The Color World

ねこりんご

文字の大きさ
上 下
4 / 5

初めての授業《1》

しおりを挟む
 さぁ今日から授業。午前と午後で三つずつ授業がある。午前が数学や歴史などの普通科目、午後が魔法関係の授業だ。
「新しい授業!新しい出会い!ふふーん、ふふーん」
「フレイちゃん、おは……え?スキップしながら鼻歌歌ってる……。そんなに授業が楽しみなの……?今日は多分、ほとんどの授業がガイダンスとかだけだと思うんだけど……。」
 一時間目は現代文、二時間目は数学、三時間目は地理。そして午後は魔法化学、魔法知識学、実践魔法だ。
 わたしが楽しみにしてるのは実践魔法だ。実戦魔法は、物を出したり実際に生活で使う魔法である。
 ……これが使いこなせるようになれば、風呂も着替えもメイクも楽になるんだよね。

 午前中をワクワク気分で終えて、昼食を食べ、午後の授業になった。
「はー、食堂のご飯、おいしかった。自分で好きなもの買えるって最高じゃん。」
 魔法化学の本を出し、席について待っていた。
 チャイムが鳴り、先生が入って来た。
「四時間目の授業を始めます。」
 眼鏡を掛けた怖そうな先生だ。
 たしかこの先生、一年生に担任クラスを持っている先生じゃなかったっけ。
 入学式の景色を少しだけ思い出してみた。
 たしか、ウィソマエイ先生……だったはず。
「こんにちは、初めまして。一年三組担任、ウィソマエイです。私は魔法研究が大好きで、寒色寮でもいつも何か調べたり実験したりしています。」
 実験好きな先生、か。
「今日は早速皆さんに実験をしてもらいます。」
 え……?もう……?
 午前の授業さえ今日はガイダンスだった。初めての授業一回目に実験をさせるなんて、どれだけこの先生は魔法実験が好きなのだろうか。
「皆さんのネックレスは皆さん個人個人の特有の色だと昨日の入学式前にキャウラ先生に教わったのではないでしょうか。」
 ウィソマエイ先生は無色透明の液体が入ったフラスコを召喚させた。
「この液体は魔法実験によく使われる、魔法保存液です。その名の通り、魔法を液体として保存できるものです。そのまま魔力を打ち込んでも馴染みにくい液体に魔力を混ぜるための薬品です。」
 ウィソマエイ先生はそう言うと、フラスコの中の液体を一瞬で彼女の魔石の色にしてしまった。
「今私がやったように皆さんもこの液体に魔力を打ち込んでください。そうするとこの液体が自分の色に変わるはずです。」
 さすがにそれは無理だ。まだ魔法の使い方を習っていない。それなのにあんな風に出来る訳が無い。
 見様見真似、ダメ元でやってみた。
 やはり先生のようには上手くいかないようだ。全くと言っていい程綺麗な透明なのだ。
 しかし周りを見渡してみると、わたし以外の全てのクラスメイトが成功していた。もちろん、ヒスイも。
「フレイさん?どうしたんです?早くやってみてください。」
 そう言われても分からないのだ。
「あの、先生。わたしが聞き逃していたら申し訳ないのですが、やり方が分からないのです。」
 わたしがそう言うと、ウィソマエイ先生は訝しげな顔になった。
「やり方……と言われましても、フラスコに触れるだけですぐに色が変わるはずですよ。今回は濃度が高めのものを使っているので、尚更です。」
 しかしどれだけ触れていても全く変わらないのだ。わたしはフラスコに触れているところを先生に見せてみた。
「まぁ、どういうことなのでしょう。」
 ウィソマエイ先生は顔を顰めながらフラスコを眺めていた。
 授業の進む気配が少しも感じられないので、わたしは先生に話しかけてみる。
「あの、先生。わたし、今日は時間があるので、もし先生のご都合に自由がございましたら液体の研究は放課後にわたしと一緒になさいませんか?」
「はっ、そ、それもそうでしたね。失礼しました。では授業の続きをいたしましょう。」
 ウィソマエイは焦りつつ授業を再開した。
しおりを挟む

処理中です...