ご先祖さまは中二病⁉

しゃもん

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11.前線の砦6_隊長敗れる

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 ルールーと老兵士が中庭に設けられている訓練場に現れると、それまで訓練していた他の兵士たちが、一人、また一人と剣の稽古をやめ、二人に視線を向けた。

「おい。俺にその木剣を寄こせ。」

 老兵士がすぐそばにいた兵士に声をかけると、兵士は自分が持っていた木剣を老兵士に渡した。

「じゃあ、始めるか。」

「あら、じゃあ私にはあなたが持っている剣でいいわ。」

 ルールーは、老兵士に渡された剣よりも小さな木剣を持っていた少年を呼びつけ、その子からだいぶ短い木剣を受け取って構えた。

「おい、本当にそれでやるのか?」

 老兵士の額に青筋が浮かぶ。

「あら~、これはハンデよ。ハ・ン・デ。」

(#^ω^)ピキピキ  
「負けた時の言い訳にはしないぞ。」

「もちろんよ。そっちも“女だから”って言い訳はナシよ?」

「そんなことは言わん。では、合図を頼む。」

 老兵士に剣を渡した兵士が二人の間に立ち、手を振り上げて「始め!」と大声で叫んだ。

 その瞬間、空気が張り詰めた。

 ルールーは短い木剣を構えもせず、ただ手に持ったまま、相手の懐に沈み込むように一歩踏み出す。  
 その動きはまるで風のように滑らかで、目にも止まらぬ速さだった。

 老兵士は即座に反応し、木剣を斜めに構えて迎撃する。

 カンッ!

 木剣と木剣がぶつかる音が鋭く響いた。  
 衝撃で空気が震える。

 老兵士はすぐさま体勢を立て直し、上段からルールーの頭上に向けて木剣を振り下ろす。  
 その一撃は、訓練用とは思えない鋭さと重さを持っていた。

 だが、ルールーはまるで頭の上にも目があるかのように、すっと身を沈めてかわす。  
 そのまま後方に跳ねるように下がりながら、老兵士の木剣を横から弾き飛ばす。

 ガンッ!

「ぐっ……!」

 老兵士の右腕が大きく弾かれ、木剣が宙を舞った。  
 その瞬間、ルールーは一歩踏み込み、木剣の切っ先を老兵士の喉元にピタリと突きつけていた。

 その動きは、誰の目にも見えなかった。

 老兵士の右腕から赤い血がポタポタと地面に滴り落ちる。  
 彼は思わず腕を押さえ、苦笑した。

「くそ……ぬかったわ。儂の負けだ。」

「「「嘘だろ、隊長が負けた!?」」」

 固唾を飲んで見守っていた砦の兵士たちが、驚きの声を上げた。

「おい、今度は俺とやろう!」

「何言ってんだ、俺だろ!」

「あー? 冗談だろ、隊長の次は俺だ!」

「待て待て、俺様が先だ!」

 ルールーを囲んで、兵士たちが一斉に騒ぎ出す。

「あらあら、じゃあみ~んな一斉に来て、い・い・わ・よ♡」

「「「「あー! いっぺんだと……」」」」

「「「「ふざけんなぁ!!!」」」」

 わーわーわー……。

 そして始まった、地獄の乱戦。

 兵士たちが次々とルールーに斬りかかるが、そのすべてが空を切る。  
 ルールーはまるで舞うように動き、木剣で的確に急所を突き、足を払っては転ばせ、背中を叩いては吹き飛ばす。

 ドンッ! バシッ! ガンッ!

 音と悲鳴が訓練場に響き渡る。

 数十分後。

 訓練場には、うめき声をあげる男たちが地面に山のように積み上がっていた。

「あのー、ルー……もうその辺に……」

 イチカの声に、ルールーは地面に転がっていた木剣を拾い上げ、それをスパーンと断ち切って短くすると、ポイッとイチカに渡した。

「???」

 イチカはルールーから渡された木剣を持ったまま、固まった。

「いい? イチカ。」

 ルールーはイチカの様子に動じることなく、二種類の型を教えると、それをひたすら練習するように言った。

 そして、気になる独り言を呟きながら、地面に力なく倒れている男たちのもとへ向かっていった。

 ――これくらいで倒れるようじゃ、有事のとき困るわよね。私ひとりで魔獣と戦うなんて面倒だもの。一人最低でも一体は倒してもらわなくっちゃ。

 魔獣を一人一体……!

 この辺に現れる魔獣って、この世界で一番強かったんじゃなかったっけ?  
 あれ、私の勘違い?

 でも……いいなぁ。  
 ルールーに何かをされて、また立ち上がる兵士たち。

 ――ありゃ、立ち上がった途端、木剣で飛ばされてまた地面に……。

 うわー、痛そう。  
 あそこに私が加わっていなくて、本当に良かった。

 イチカは、それ以上見ていると何か自分にも被害が及びそうな気がして、ルールーに言われた二種類の型を、ひたすら黙々と練習した。
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