ご先祖さまは中二病⁉

しゃもん

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6.前線の砦_薬を届ける

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 イチカとルールーは、がっしりとした岩が幾重にも積み上がった城壁に囲まれた砦に、薬子に頼まれた薬が入った荷車を、彼女から借りてきたロバに引かせながら届けにやって来た。

 ルールーは砦の入口に荷車を止めると、そこの詰め所にいた老兵士に声をかけた。  
 がっしりとした体格にいかつい顔をしたその兵士は、どちらかといえば兵士というより盗賊の方が似合いそうな風貌の老人だった。  
 彼は近づいてきた二人をぎろりと睨みつける。

 ビクッと身をすくめるイチカと、にっこりと微笑むルールー。  
 好対照な二人を、老兵士はジロリと一瞥すると、しわがれた声で詰問してきた。

「こんな砦に、何の用だ?」

 ルールーは、いかつい顔の老兵士に笑いかけながら、薬子にもらった用紙を差し出した。  
 老兵士はその用紙をしばらくじっと見つめたかと思うと、すぐそばの机に放り投げ、いきなり腰に差していた剣に手をかけてルールーに斬りかかった。

 ルールーはそれをわずかに身を引いてかわす。

 ――躱された、だと?  
 そんなバカなことがあるわけないわぁ……!

 老兵士はもう一度、ルールーに斬りかかった。  
 ルールーは先ほどと同じように、ほんの少しだけ動いてそれを躱す。

 数度同じことが繰り返されたところで、老兵士の後ろにあった扉が開き、若い男が入ってきた。

「じーさん、お待たせ。買ってきたよぉーっと……あれ? なんで薬子のねーちゃんいないんだぁ?」

 能天気な声で入ってきた少年は、ルールーと老人の様子を見て固まった。

「お……なに?」

「おい、じーさん交代?」

 固まっている少年の後ろから、今度はもう一人の若い男が入ってきた。

「あれ……薬子の姉御が来たんじゃないのか? あんたら誰だ?」

 若い男は、先ほど老人が放った机の上にある用紙に気づくと、すぐにそれを手に取り、慌てて老兵士を止めた。

「おい、じーさん。そこのねーちゃんに斬りかかるのはやめだ。そこの二人は、薬子の姉御が推薦してきた兵士志望者みたいだぞ。」

「「はあぁー?」」

 少年と老兵士の声が見事にハモった。

「こっちのねーちゃんはわかるけど、このちびっ子もか? 髪なんて真っ白だぞ。」

 少年はイチカに近づき、少女の真っ白な髪に手を伸ばそうとした――その瞬間、ルールーに手を掴まれた。

「少年。何をしようとした?」

 ルールーからほとばしった殺気に、少年はその場で白目を剥いてぶっ倒れた。  
 老兵士と後から入ってきた若い男は、その場にくぎ付けになる。

 ルールーから放たれた殺気は、その場にいた三人だけでなく、砦の中で訓練をしていた兵士たちにも届いたようで、やがて詰め所には剣を片手にした大勢の兵士が集まり、大騒ぎとなった。

 ちなみに、その騒ぎの中――  
 イチカはなぜかルールーからの殺気を難なくスルーし、ぼんやりとその場の大騒ぎを他人事のように眺めていた。
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