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63 遠くから聞いてました
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俺が砦に戻ってから、エイダさん、いやエイダに新入りの魔法使いのコニーを紹介したりした。
「ネオ様はいたるところで女性を連れて帰って来ますね」
エイダは驚いたようだった。
「──う、まあ、そうなるか。ともかく魔法使いは欲しかったから、問題ない」
「よろしくお願いします、コニーさん」
「こちらこそ、よろしく、エイダさん」
エイダと魔法使いのコニーはお互い挨拶を終え、コニーの方は空き部屋に案内して、風呂にも入れるように手配した。
* * *
──その後、ニコレット様から通信魔道具のイヤリングで俺に連絡があった。
『ネオ様、今から魔道イヤリングを通して会話が聞こえるようにしますね。ソル卿と男爵令嬢のことが気になるでしょうから』
なんと! ニコレット様がくださったこの耳飾り、スピーカー機能搭載だった!!
『で、ではお願いします』
俺は自室で彼らのいきさつを見守るというか、聴きながら心の中で応援することにした。
* * *
最初に侯爵、ニコレット様の父上の声が魔導具越しに聞こえてきた。
「ソル卿、急なことだが君を好いているらしい令嬢と頻繁に会えるよう、私の護衛騎士から娘の護衛騎士に配置、担当換えをさせてもらおうと思っているのだか、不服はあるかね?」
これは一番まろい解決策だな。
さすがオラール侯爵様!
「いいえ、主の命は絶対ですから。しかし……私を好いてくれている令嬢とは?」
──なるほど、主命は絶対なんだな。
「ハハハ、ソル卿は引く手あまただからどこの令嬢か分からないな!」
やっぱりソルさんはかっこいいからモテるんだな……。
「例の掲示板の令嬢ですわ。ソル卿が自分の家に欲しいと言われたのですが、あなたはお父様のお気に入りなので他の家門に行かせたくないとのことなの」
──腕が立つ上に性格も容姿もいい騎士なんて手離したくはないよな。
「ああ! あの方! よくたどり着けましたね」
「あなたが配置換えを了承できるなら、私の侍女にと思って彼女には先程話をしてきたわ」
「同じ家門内ですし、私は大丈夫です。──それで、その令嬢はどのように?」
「それは喜んで、一つ返事で承諾よ。今もまだサロンに待機させているわ」
黒髪令嬢、嬉しかったんだろうなぁ。
「あ、でも、あの方、私の顔も知らないのではないですか?」
「それはそうね、豪運なので直感で生きてるのではないかしら?」
──確かにそんな感じがするな。
「ともかく二人は会ってみてはどうだ? せっかく今、同じ屋敷内に、いるのだから」
お、侯爵様は、気が利く上にお優しい方だな。
「そうね、お互いに直接会ってみて、気に入れば星祭りも一緒に行けばいいだけの話ですもの」
* * *
「……ふー」
あちらの会話はここで途切れた。
ソル卿と黒髪令嬢の会話までは聞けなかったが、それは野暮というものだろう。
俺は一連のやりとりを聞いて、とにかくほっとした。
ソルさんも急な配置変えでダメージを受けてる感じはとくになかったから良かった。
「どうちたの?」
突然大きくため息をついた俺にアルテちゃんが声をかけてきた。
「ああ、アルテちゃん、今ね、黒髪の令嬢とソル卿が出会ったんだよ、ニコレット様の王都のお屋敷で」
俺はさっさと領地に戻ってしまったが、あちらはまだ社交をしているから王都のタウンハウスにいるらしい。
「会えたの、よかったね」
「ほんとになー、ソル卿がニコレット様の護衛騎士となり、黒髪令嬢はニコレット様の侍女になったから、同じ職場で働けるという幸運が令嬢にもたらされたわけなんだ」
「ふーん、ねる」
──興味なさそう。
まだ子猫だから色恋にはうといかな。
「あ、はい、おやすみアルテちゃん」
「ん……」
アルテちゃんはベッドの中で丸くなり、やがてスヤスヤと眠りに落ちた。
◆◆◆ 王都の見習い騎士の宿舎 ◆◆◆
騎士達は食堂に集まり、賑やかに会話をしながら食事をとっていた。
それはパンと肉と薄味のスープという、なんの変哲もないメニューだった。
「お前、どこの家門に行きたい?」
代々同じ家門に仕える騎士を出している騎士の家系とかではないのなら、見習い騎士はどこの家門に仕えることができるかもわかっていないという者が存在する。
「それは当然、無茶な命令をしない、無駄死にとかしなくていい主のいるところだよ」
それは至極真っ当な事である。
「まあ、それは大前提だろうが、他の要素は?」
「他かー、美しい令嬢がいるとか?」
「おいおい、逆玉の輿でも狙っているのか?」
「どうせ命令を聞くなら美人がいいなって」
「お前なぁ、騎士の誇りとは?」
「この隣の席、いいかな?」
「ああ、空いている席ならどこでも座って構わないんだよ。お前は新入りだよな、確か名前は……」
「ユージーンだよ」
「そうそう、ユージーンだ、君はもうどこかの家門に行きたいとかあるのか?」
「あるよ、僕は新規で叙爵された子爵に仕えるよ」
「わざわざそんな歴史のないところに?」
「主の性格がいいし、食事がとても美味しいよ」
「食事! 確かに食事は大事だな!」
「ここの食事は……まあ、普通だよな」
「なんで行く前から食事の情報までわかるんだ?」
「知り合いだから」
「知り合いかよ!」
「しかしそれなら確実だな、そんなに食事が美味いのか?」
「本当に美味いよ」
「さっき休みが取れるなら竹に明かりを灯す祭りと子爵になった祝いをするから遊びに来いって連絡が子爵本人からあったんだけど、君達も一緒にくるかい? 元辺境伯領だから遠いけど、転移スクロールを贈ってくれるそうだよ」
「移動スクロールは高価なのに大盤振る舞いだな! 景気のいい家門なのか」
「お祝いに王弟殿下からいただいたらしい」
「王弟殿下とつながりのある家門は新しくてもなかなかよさそうだな、休暇を貰って行くよ。家門の下見は許可が出るんだ、命や人生に関わるからな」
「美人かかわいい子いるなら俺も行きたいな」
「えーと、かわいい猫獣人とうさぎ獣人がいるのは確定だけど?」
「え!? なんだそれ、めちゃくちゃ見たい!」
「じゃあ君も一緒に行く?」
「行く行く!」
「話は聞かせて貰った! 私もいいかな? 食事がうまいと聞いて興味がある」
近くの席で食事をしていた騎士達もユージーンについて行きたいと申し出た。
「いいよ、じゃあ君達四人は子爵領に下見に行くので決まりだね」
「ああ、よろしく!!」
「ネオ様はいたるところで女性を連れて帰って来ますね」
エイダは驚いたようだった。
「──う、まあ、そうなるか。ともかく魔法使いは欲しかったから、問題ない」
「よろしくお願いします、コニーさん」
「こちらこそ、よろしく、エイダさん」
エイダと魔法使いのコニーはお互い挨拶を終え、コニーの方は空き部屋に案内して、風呂にも入れるように手配した。
* * *
──その後、ニコレット様から通信魔道具のイヤリングで俺に連絡があった。
『ネオ様、今から魔道イヤリングを通して会話が聞こえるようにしますね。ソル卿と男爵令嬢のことが気になるでしょうから』
なんと! ニコレット様がくださったこの耳飾り、スピーカー機能搭載だった!!
『で、ではお願いします』
俺は自室で彼らのいきさつを見守るというか、聴きながら心の中で応援することにした。
* * *
最初に侯爵、ニコレット様の父上の声が魔導具越しに聞こえてきた。
「ソル卿、急なことだが君を好いているらしい令嬢と頻繁に会えるよう、私の護衛騎士から娘の護衛騎士に配置、担当換えをさせてもらおうと思っているのだか、不服はあるかね?」
これは一番まろい解決策だな。
さすがオラール侯爵様!
「いいえ、主の命は絶対ですから。しかし……私を好いてくれている令嬢とは?」
──なるほど、主命は絶対なんだな。
「ハハハ、ソル卿は引く手あまただからどこの令嬢か分からないな!」
やっぱりソルさんはかっこいいからモテるんだな……。
「例の掲示板の令嬢ですわ。ソル卿が自分の家に欲しいと言われたのですが、あなたはお父様のお気に入りなので他の家門に行かせたくないとのことなの」
──腕が立つ上に性格も容姿もいい騎士なんて手離したくはないよな。
「ああ! あの方! よくたどり着けましたね」
「あなたが配置換えを了承できるなら、私の侍女にと思って彼女には先程話をしてきたわ」
「同じ家門内ですし、私は大丈夫です。──それで、その令嬢はどのように?」
「それは喜んで、一つ返事で承諾よ。今もまだサロンに待機させているわ」
黒髪令嬢、嬉しかったんだろうなぁ。
「あ、でも、あの方、私の顔も知らないのではないですか?」
「それはそうね、豪運なので直感で生きてるのではないかしら?」
──確かにそんな感じがするな。
「ともかく二人は会ってみてはどうだ? せっかく今、同じ屋敷内に、いるのだから」
お、侯爵様は、気が利く上にお優しい方だな。
「そうね、お互いに直接会ってみて、気に入れば星祭りも一緒に行けばいいだけの話ですもの」
* * *
「……ふー」
あちらの会話はここで途切れた。
ソル卿と黒髪令嬢の会話までは聞けなかったが、それは野暮というものだろう。
俺は一連のやりとりを聞いて、とにかくほっとした。
ソルさんも急な配置変えでダメージを受けてる感じはとくになかったから良かった。
「どうちたの?」
突然大きくため息をついた俺にアルテちゃんが声をかけてきた。
「ああ、アルテちゃん、今ね、黒髪の令嬢とソル卿が出会ったんだよ、ニコレット様の王都のお屋敷で」
俺はさっさと領地に戻ってしまったが、あちらはまだ社交をしているから王都のタウンハウスにいるらしい。
「会えたの、よかったね」
「ほんとになー、ソル卿がニコレット様の護衛騎士となり、黒髪令嬢はニコレット様の侍女になったから、同じ職場で働けるという幸運が令嬢にもたらされたわけなんだ」
「ふーん、ねる」
──興味なさそう。
まだ子猫だから色恋にはうといかな。
「あ、はい、おやすみアルテちゃん」
「ん……」
アルテちゃんはベッドの中で丸くなり、やがてスヤスヤと眠りに落ちた。
◆◆◆ 王都の見習い騎士の宿舎 ◆◆◆
騎士達は食堂に集まり、賑やかに会話をしながら食事をとっていた。
それはパンと肉と薄味のスープという、なんの変哲もないメニューだった。
「お前、どこの家門に行きたい?」
代々同じ家門に仕える騎士を出している騎士の家系とかではないのなら、見習い騎士はどこの家門に仕えることができるかもわかっていないという者が存在する。
「それは当然、無茶な命令をしない、無駄死にとかしなくていい主のいるところだよ」
それは至極真っ当な事である。
「まあ、それは大前提だろうが、他の要素は?」
「他かー、美しい令嬢がいるとか?」
「おいおい、逆玉の輿でも狙っているのか?」
「どうせ命令を聞くなら美人がいいなって」
「お前なぁ、騎士の誇りとは?」
「この隣の席、いいかな?」
「ああ、空いている席ならどこでも座って構わないんだよ。お前は新入りだよな、確か名前は……」
「ユージーンだよ」
「そうそう、ユージーンだ、君はもうどこかの家門に行きたいとかあるのか?」
「あるよ、僕は新規で叙爵された子爵に仕えるよ」
「わざわざそんな歴史のないところに?」
「主の性格がいいし、食事がとても美味しいよ」
「食事! 確かに食事は大事だな!」
「ここの食事は……まあ、普通だよな」
「なんで行く前から食事の情報までわかるんだ?」
「知り合いだから」
「知り合いかよ!」
「しかしそれなら確実だな、そんなに食事が美味いのか?」
「本当に美味いよ」
「さっき休みが取れるなら竹に明かりを灯す祭りと子爵になった祝いをするから遊びに来いって連絡が子爵本人からあったんだけど、君達も一緒にくるかい? 元辺境伯領だから遠いけど、転移スクロールを贈ってくれるそうだよ」
「移動スクロールは高価なのに大盤振る舞いだな! 景気のいい家門なのか」
「お祝いに王弟殿下からいただいたらしい」
「王弟殿下とつながりのある家門は新しくてもなかなかよさそうだな、休暇を貰って行くよ。家門の下見は許可が出るんだ、命や人生に関わるからな」
「美人かかわいい子いるなら俺も行きたいな」
「えーと、かわいい猫獣人とうさぎ獣人がいるのは確定だけど?」
「え!? なんだそれ、めちゃくちゃ見たい!」
「じゃあ君も一緒に行く?」
「行く行く!」
「話は聞かせて貰った! 私もいいかな? 食事がうまいと聞いて興味がある」
近くの席で食事をしていた騎士達もユージーンについて行きたいと申し出た。
「いいよ、じゃあ君達四人は子爵領に下見に行くので決まりだね」
「ああ、よろしく!!」
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