転生してもオタクはなおりません。

しゃもん

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15.ブラン口説く

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「約束だよ。」

 ブランは昔のように小指を差し出した。  
 信子のぶこは少し戸惑いながらも、ハニカミつつ自分の小指を出し、そっと絡めた。

「ふふ……懐かしいわね。」

「うん。君とこうして話せる日が来るなんて、夢みたいだ。」

 ブランはそのまま、胸元から一枚の書類を取り出した。  
 それは、公的機関によって発行された離婚証明書だった。

「昨日言われた通り、僕はもう独身だ。……結婚してくれ、信子のぶこ。」

「ちょ、ちょっと……なんで離婚できたのよ?」

「もちろん、君を――信子のぶこを愛してるからだよ。」

 信子のぶこは、書類を手に取って目を通すと、手が震えた。  
 そして、涙がこぼれ落ちた。

「……数十年前、あの時はどうしてもできなかったのに……」

「ごめんよ。僕が不甲斐なかったから……」

 ブランはそっと彼女の手を握った。  
 その手を振り払うことなく、信子のぶこは静かに言った。

「でも……私は庶民よ。ルービック家の奥方なんて、務まらないわ。」

「無理じゃない。もし君が嫌なら、僕は当主をブラウンに譲るよ。  
 それで、君と一緒にいられるなら、それでいい。」

「……それでも、私は……」

 ブランは一枚の書類を差し出した。  
 そこには、彼女の治療にかかった費用が詳細に記されていた。

「この金額……なに、これ……?」

「君が“魔法無効化体質”だったせいで、治癒魔法が使えなかった。  
 だから、すべて高級薬草と超高級聖水での治療になったんだ。」

「そ、それなら……」

「君を治療せずに、花子はなこを悲しませるわけにはいかない。  
 君がいなくなれば、あの子は本当に天涯孤独になる。……それでもいいのかい?」

 信子のぶこは、何も言い返せず、沈黙した。

「それに、君が僕と結婚しなければ、この治療費は花子はなこが背負うことになる。」

「……そんな……」

「だから、お願いだ。君のためでも、娘のためでもいい。  
 この婚姻書に、サインしてくれ。」

 信子のぶこは、涙目でブランを見つめた。  
 しばらくの沈黙のあと、彼女はそっとペンを取り、婚姻書にサインした。

「ありがとう、信子のぶこ。」

 ブランは彼女の手をそっと握り、額に優しく口づけた。

「じゃあ、これを届けてくるよ。おやすみ。」

 ブランは丁寧に婚姻書を折りたたむと、病室を後にした。

 信子のぶこは、彼の後ろ姿を見送りながら、  
 大きなため息をついて、ベッドに仰向けに倒れ込んだ。
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