ご先祖さまは中二病⁉

しゃもん

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10.前線の砦5_砦ででの朝食

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 立ち上がったルールーを凝視しながら、イチカは心の中で叫んでいた。

 ――ルー……ルー……ルー、な、なんで真っ裸なの? な、なんで私と一緒に……ね、寝てるのよ。すぐそこにベッドがあるのに?

 イチカはどもりながらも、真っ赤になって状況を把握しようとしていた。

 落ち着け、ワタシ。  
 ワタシは女。ルールーもオンナ。  
 落ち着け、ワタシ……。

 呼吸を吸って吐いて……いや違う、吐いてから吸って……。

 ハースー、はーすー、ハースー……。

 ヨシ! 落ち着いた……はず?

 トントントン。

 気のせい?  
 何か聞こえた?

「おはようございます?」  
「あのー、朝食の時間なんですが……?」

 イチカが心を落ち着けて状況を理解する前に、ルールーがやらかした。

「はぁー。ちょっと待ってて。」

 ルールーはイチカから離れると、そのままの格好でドアを開けた。

 ぐはぁー。  
 プシュー。  
 がはぁあああああああああああああ!

 バタン。  
 ガッシャーン。

 よくわからない擬音がして、廊下が真っ赤に染まった。

 私は大慌てでベッドから飛び出すと扉を閉め、ベッド脇に散らばっていたルールーの服を拾い集め、彼女にそれを着てから外に出るように厳命した。

「あらぁ~。ちょっとしたサービスだったのに。」

 サービスっていうより、殺人なのでは?  
 イチカは自分も服の上に上着を重ねてから、ルールーを先頭にドアを開けた。

 そこには、若い兵士たちを小脇に抱えた老兵士がいた。

「おい、こいつらが目を覚ましたら、ここを掃除するように言っておけ。」

 老兵士の後ろに立っていた厳つい男が敬礼すると、すぐに老兵士が小脇に抱えた兵士たちを受け取り、どこかへ連れて行った。  
 老兵士はそのまま二人に振り返ることなく、スタスタと階段を下りていく。

 ルールーは何も言わずにその後をついていき、イチカも同じように前を行く二人について行った。

 石の階段を何段も降り、長い廊下を延々と歩いた先に、いい匂いとともに大きな部屋が現れた。

「あら、ここを食堂にしたのね。」

 ルールーは、長机が所々に並べられ、幾人もの兵士がガヤガヤと話しながら食事をしている中を、老兵士に続いて人にぶつかることもなくスイスイと進んでいく。

 すぐに中央にデーンと置かれた、他の長机とは色の違うテーブルの前に座ると、中年の兵士が肉が溢れんばかりに盛られた大皿を持ってきた。

「明日からはもっと早く起きろ。朝は魔獣の討伐だ。」

 老兵士は目の前に置かれた大皿から肉を手づかみで取り、中央に置かれていたマルパンに挟んで食べ始めた。

「あらあら。それじゃあ私たちは無事に採用になったようね。これからよろしくね、隊長!」

 ルールーの挨拶をまるっと無視して、老兵士はそのまま(´~`)モグモグと食べ続け、新しい肉を手づかみで掴んではパンに挟んでいた。

「さて、今日は何にしようかしら?」

 ルールーが小指を上げると、近くを通りかかった若い兵士がルールーのもとへやってきた。

「野菜と煮魚と、魔獣の肉をお願いね。」

 若い兵士はルールーに頷くとどこかへ消え、ゼェハァ言いながらもルールーに言われたものを持って現れ、大皿を置くとすぐにいなくなった。

 隣でその様子を見ていた老兵士が目を剥いている。

「おい、お前いま何をやった? それは魔法か?」

「あら、心外ね。魔法なんて使っていないわよ。」

 ルールーが今度は小指を横に振ると、さっきとは違う若い兵士が飲み物を二つ持って現れた。  
 彼はルールーの前に飲み物を置くと、またすぐにいなくなった。

「おい、今の動作はなんなんだ?」

 老兵士がルールーと同じように小指を横に振ると、不思議なことに、今度は若くない兵士が現れた。

「おい。俺にもお茶を持ってこい。」

「お茶なら目の前にあるじゃないですか?」

 若くない兵士は、老兵士の前にあるポットを指さした。

「おい、そうじゃ……」

 老兵士が怒鳴ろうとすると、兵士はポットを横に振った。

「まだ十分入ってますぜ。」

 真剣な顔でそう言うと、若くない兵士は去っていった。

「何が違うんだ……」

「だから言ったじゃない。魔法じゃないって。」

「じゃあなんで小指を振ると注文を聞きに来るんだ?」

「私の魅力よ。」

 ルールーは(´∀`*)ウフフと笑いながら、先ほど若い兵士が持ってきた大皿から魔獣肉を小皿に取り、一口でパクリと平らげた。

「さすが魔獣肉ね。美味しいわ。」

 ルールーは自分で食べながらも、隣に座ったイチカにも魔獣肉を食べるようにすすめた。

 イチカはもともと小食なので、朝から肉を食べろというルールーに何度か首を横に振って拒否したが、ルールーの冷たい笑顔に最後は抵抗を諦め、魔獣肉を口にした。

 最初の想像とは違い、口に入れた途端にとろりと溶け、口いっぱいにじゅわ~っと肉汁が広がった。

 ――うまぁ~ウマぁ~うううううまぁ~い。

 このとろける口当たりに広がる肉汁……固くなく……エトセトラ。

 イチカはどこか料理番組のレポーターのように頭の中で絶賛しながら、ルールーが小皿に盛るたびに黙々と食べ続けた。


 数十分後。

 ものすごい勢いで食事を平らげたルールーとイチカは、老兵士に促されて訓練を行う中庭へと向かった。
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