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80 ジェラルディーヌ子爵領
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海に囲まれた島にあるジェラルディーヌ子爵家に到着し、本来第三夫人など親としては不本意だろうが、本人たっての希望ということで、挨拶も無事済んだ。
殴られずに済んだ……。
内心、一番気がかりだった親への挨拶を三つともなんとか終えて、俺はほっとした。
エマは応接室にて、頬を染めつつ俺の隣に座ってもじもじしている。
「ところで、全く話は変わりますが、あまり作物の収穫量が上がらない土地とエマに聞きました。失礼ですが、こちらの農民は土壌改良の知識などは持っているでしょうか?」
「土壌改良? 畑と言えば……耕して種や苗を植えて水をやるくらいでは?」
もしや土壌改良の概念がない?
「……植物の灰、あるいは馬や牛や腐葉土などを利用したりは?」
「始めて聞く話です、動物の糞など土に混ぜてどうなるのです?」
「それらには作物をそだてるのにいい栄養がありますから」
「な、なんと……そんなやり方が!! 早速種まき前にやらせてみましょう」
「草の灰くらいならすぐに手に入るでしょうから、いくつかの畑にそれぞれのものを試してみるといいでしょう、一斉に全部でなくて、植物の育ち具合を農民に比べさせてください」
「聞いたか? メモをとっておけ!」
子爵は執事に命じて俺の話をメモをとらせた。
「あとは肥沃な土地でなくても育ちやすい野菜を植えるとかですね」
サツマイモなどがあれば良いんだがな。
サツマイモは「救荒作物」で土壌中の有用な微生物を引き寄せることで痩せた土地でも生育が可能になっているとかなんとか。
そばも痩せた土地でも作付可能な、比較的手間の掛からない作物だ。
他はブルーベリーや山菜類とか……もあったか?
そしてほったらかしでもわりと育つ野菜には、ニラ、シソ、エゴマ、三つ葉、パセリ、ミョウガ、しょうが、フキ、 ししとうなどもあったはず。
──詳しいことはおいおい相談しよう。
第三夫人など本来不名誉のはずだし、俺が夫として妻の生家のこの土地と民にとって少しはよい存在になれるように……やれることはなるべくやろう。
そして、まだまだ砦に夫人達を受け入れる用意はできていないし、第一王子の立太子のお祝いと星祭りの準備もあるので、一旦エマは実家に預けて俺達だけで帰ることにした。
思えばお祝いの言葉だけで王弟殿下が灯籠祭り時に慌ただしく帰ったのは、後継ぎが試練を終えて帰って来てたからなんだろうな。
◆ ◆ ◆
馬車にて護衛達と共に魚介類を買う為、子爵領にある市場にまたも向かう俺だったが……。
「ところで、精霊の類は、普段はどこにいるんだ?」
俺は護衛として連れてきている二人の魔法使いのうちの一人であるコニーにそんな質問をしてみた。
「ウンディーネなどは私に呼ばれるまでは魔力を温存するために普段はこの世界とは違う、精霊界というところにいます」
「では、俺がテイムしたミゲールもそうなのかな?」
「そうかもしれませんが、まだ聖獣の類かはっきりしませんので確証を得たいなら高位の大神官のいる神殿へ行き、判定をしてもらうべきでしょう。ですが子爵様がもし聖獣をつれた聖者認定でもされたら神殿に拘束される可能性もあり……神殿と王侯貴族間で揉める原因にもなりかねません」
婚約したばかりで俺が神殿所属の者になると厄介だよなぁ。
なるべく清貧を貫きなさいとか言われて美味しいものが食べられなくなるのも嫌だ。
「なるほどな、ひとまず聖獣うんぬんは置いておこう」
「はい」
その時、何故か不意に目の前にミゲールが姿を現した。
『ネオ、馬車を停めて降りて!』
そんな思念が俺に伝わって来た。
「え? 御者! 停めてくれ!」
俺の命令で馬を止めた御者。
「なにかございましたか?」
「よくわからないが、うちのクラゲが馬車を降りろと言ってきた!」
「はあ?」
御者が疑問符をつけたような顔をしているが、ひとまず俺はミゲールに従って馬車を降りた。
少し荒地に見えるそこに降り立つミゲールが、
『ここ、掘って』
と、触手でつついたのは大地。一見、何もない土の上だ。
「なんだ? 急にここ掘れわんわんみたいなことを言って……」
「とにかく掘ってみましょう、お宝でもうまっているのかもしれません」
そう言った魔法使いのマーヤが土魔法で捜索すると、とんでもないものが出できた。
「ネオ様! サファイアが出ました! ここはサファイア鉱床です!」
「サファイアって宝石の!?」
俺はマーヤが魔法で掘り出した、それなりに大きいサファイアの原石を手に、身が震えた。
「そうです! おそらくジェラルディーヌ子爵もご存じなかったのでしょうが、宝石のサファイアが採れる土地だったんですよ!」
「なんと……これで子爵領も豊かになるかな」
「このサファイアが永遠に採れる訳ではないでしょうが、かなり財政は潤うことでしょう」
「おお……早速魔法の伝書鳥をジェラルディーヌ子爵に飛ばしてサファイア鉱床の話をしてくれ」
「はい!」
「それと、ミゲールありがとうな。婚約者のエマの実家にそんなお宝鉱脈が眠っていたとは……」
『妻の実家のある土地を豊かにして上げたいってネオが思ってるみたいだったから……』
なんて良い子なんだ!! うちの空飛ぶクラゲちゃんは!
それからまたね~と言って、ミゲールは姿を消した。精霊界とやらに帰ったのかもしれない。
さて、いきなりサファイアが見つかったりして、やる事が山積みだが、ひとまず市場で買い物を終えたら、王家に連絡をせねば。
立太子のお祝いは貴族が他国からも貴賓が来るだろうが、仮面舞踏会でもないのに仮面着用や、ベールの着用が可能かどうか、お伺いを立てなければ……。
防犯面を考えたら、普通は覆面や仮面のようなものは拒否されるだろうとは思うが……。
あ、王家には肝心の婚約報告もしないと……。
殴られずに済んだ……。
内心、一番気がかりだった親への挨拶を三つともなんとか終えて、俺はほっとした。
エマは応接室にて、頬を染めつつ俺の隣に座ってもじもじしている。
「ところで、全く話は変わりますが、あまり作物の収穫量が上がらない土地とエマに聞きました。失礼ですが、こちらの農民は土壌改良の知識などは持っているでしょうか?」
「土壌改良? 畑と言えば……耕して種や苗を植えて水をやるくらいでは?」
もしや土壌改良の概念がない?
「……植物の灰、あるいは馬や牛や腐葉土などを利用したりは?」
「始めて聞く話です、動物の糞など土に混ぜてどうなるのです?」
「それらには作物をそだてるのにいい栄養がありますから」
「な、なんと……そんなやり方が!! 早速種まき前にやらせてみましょう」
「草の灰くらいならすぐに手に入るでしょうから、いくつかの畑にそれぞれのものを試してみるといいでしょう、一斉に全部でなくて、植物の育ち具合を農民に比べさせてください」
「聞いたか? メモをとっておけ!」
子爵は執事に命じて俺の話をメモをとらせた。
「あとは肥沃な土地でなくても育ちやすい野菜を植えるとかですね」
サツマイモなどがあれば良いんだがな。
サツマイモは「救荒作物」で土壌中の有用な微生物を引き寄せることで痩せた土地でも生育が可能になっているとかなんとか。
そばも痩せた土地でも作付可能な、比較的手間の掛からない作物だ。
他はブルーベリーや山菜類とか……もあったか?
そしてほったらかしでもわりと育つ野菜には、ニラ、シソ、エゴマ、三つ葉、パセリ、ミョウガ、しょうが、フキ、 ししとうなどもあったはず。
──詳しいことはおいおい相談しよう。
第三夫人など本来不名誉のはずだし、俺が夫として妻の生家のこの土地と民にとって少しはよい存在になれるように……やれることはなるべくやろう。
そして、まだまだ砦に夫人達を受け入れる用意はできていないし、第一王子の立太子のお祝いと星祭りの準備もあるので、一旦エマは実家に預けて俺達だけで帰ることにした。
思えばお祝いの言葉だけで王弟殿下が灯籠祭り時に慌ただしく帰ったのは、後継ぎが試練を終えて帰って来てたからなんだろうな。
◆ ◆ ◆
馬車にて護衛達と共に魚介類を買う為、子爵領にある市場にまたも向かう俺だったが……。
「ところで、精霊の類は、普段はどこにいるんだ?」
俺は護衛として連れてきている二人の魔法使いのうちの一人であるコニーにそんな質問をしてみた。
「ウンディーネなどは私に呼ばれるまでは魔力を温存するために普段はこの世界とは違う、精霊界というところにいます」
「では、俺がテイムしたミゲールもそうなのかな?」
「そうかもしれませんが、まだ聖獣の類かはっきりしませんので確証を得たいなら高位の大神官のいる神殿へ行き、判定をしてもらうべきでしょう。ですが子爵様がもし聖獣をつれた聖者認定でもされたら神殿に拘束される可能性もあり……神殿と王侯貴族間で揉める原因にもなりかねません」
婚約したばかりで俺が神殿所属の者になると厄介だよなぁ。
なるべく清貧を貫きなさいとか言われて美味しいものが食べられなくなるのも嫌だ。
「なるほどな、ひとまず聖獣うんぬんは置いておこう」
「はい」
その時、何故か不意に目の前にミゲールが姿を現した。
『ネオ、馬車を停めて降りて!』
そんな思念が俺に伝わって来た。
「え? 御者! 停めてくれ!」
俺の命令で馬を止めた御者。
「なにかございましたか?」
「よくわからないが、うちのクラゲが馬車を降りろと言ってきた!」
「はあ?」
御者が疑問符をつけたような顔をしているが、ひとまず俺はミゲールに従って馬車を降りた。
少し荒地に見えるそこに降り立つミゲールが、
『ここ、掘って』
と、触手でつついたのは大地。一見、何もない土の上だ。
「なんだ? 急にここ掘れわんわんみたいなことを言って……」
「とにかく掘ってみましょう、お宝でもうまっているのかもしれません」
そう言った魔法使いのマーヤが土魔法で捜索すると、とんでもないものが出できた。
「ネオ様! サファイアが出ました! ここはサファイア鉱床です!」
「サファイアって宝石の!?」
俺はマーヤが魔法で掘り出した、それなりに大きいサファイアの原石を手に、身が震えた。
「そうです! おそらくジェラルディーヌ子爵もご存じなかったのでしょうが、宝石のサファイアが採れる土地だったんですよ!」
「なんと……これで子爵領も豊かになるかな」
「このサファイアが永遠に採れる訳ではないでしょうが、かなり財政は潤うことでしょう」
「おお……早速魔法の伝書鳥をジェラルディーヌ子爵に飛ばしてサファイア鉱床の話をしてくれ」
「はい!」
「それと、ミゲールありがとうな。婚約者のエマの実家にそんなお宝鉱脈が眠っていたとは……」
『妻の実家のある土地を豊かにして上げたいってネオが思ってるみたいだったから……』
なんて良い子なんだ!! うちの空飛ぶクラゲちゃんは!
それからまたね~と言って、ミゲールは姿を消した。精霊界とやらに帰ったのかもしれない。
さて、いきなりサファイアが見つかったりして、やる事が山積みだが、ひとまず市場で買い物を終えたら、王家に連絡をせねば。
立太子のお祝いは貴族が他国からも貴賓が来るだろうが、仮面舞踏会でもないのに仮面着用や、ベールの着用が可能かどうか、お伺いを立てなければ……。
防犯面を考えたら、普通は覆面や仮面のようなものは拒否されるだろうとは思うが……。
あ、王家には肝心の婚約報告もしないと……。
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