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64 秋の味覚
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さて、せっかくキノコを収穫したのだし、料理に使おう。
厨房でメイド達にレシピを教えつつ、メモをとり、後でまとめてしまえば厨房で使えるレシピ本にできるかもだ。
俺は厨房へ向かった。
最初は王弟殿下が用意してくれていたオールワークスメイドを数人使っていたが、新たに料理人とキッチンメイドも雇ったからキッチン周りも徐々に充実してきた。
そして料理人二人とキッチンメイド達に指示を出していく。
「舞茸はまず石づきを落とす。それからそのキノコは手で簡単に割けるから手で千切る」
「はい」
「そして塩コショウして……そうそう。更にチーズとオリーブオイルをふりかけ……しあげに黒胡椒をパッパパッパのふりかける」
「かけました!」
「よし、ソレからオーブンで焼くだけで簡単で美味しい料理になる」
「なるほど」
「ポイントはチーズをケチらない」
「はい」
舞茸は元々は見つけた人が喜びのあまり舞い踊ってしまうほどだからそんな名前がついたとか……諸説あり。
「追加でキノコとベーコンのクリームスープも作ろう、鶏ガラスープの準備はできてるかな?」
クリームスープが美味しい季節になったからな。
「はい、できています」
コンソメが店で売ってないから、キッチンメイドにはやたらと出汁スープ作りを頑張ってもらうことになっている。
「スープの作り方はまず、バターとべーコンとみじん切りのたまねぎを入れ、キノコも追加し、しんなりするまで炒める。あ、ベーコンは細切りでいい」
「はい」
「そして小麦粉を加えて粉っぽさがなくなるまで炒めたら、先程のやつと鶏ガラスープを加えて軽く煮立たせ、 ふたをして弱火で5~7分くらいか? とろみがつくまで煮る」
「はい」
「最後に器に盛り付け、パセリ、粉チーズをちらすと出来上がりだ」
「わかりました」
完成してから、俺はスープの味見をしてみた。
「うん、舞茸とベーコンに鶏ガラのうま味を合わせて作るこのスープはやはり美味しい、あとはパンとフルーツなどを用意してくれ」
「かしこまりました」
俺の評価を聞いて厨房の彼らもほっとした様子だった。
「これまでのレシピのメモは厨房に置いて行くから、読み返したくなったら見るといい」
「はい」
厨房の皆は素直に頷いた。
◆ ◆ ◆
「最近夜はだいぶ涼しくなってきましたし、この濃厚なクリームスープ、とてもいいですね」
俺は子爵になったと言っても、一人で食べるのは孤独なので騎士やアルテちゃん達と食事を共にしている。
「実は仕上げにチーズを加えてもいいんだけど、そっちのキノコにチーズは沢山使ったからね」
「こちらもとても美味しいです」
「すごく簡単な料理なんだよ」
「これもスープもおいちい」
「良かったね~、おかわりもあるぞ」
俺はピコピコ動くアルテちゃんの愛らしい耳や尻尾を眺めつつ、ご機嫌な食事をしたのだった。
◆ ◆ ◆
「子爵様、これ、よかったら……」
魔法使いのコニーが夜に部屋まで訪ねてきて布に包まれた何かを手渡して来たので、俺は布を開いて中身を見た。これは艶やかな……青っぽい金属?
「何? 何の金属?」
「実は私、オリハルコン……持ってました」
お、オリハルコン!? 本当か? 勘違いではなく!?
「ええ!? なんでそんなすごいもの持ってたんだ!?」
「以前ダンジョンで偶然見つけて隠し持ってました。治療の対価として……受け取ってください。しかるべき所で鑑定してもらったら、ちゃんとオリハルコンて出てました。魔法使いには強い武器はいりませんので」
オリハルコンのあるダンジョンなんてめちゃくちゃ優秀な冒険者だったのかな?
そもそもマギアストームは魔力の多い人がかかりやすい病気みたいだし、あり得るか……。
「でも以前組んでたパーティーには戦士とかいたんじゃないか?」
「……いましたけど、実はシーフの女が私がマギアストームの発作の痛みで苦しんで吐いた後に……私の陰口を言っていて、戦士の男はそれ聞いて笑ってたんですよね。好きで吐いてた訳じゃないのにショックだったし……むかついて」
「ああ……それは辛かったね」
「後方支援の薬師の女の子だけは本気で心配してくれて、好きだったんですけど」
なるほどなあ。同じ冒険者パーティー内でも好きな子とムカつくやつがいたんだな。
「とても貴重なものをありがとう。せっかくだし、ユージーンにもどうせ見習い期間があるからドワーフに剣のオーダーをすることにしようかな」
このオリハルコンはユージーンのオーダーメイドに使わせてもらおう。
ついでにこれから人材、騎士も増えるし、予備の騎士用の剣も増やして……。
あ、人材と言えば転移用神殿はできたけど転移ゲートの管理ができる神官がまだ見つかってないと王弟殿下から報告が来てたので、その神官も探しにどこかの神殿に行かねば……。
厨房でメイド達にレシピを教えつつ、メモをとり、後でまとめてしまえば厨房で使えるレシピ本にできるかもだ。
俺は厨房へ向かった。
最初は王弟殿下が用意してくれていたオールワークスメイドを数人使っていたが、新たに料理人とキッチンメイドも雇ったからキッチン周りも徐々に充実してきた。
そして料理人二人とキッチンメイド達に指示を出していく。
「舞茸はまず石づきを落とす。それからそのキノコは手で簡単に割けるから手で千切る」
「はい」
「そして塩コショウして……そうそう。更にチーズとオリーブオイルをふりかけ……しあげに黒胡椒をパッパパッパのふりかける」
「かけました!」
「よし、ソレからオーブンで焼くだけで簡単で美味しい料理になる」
「なるほど」
「ポイントはチーズをケチらない」
「はい」
舞茸は元々は見つけた人が喜びのあまり舞い踊ってしまうほどだからそんな名前がついたとか……諸説あり。
「追加でキノコとベーコンのクリームスープも作ろう、鶏ガラスープの準備はできてるかな?」
クリームスープが美味しい季節になったからな。
「はい、できています」
コンソメが店で売ってないから、キッチンメイドにはやたらと出汁スープ作りを頑張ってもらうことになっている。
「スープの作り方はまず、バターとべーコンとみじん切りのたまねぎを入れ、キノコも追加し、しんなりするまで炒める。あ、ベーコンは細切りでいい」
「はい」
「そして小麦粉を加えて粉っぽさがなくなるまで炒めたら、先程のやつと鶏ガラスープを加えて軽く煮立たせ、 ふたをして弱火で5~7分くらいか? とろみがつくまで煮る」
「はい」
「最後に器に盛り付け、パセリ、粉チーズをちらすと出来上がりだ」
「わかりました」
完成してから、俺はスープの味見をしてみた。
「うん、舞茸とベーコンに鶏ガラのうま味を合わせて作るこのスープはやはり美味しい、あとはパンとフルーツなどを用意してくれ」
「かしこまりました」
俺の評価を聞いて厨房の彼らもほっとした様子だった。
「これまでのレシピのメモは厨房に置いて行くから、読み返したくなったら見るといい」
「はい」
厨房の皆は素直に頷いた。
◆ ◆ ◆
「最近夜はだいぶ涼しくなってきましたし、この濃厚なクリームスープ、とてもいいですね」
俺は子爵になったと言っても、一人で食べるのは孤独なので騎士やアルテちゃん達と食事を共にしている。
「実は仕上げにチーズを加えてもいいんだけど、そっちのキノコにチーズは沢山使ったからね」
「こちらもとても美味しいです」
「すごく簡単な料理なんだよ」
「これもスープもおいちい」
「良かったね~、おかわりもあるぞ」
俺はピコピコ動くアルテちゃんの愛らしい耳や尻尾を眺めつつ、ご機嫌な食事をしたのだった。
◆ ◆ ◆
「子爵様、これ、よかったら……」
魔法使いのコニーが夜に部屋まで訪ねてきて布に包まれた何かを手渡して来たので、俺は布を開いて中身を見た。これは艶やかな……青っぽい金属?
「何? 何の金属?」
「実は私、オリハルコン……持ってました」
お、オリハルコン!? 本当か? 勘違いではなく!?
「ええ!? なんでそんなすごいもの持ってたんだ!?」
「以前ダンジョンで偶然見つけて隠し持ってました。治療の対価として……受け取ってください。しかるべき所で鑑定してもらったら、ちゃんとオリハルコンて出てました。魔法使いには強い武器はいりませんので」
オリハルコンのあるダンジョンなんてめちゃくちゃ優秀な冒険者だったのかな?
そもそもマギアストームは魔力の多い人がかかりやすい病気みたいだし、あり得るか……。
「でも以前組んでたパーティーには戦士とかいたんじゃないか?」
「……いましたけど、実はシーフの女が私がマギアストームの発作の痛みで苦しんで吐いた後に……私の陰口を言っていて、戦士の男はそれ聞いて笑ってたんですよね。好きで吐いてた訳じゃないのにショックだったし……むかついて」
「ああ……それは辛かったね」
「後方支援の薬師の女の子だけは本気で心配してくれて、好きだったんですけど」
なるほどなあ。同じ冒険者パーティー内でも好きな子とムカつくやつがいたんだな。
「とても貴重なものをありがとう。せっかくだし、ユージーンにもどうせ見習い期間があるからドワーフに剣のオーダーをすることにしようかな」
このオリハルコンはユージーンのオーダーメイドに使わせてもらおう。
ついでにこれから人材、騎士も増えるし、予備の騎士用の剣も増やして……。
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