38 / 67
38.猫ばば
しおりを挟む
私は、ミスリルの箱を抱えて、自室に戻ると、それを机の上に置いた。
一応、外から見えないように、カーテンを引くと、その箱の中から、欠片を取り出すと、目を閉じた。
まずは、黒いフレームのメガネを想像する。
ミスリルが私の魔力に反応して、形を変えた。
目を開けると、そこには、舞踏会で一郎たちがつけたメガネとフレームの色が違うだけのものが、数個机の上に出来ていた。
次に、そのフレームに魔法文字を刻む。
真実の目。
魔力量産。
フレームが白い光を一度、発してから、すぐに収まった。
同じことを数回繰り返した後に、また箱からミスリルの欠片を取り出して、今度は指輪と腕輪を作った。
同じように、表面に魔法文字を刻む。
魔法防御。
魔力量産。
これで、”魅了の瞳”などの魔法攻撃は、この魔道具を身に着けていれば、防げるはずだ。
私は、箱の中を見た。
まだ、ミスリルの塊が残っているので、他の魔道具も作れそうだ。
私は、さっきしまった紙を取り出すと、箱の中から、ミスリルの塊を取り出した。
紙を見ながら、目の前にあるミスリルに、魔方陣を刻む。
刻まれたミスリルは、魔方陣を囲むように、形を変え、その魔方陣と同じ模様の塊が一つ出来た。
同じように、箱の中に残っていた最後のミスリルを取り出すと、先程と同じように、今度は、逆向きの魔方陣をミスリルに刻んだ。
対の魔道具が完成すると、それを背中合わせにして、魔力を流し込む。
すると、二つは、メビウスの輪のように、回転を始め、周囲に白い光を発した後、机にガタンと落ちた。
これで、空間と空間を繋げる魔道具が完成したはずだ。
けど、どこで・・・、いえ、誰で実験しよう。
私は、魔方陣を描いた紙を燃やすと、取り敢えず、机の中に、その魔道具をしまってから、鍵をかけた。
ふと、外を見ると、いつの間にか、日がどっぷりと暮れていた。
タイミングよく、ドアを叩く音がして、一花が食事の支度が出来ましたと声をかけてくれた。
私はすぐ行くと返事をすると、残りの魔道具をヴォイが持ってきたミスリルを納めていた箱の中にしまうと、夕食を食べに、下に降りた。
その日は、夕食を食べた後、魔道具づくりで疲れた私は、そのまま就寝した。
翌朝、ヴォイが依頼して来た魔道具を、魔法指導に行くついでに、魔術局に届けた。
「もう、出来たんですか?」
ヴォイに箱を差し出した途端、隣にいたヘインに驚愕された。
「ええ。」
ヴォイは、ヘインの驚愕をサラッと無視ると、魔道具の指輪を渡して、それを身につけるように、指示した。
ヘインが、素直に指輪をすると、すかさずヴォイが、水魔法を彼に放った。
しかし、その水は、驚愕で目を見開いたヘインの周囲を通り過ぎて、壁際にいた魔法局の新人たちを水浸しにした。
「ヘイン、今、防御魔法を使ったか?」
「用意する暇もなく、魔法を放った人が聞きますか?」
不機嫌そうな顔で、ヘインはヴォイを睨んだ。
「そうだな。」
ヴォイが次の魔道具を、試そうと思った所に、運悪く、宰相室で勤務している侍従が、書類を持って、魔術局にやってきた。
これ幸いに、ヴォイはその侍従を捕まえると、腕に腕輪をさせた。
「ヘイン。」
ヴォイの呼びかけに、今度はヘインが、その侍従に向け、水魔法を放った。
水は、侍従の周囲を通り過ぎ、周囲にいた魔術局の新人を、またも襲った。
流石に、今度は、学習した魔術局の新人は、全員、防御魔法を展開して、水を避けた。
「完璧だ。あの少量のミスリルで、これだけ高い精度の魔道具が作れるなんて。」
私は、ヴォイの叫んだ言葉に驚いた。
どうやら、ヴォイと私では、あのミスリルで作れる魔道具の数が違うようだ。
最初は、正直にミスリルを使ったことを言わなければと思っていたが、あえて言う必要は、なさそうだ。
私は、そのまま、あのミスリルを、ヴォイには黙って、懐に入れることにした。
まっ、けっこう頑張って作ったんだから、これも報酬の一部よね。
私は、内心、ほくそ笑んで、その後、ヴォイが提示した作成依頼料も、そのまま懐にしまった。
これも、全部、将来の復讐の為よ。
どんなことでも、資金は必要なんだから。
私は、その後、機嫌よく、ヴォイたちに魔法指導をして、貰った依頼料を持って、店に戻った。
帰り道は、いつも以上に、懐が暖かかった。
毎度ありー。
一応、外から見えないように、カーテンを引くと、その箱の中から、欠片を取り出すと、目を閉じた。
まずは、黒いフレームのメガネを想像する。
ミスリルが私の魔力に反応して、形を変えた。
目を開けると、そこには、舞踏会で一郎たちがつけたメガネとフレームの色が違うだけのものが、数個机の上に出来ていた。
次に、そのフレームに魔法文字を刻む。
真実の目。
魔力量産。
フレームが白い光を一度、発してから、すぐに収まった。
同じことを数回繰り返した後に、また箱からミスリルの欠片を取り出して、今度は指輪と腕輪を作った。
同じように、表面に魔法文字を刻む。
魔法防御。
魔力量産。
これで、”魅了の瞳”などの魔法攻撃は、この魔道具を身に着けていれば、防げるはずだ。
私は、箱の中を見た。
まだ、ミスリルの塊が残っているので、他の魔道具も作れそうだ。
私は、さっきしまった紙を取り出すと、箱の中から、ミスリルの塊を取り出した。
紙を見ながら、目の前にあるミスリルに、魔方陣を刻む。
刻まれたミスリルは、魔方陣を囲むように、形を変え、その魔方陣と同じ模様の塊が一つ出来た。
同じように、箱の中に残っていた最後のミスリルを取り出すと、先程と同じように、今度は、逆向きの魔方陣をミスリルに刻んだ。
対の魔道具が完成すると、それを背中合わせにして、魔力を流し込む。
すると、二つは、メビウスの輪のように、回転を始め、周囲に白い光を発した後、机にガタンと落ちた。
これで、空間と空間を繋げる魔道具が完成したはずだ。
けど、どこで・・・、いえ、誰で実験しよう。
私は、魔方陣を描いた紙を燃やすと、取り敢えず、机の中に、その魔道具をしまってから、鍵をかけた。
ふと、外を見ると、いつの間にか、日がどっぷりと暮れていた。
タイミングよく、ドアを叩く音がして、一花が食事の支度が出来ましたと声をかけてくれた。
私はすぐ行くと返事をすると、残りの魔道具をヴォイが持ってきたミスリルを納めていた箱の中にしまうと、夕食を食べに、下に降りた。
その日は、夕食を食べた後、魔道具づくりで疲れた私は、そのまま就寝した。
翌朝、ヴォイが依頼して来た魔道具を、魔法指導に行くついでに、魔術局に届けた。
「もう、出来たんですか?」
ヴォイに箱を差し出した途端、隣にいたヘインに驚愕された。
「ええ。」
ヴォイは、ヘインの驚愕をサラッと無視ると、魔道具の指輪を渡して、それを身につけるように、指示した。
ヘインが、素直に指輪をすると、すかさずヴォイが、水魔法を彼に放った。
しかし、その水は、驚愕で目を見開いたヘインの周囲を通り過ぎて、壁際にいた魔法局の新人たちを水浸しにした。
「ヘイン、今、防御魔法を使ったか?」
「用意する暇もなく、魔法を放った人が聞きますか?」
不機嫌そうな顔で、ヘインはヴォイを睨んだ。
「そうだな。」
ヴォイが次の魔道具を、試そうと思った所に、運悪く、宰相室で勤務している侍従が、書類を持って、魔術局にやってきた。
これ幸いに、ヴォイはその侍従を捕まえると、腕に腕輪をさせた。
「ヘイン。」
ヴォイの呼びかけに、今度はヘインが、その侍従に向け、水魔法を放った。
水は、侍従の周囲を通り過ぎ、周囲にいた魔術局の新人を、またも襲った。
流石に、今度は、学習した魔術局の新人は、全員、防御魔法を展開して、水を避けた。
「完璧だ。あの少量のミスリルで、これだけ高い精度の魔道具が作れるなんて。」
私は、ヴォイの叫んだ言葉に驚いた。
どうやら、ヴォイと私では、あのミスリルで作れる魔道具の数が違うようだ。
最初は、正直にミスリルを使ったことを言わなければと思っていたが、あえて言う必要は、なさそうだ。
私は、そのまま、あのミスリルを、ヴォイには黙って、懐に入れることにした。
まっ、けっこう頑張って作ったんだから、これも報酬の一部よね。
私は、内心、ほくそ笑んで、その後、ヴォイが提示した作成依頼料も、そのまま懐にしまった。
これも、全部、将来の復讐の為よ。
どんなことでも、資金は必要なんだから。
私は、その後、機嫌よく、ヴォイたちに魔法指導をして、貰った依頼料を持って、店に戻った。
帰り道は、いつも以上に、懐が暖かかった。
毎度ありー。
3
あなたにおすすめの小説
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。
やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。
過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。
魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、
四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。
輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。
けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、
やがて――“本当の自分”を見つけていく――。
そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~
甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」
「全力でお断りします」
主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。
だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。
…それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で…
一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。
令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……
ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない
魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。
そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。
ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。
イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。
ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。
いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。
離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。
「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」
予想外の溺愛が始まってしまう!
(世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。
悪役令嬢に転生したと気付いたら、咄嗟に婚約者の記憶を失くしたフリをしてしまった。
ねーさん
恋愛
あ、私、悪役令嬢だ。
クリスティナは婚約者であるアレクシス王子に近付くフローラを階段から落とそうとして、誤って自分が落ちてしまう。
気を失ったクリスティナの頭に前世で読んだ小説のストーリーが甦る。自分がその小説の悪役令嬢に転生したと気付いたクリスティナは、目が覚めた時「貴方は誰?」と咄嗟に記憶を失くしたフリをしてしまって──…
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる