだ顔は、ちょっと真剣だった。
「やば……完全に昼間、すっ飛ばしてる……」
ぼさぼさの髪のまま天井を見上げて、颯は軽く唇を尖らせる。
「せっかくのオフなのに……1日を無駄にした感じが……」
それを聞いた俺は、まだソファに沈みながら、目を細めて言った。
「……は?めちゃくちゃ幸せだったけど」
「……え?」
「寝てただけでも、颯と一緒なら最高なんだけど。……てか一日中えっちする約束だったろ」
颯が目を丸くするのを横目で見ながら、俺は小さく息をついた。言ったあとにちょっとだけ恥ずかしくなって、ブランケットを引き寄せて顔を隠す。
言いすぎたかも……
でも颯は、そんな俺を見てふっと笑ってくれる。
「……じゃあ、夜くらいは外に行きますか?このままご飯でも食べに」
「……別に、行かなくてもいいだろ」
「え?」
「……なんかもう、今日は外とかどうでもいいし」
「じゃあ何したいですか?」
「……颯と、家でだらだらしてたい。ずっと」
「……え、甘えてます?」
「甘えてねぇよ」
「甘えてますよね?」
「だから甘えてないって……」
「めっちゃ甘えてるじゃないですか、可愛い……」
そう言いながら、颯がくしゃっと笑って俺の髪をくしゃっと撫でる。あまりにあっけらかんと愛情を向けられるから、俺は返す言葉がなくて、ただ、誤魔化すようにブランケットに顔をうずめた。
「これからは毎日一緒なのに、まだ足りない…って思うのは俺だけなわけ?」
「ううん、僕も同じです。明日も明後日も僕はここに帰るのに寂しいです。会えない時間が1分でもあるならそれはもう寂しいんですよ」
「……分かる」
ふたりで並んで座るソファの上。颯は、何か言いたげに視線を下げたまま、自分の指先をそっといじっていた。
「……僕、けっこう……侑成さんに依存してますよね」
「だめなの?」
「いや……なんか、昨日から今日一日ずっと一緒にいて、嬉しかったんですけど……同時に、“依存しすぎかな”って、ちょっと思っちゃって」
目を伏せて笑う颯の声には、ほんの少しだけ不安が混じっていた。甘えることに慣れているようで、どこかで気にしている。そんな繊細さを、俺は感じてしまった。
「……それ、悪い意味じゃないだろ」
「……え?」
「“俺に依存してる”って、颯がそう言うのはさ、俺のこと大事にしてくれてるってことじゃん」
俺はゆっくりと、颯の頭に手を伸ばして髪を撫でる。何度も触れてきた柔らかい髪なのに、こうしていると不思議と落ち着く。
「颯にとって、俺が“いないとダメ”って思えるくらい、大きな存在でいられるならさ、むしろ誇りだよ」
「……侑成さん……」
「俺も、颯がいないと生きてけない自信あるし。そういうのって……もう、依存とかじゃなくて、“家族”みたいなもんじゃね?」
その言葉に、颯はぱちんとまばたきをして、次の瞬間には、ふにゃっと笑って寄りかかってきた。
「……じゃあ堂々と依存しちゃいますね。侑成さんに」
「ん、全部受け止めるよ」
「……かっこいい侑成さんだ…」
「たまには、ね」
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