辺境の女領主、王家から婿をもらう

しゃもん

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02.辺境への道のり

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 第二王子である俺は、よく晴れた朝、用意された馬車に乗って辺境へと向かった。

「なんでだよ……畜生、勅命をもらったその翌日に、もう辺境に向かわなきゃならないんだ。」

 本来なら、出発までにもう少し猶予があるはずだった。  
 だが翌朝にはすでに馬車の準備が整えられ、目も覚めきらぬうちに屋敷から叩き起こされ、乗らざるを得なかった。

 目の前に座っている側近――話によると、どうやら“追放”されたらしい。  
 そこまでのことをした覚えはないのだが、どうやら俺は、かなり“邪魔”らしい。  
 俺が“王”になるなんて、ありえない話なのにな。

 そんなことを、むずむずとつぶやいていると、目の前の側近は馬車の揺れに身を任せながら、こくりこくりと居眠りをしていた。

 昨日、あれほど心配していたくせに、目の前でこうも気持ちよさそうに眠られると、なぜか非常に腹立たしい。

 シャルルがそんなことを数日間考えていたが、そのうち自分も同じ状態になった。

 なんせいけども行けども周囲は岩や砂しかなかった。

 やっとの思いでついたところ、そこには無骨だが堅牢な砦があった。

「やっとつきましたね。シャルル様。」

 数週間かかって、シャルルとアルは辺境砦にたどりつた。
 死にそうなほど暇な過酷と戦って、彼らが勝利した瞬間だった。

 受かれた気持ちの彼らは、これから自分たちが地獄をみることをまだ知らなかった。
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