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離れで朝食を
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「奥様、市場で買った物が全て届きました」
「ご苦労様」
生姜焼きを食べて、ジェイデン卿を見送った後に、荷物が届いた。
執事から荷物を受け取ろうとしたら、運びますって言われた。
箸やスプーンより重い物は持てないと思われてるかのような丁重な扱い。
まあ、こちらに箸は無いけど。
「夕食はこちらで済ませたので、本城では不要だと伝えて」
「かしこまりました」
執事はお行儀よく、退室した。
さて、お風呂に入って、寝る前に一つ、お願いをしておくかな。
「あ、メイラ、胃薬はあるかしら?」
私は私の世話を担当になったメイドに声をかけた。
ふんわりした茶髪で温和そうな可愛いらしい顔をしている。
私の髪はグレーのストレートだ。
冷たい印象を受けるかもしれない。
「奥様、胃もたれですか? すぐにお医者様をお呼びいたしましょう」
「いいえ、粉の胃薬があれば、少し多めに貰っておきたいだけなの」
メイドのメイラはややほっとした表情になった。
会ったばかりの私を心配してしてくれたの?
「分かりました、辺境伯お抱えのお医者様に聞いて、いただいておきます」
……とんでもない食いしん坊と思われたかもしれない。
「ありがとう、あ、これ、市場で見つけたお菓子なんだけど、お土産よ。
渡すのが遅れてごめんなさいね」
善良なあなたにプレゼントよ。
私はカゴバッグから瓶詰めの飴ちゃんを取り出してメイドに渡した。
「わあ! 実家に戻った時に弟と妹にあげようと思いますが、よろしいですか?」
「まあ、あなた、兄弟思いなのね、……優しい子」
「いえ、そんな」
うちの姉なんか人から奪うばかりの卑しい女だったのに。
なんて良い子だろう。
この世にはこんな優しい姉も存在していたとは。
私の企みが成功したら、この子にも分けてあげよう。
翌朝には、メイドは胃薬を用意してくれていた。
可愛い上に仕事が早い! えらい!
「胃薬でございます」
「ありがとう」
私は胃薬を持って、キッチンへ向かって、胃薬と小麦粉などを混ぜ合わせて、
パンケーキを焼いてみた。
この世界、ベーキングパウダーを見た事が無い。
日持ちはしそうだけど、硬いパンが多い。
故に、私はふくらし粉の代用品を考えてみた。
……膨らんだ! パンケーキが膨らんだ!
胃薬はやはり重曹入り!
「わあ、ふわふわですね」
「ふわふわパンケーキが完成したわ、味見をしてみるから、変な味になってなかったらメイラにもあげる」
「え!? 飴をいただいたばかりですのに!?」
「それは弟と妹が食べるのでしょう?」
私はそう言ってバターをのせたパンケーキにメープルシロップをかけた。
いざ、味見!
「ん、美味しい! 変な味にはなって無いわ、良かった!」
「お皿を用意してくれる? 三つよ、そろそろ護衛騎士のジェイデン卿が来られるから」
「は、はい」
お皿にドライフルーツも添える。
朝食にパンケーキ! 悪く無いわよね。
「あ、あの、サーシャ様、まさか、私のようなメイドに朝食に同席せよと?」
丸テーブルにパンケーキのお皿が三つ並んでいて、椅子も三脚。
流石に察したらしい。
「味見よ、味見。もしくは毒見」
「え、でも、さっきサーシャ様はご自分で……」
「あなたはさっき、何も見なかった……」
「は、はい」
コンコンと、ノックの音がして、ジェイデン卿が本日も護衛にやって来た。
「お勤めご苦労様です、早速、朝の毒見です。入りますか? お腹に余裕は?」
「余裕であります!」
「では、二人ともそこに着席して」
「え!? 我々が同席を?」
「ここにいる三人以外は誰も見てないでしょう。
一人で食べるのは流石に寂しいから、ね?
いいでしょう? なんなら、これは命令って事で」
「め、命令なら仕方がありませんね、でも人前ではダメですよ」
ジェイデン卿はパンケーキが気になるようで、速攻で折れた。
メイラも命令と言われたら従わないといけないと観念したようだ。
「わあ! ふわふわで甘くて美味しいです!」
「本当だ、柔らかくて、甘くて美味しいです」
「ふふ、成功して良かったわ」
「奥様、美味しい朝食をありがとうございました」
「ご馳走さまです。サーシャ様、美味しい食事を本当にありがとうございました!」
ジェイデン卿とメイラにお礼を言われてくすぐったい気持ちになった。
実家では料理をさせられていても、文句以外は出なかった。
心の中で鬼畜なお前ら如きが、真心こもった料理なんぞ食えると思うなよと毒づいていた。
パンケーキを食べ終えて、しばらくしたら外が騒がしくなった。
「何かしら?」
「おそらく、旦那様が討伐から戻られたのかと」
ジェイデン卿が言うなら、そうなのだろう。
「では、じき妻になる者としてお出迎えくらいするべきね」
「サーシャ様、コートをお持ちします!」
キッチンで食器を洗ってくれていたメイラが慌てて布で手を拭いている。
「自分で出来るから、大丈夫よ」
私はコートかけに引っかかっているコートを羽織って、外に出た。
……顔が寒い。
吐く息は白く、冬だなあって自覚する。
霜柱を踏みながら、夫となる、テオドール辺境伯を探す。
「おはようございます。そしてお帰りなさいませ、ご無事のようで何よりですわ」
「おはよう……。サーシャ嬢、寒い中、わざわざ出て来たのか……」
「寒い中、お仕事をなさって来たテオドール様こそ、ご立派ですわ」
「……当然の勤めだ」
おや、お顔に赤みが? 少し照れているようだ。
わりと可愛い人じゃないの。
可愛い37歳のおじさま。
余裕で好みだわ。ストライクゾーンに入ってる。
私、前世では22歳の会社員だったし。
「それでは、テオドール様もお城でごゆっくり休まれて下さい」
この人夜いなかったし、野営して来たのかも。
絶対に疲れてる。はよ寝ろ。
「あ、ああ、では、な」
挨拶だけして私は離れに戻った。
ふー、しかし、あんな男前が呪われているのか、お気の毒に……。
って、いうか、嫁が四人死んでるから、私の方がやばいんだったわ。
ふわふわパンケーキで脳味噌までふわふわになってるのか、私。
まだ甘い香りがほのかに残る室内で、暖炉前でくつろいでいる私であったが……。
「急急如律令!!」
突然叫んだ私にメイラとジェイデン卿がビクッとした。
「な、なんですか? 今の言葉。呪文のようでしたが」
「ジェイデン卿、今のは、災いは速やかに去れと言う、遠く、東の方のおまじないの言葉のようなものよ。
気にしないで。
こちらの家門にかかる呪いと言う物が、どんなものか分からないので、まあ、気休めね」
「そ、そうでしたか、キュウキュウニョリツリョウ……」
「キュウキュウニョリツリョー」
優しい騎士とメイドは私を災いから守ろうとしたのか、復唱してくれた。
「奥様、本日のご予定は?」
ジェイデン卿が本日のスケジュールを訊ねてきた。
「連日外に出たら付き合わされる方も大変なので、今日は城内の案内でも頼もうかしら」
「はい、では私が」
「では、よろしくね、ジェイデン卿」
「私はお部屋の掃除などをしております、何か有ればお呼び下さい」
「ありがとう、メイラ、よろしくね」
「サーシャ様、私のような者にお礼など言われなくても大丈夫でございます」
「私は心が狭いので、ムカつく奴にはありがとうとは言いたくないのだけど、優しい人には言いたくなるのよ」
「さ、サーシャ様」
どうやらメイラは感動しているようだ、目が潤んでいる。
でもいま、私は自分で心狭い発言したんぞ、そこだけ聞き逃した?
ま、いっか。
「お城見物に参りましょう」
ガードラス城の見学ツアー! 行くよ──!!
実家では伏せっていたお母様の看病か、お母様が亡くなってからは館の仕事をメイドのようにさせられていたから、
貴族なのにお城にあまり縁が無かった。
茶会に参加した事も無い。
「サロンはもうご存知ですね、どこか見たい場所はございますか?」
「自分に用意される寝室とお手洗いの場所を知っておかないと、困る気がするので」
「あ、はい、寝室と御不浄はメイドに案内させます。私は近くまで案内したら、廊下で待機しておりますので」
ジェイデン卿はあからさまに慌てた。
だってこの広いお城よ、トイレの位置は知っていないと、漏らすわけにはいかないしね。
メイドに寝室とトイレを教えて貰った。
「他にも知りたい場所はお有りですか?」
「図書室とか、ございます?」
「はい、ご案内いたします」
ジェイデン卿の案内で、図書室へ到着した。
おお、なかなかの蔵書量。
「流石辺境伯のお城、沢山の本がありますね、少し借りて読んでもいいのですか?」
「もちろん、この城の女主人となられるお方ですから、ご随意にどうぞ」
許可が出たので、数冊借りたら、離れとは違うメイドが本を代わりに持ってくれた。
「借りた本は離れに持って行ってくれる?」
「かしこまりました」
「次にどちらに行かれますか?」
「歴代当主の肖像画の有る場所とかは」
「はい、こちらへどうぞ……」
私はジェイデン卿の広い背中を追いかけて歩く。
そう言えば、亡くなったテオドールの四人の嫁の肖像画もあるのかしら?
「こちらでございます」
「まあ、流石は国境の守りを任される辺境伯、雄々しい姿の方が多いのですね」
ワイルダー系のイケメンが多い。
渋いおじさま方の肖像画が壁に並んでいる。
女性の肖像画も有る。
歴代の辺境伯夫人の絵か。
儚そうな美人が多い。
王か親の言うなりに呪われた家門に嫁がされた人って雰囲気。
私も言われて来たのはそうだけど、ほぼ食欲を満たす為に来てるから、そこが違う。
食欲……。
「昼は何を食べようかしら?」
「お城の料理は食べなくていいのですか?」
「それもそうね、こちらでも食べてみましょう、せっかく来ているし」
「ご苦労様」
生姜焼きを食べて、ジェイデン卿を見送った後に、荷物が届いた。
執事から荷物を受け取ろうとしたら、運びますって言われた。
箸やスプーンより重い物は持てないと思われてるかのような丁重な扱い。
まあ、こちらに箸は無いけど。
「夕食はこちらで済ませたので、本城では不要だと伝えて」
「かしこまりました」
執事はお行儀よく、退室した。
さて、お風呂に入って、寝る前に一つ、お願いをしておくかな。
「あ、メイラ、胃薬はあるかしら?」
私は私の世話を担当になったメイドに声をかけた。
ふんわりした茶髪で温和そうな可愛いらしい顔をしている。
私の髪はグレーのストレートだ。
冷たい印象を受けるかもしれない。
「奥様、胃もたれですか? すぐにお医者様をお呼びいたしましょう」
「いいえ、粉の胃薬があれば、少し多めに貰っておきたいだけなの」
メイドのメイラはややほっとした表情になった。
会ったばかりの私を心配してしてくれたの?
「分かりました、辺境伯お抱えのお医者様に聞いて、いただいておきます」
……とんでもない食いしん坊と思われたかもしれない。
「ありがとう、あ、これ、市場で見つけたお菓子なんだけど、お土産よ。
渡すのが遅れてごめんなさいね」
善良なあなたにプレゼントよ。
私はカゴバッグから瓶詰めの飴ちゃんを取り出してメイドに渡した。
「わあ! 実家に戻った時に弟と妹にあげようと思いますが、よろしいですか?」
「まあ、あなた、兄弟思いなのね、……優しい子」
「いえ、そんな」
うちの姉なんか人から奪うばかりの卑しい女だったのに。
なんて良い子だろう。
この世にはこんな優しい姉も存在していたとは。
私の企みが成功したら、この子にも分けてあげよう。
翌朝には、メイドは胃薬を用意してくれていた。
可愛い上に仕事が早い! えらい!
「胃薬でございます」
「ありがとう」
私は胃薬を持って、キッチンへ向かって、胃薬と小麦粉などを混ぜ合わせて、
パンケーキを焼いてみた。
この世界、ベーキングパウダーを見た事が無い。
日持ちはしそうだけど、硬いパンが多い。
故に、私はふくらし粉の代用品を考えてみた。
……膨らんだ! パンケーキが膨らんだ!
胃薬はやはり重曹入り!
「わあ、ふわふわですね」
「ふわふわパンケーキが完成したわ、味見をしてみるから、変な味になってなかったらメイラにもあげる」
「え!? 飴をいただいたばかりですのに!?」
「それは弟と妹が食べるのでしょう?」
私はそう言ってバターをのせたパンケーキにメープルシロップをかけた。
いざ、味見!
「ん、美味しい! 変な味にはなって無いわ、良かった!」
「お皿を用意してくれる? 三つよ、そろそろ護衛騎士のジェイデン卿が来られるから」
「は、はい」
お皿にドライフルーツも添える。
朝食にパンケーキ! 悪く無いわよね。
「あ、あの、サーシャ様、まさか、私のようなメイドに朝食に同席せよと?」
丸テーブルにパンケーキのお皿が三つ並んでいて、椅子も三脚。
流石に察したらしい。
「味見よ、味見。もしくは毒見」
「え、でも、さっきサーシャ様はご自分で……」
「あなたはさっき、何も見なかった……」
「は、はい」
コンコンと、ノックの音がして、ジェイデン卿が本日も護衛にやって来た。
「お勤めご苦労様です、早速、朝の毒見です。入りますか? お腹に余裕は?」
「余裕であります!」
「では、二人ともそこに着席して」
「え!? 我々が同席を?」
「ここにいる三人以外は誰も見てないでしょう。
一人で食べるのは流石に寂しいから、ね?
いいでしょう? なんなら、これは命令って事で」
「め、命令なら仕方がありませんね、でも人前ではダメですよ」
ジェイデン卿はパンケーキが気になるようで、速攻で折れた。
メイラも命令と言われたら従わないといけないと観念したようだ。
「わあ! ふわふわで甘くて美味しいです!」
「本当だ、柔らかくて、甘くて美味しいです」
「ふふ、成功して良かったわ」
「奥様、美味しい朝食をありがとうございました」
「ご馳走さまです。サーシャ様、美味しい食事を本当にありがとうございました!」
ジェイデン卿とメイラにお礼を言われてくすぐったい気持ちになった。
実家では料理をさせられていても、文句以外は出なかった。
心の中で鬼畜なお前ら如きが、真心こもった料理なんぞ食えると思うなよと毒づいていた。
パンケーキを食べ終えて、しばらくしたら外が騒がしくなった。
「何かしら?」
「おそらく、旦那様が討伐から戻られたのかと」
ジェイデン卿が言うなら、そうなのだろう。
「では、じき妻になる者としてお出迎えくらいするべきね」
「サーシャ様、コートをお持ちします!」
キッチンで食器を洗ってくれていたメイラが慌てて布で手を拭いている。
「自分で出来るから、大丈夫よ」
私はコートかけに引っかかっているコートを羽織って、外に出た。
……顔が寒い。
吐く息は白く、冬だなあって自覚する。
霜柱を踏みながら、夫となる、テオドール辺境伯を探す。
「おはようございます。そしてお帰りなさいませ、ご無事のようで何よりですわ」
「おはよう……。サーシャ嬢、寒い中、わざわざ出て来たのか……」
「寒い中、お仕事をなさって来たテオドール様こそ、ご立派ですわ」
「……当然の勤めだ」
おや、お顔に赤みが? 少し照れているようだ。
わりと可愛い人じゃないの。
可愛い37歳のおじさま。
余裕で好みだわ。ストライクゾーンに入ってる。
私、前世では22歳の会社員だったし。
「それでは、テオドール様もお城でごゆっくり休まれて下さい」
この人夜いなかったし、野営して来たのかも。
絶対に疲れてる。はよ寝ろ。
「あ、ああ、では、な」
挨拶だけして私は離れに戻った。
ふー、しかし、あんな男前が呪われているのか、お気の毒に……。
って、いうか、嫁が四人死んでるから、私の方がやばいんだったわ。
ふわふわパンケーキで脳味噌までふわふわになってるのか、私。
まだ甘い香りがほのかに残る室内で、暖炉前でくつろいでいる私であったが……。
「急急如律令!!」
突然叫んだ私にメイラとジェイデン卿がビクッとした。
「な、なんですか? 今の言葉。呪文のようでしたが」
「ジェイデン卿、今のは、災いは速やかに去れと言う、遠く、東の方のおまじないの言葉のようなものよ。
気にしないで。
こちらの家門にかかる呪いと言う物が、どんなものか分からないので、まあ、気休めね」
「そ、そうでしたか、キュウキュウニョリツリョウ……」
「キュウキュウニョリツリョー」
優しい騎士とメイドは私を災いから守ろうとしたのか、復唱してくれた。
「奥様、本日のご予定は?」
ジェイデン卿が本日のスケジュールを訊ねてきた。
「連日外に出たら付き合わされる方も大変なので、今日は城内の案内でも頼もうかしら」
「はい、では私が」
「では、よろしくね、ジェイデン卿」
「私はお部屋の掃除などをしております、何か有ればお呼び下さい」
「ありがとう、メイラ、よろしくね」
「サーシャ様、私のような者にお礼など言われなくても大丈夫でございます」
「私は心が狭いので、ムカつく奴にはありがとうとは言いたくないのだけど、優しい人には言いたくなるのよ」
「さ、サーシャ様」
どうやらメイラは感動しているようだ、目が潤んでいる。
でもいま、私は自分で心狭い発言したんぞ、そこだけ聞き逃した?
ま、いっか。
「お城見物に参りましょう」
ガードラス城の見学ツアー! 行くよ──!!
実家では伏せっていたお母様の看病か、お母様が亡くなってからは館の仕事をメイドのようにさせられていたから、
貴族なのにお城にあまり縁が無かった。
茶会に参加した事も無い。
「サロンはもうご存知ですね、どこか見たい場所はございますか?」
「自分に用意される寝室とお手洗いの場所を知っておかないと、困る気がするので」
「あ、はい、寝室と御不浄はメイドに案内させます。私は近くまで案内したら、廊下で待機しておりますので」
ジェイデン卿はあからさまに慌てた。
だってこの広いお城よ、トイレの位置は知っていないと、漏らすわけにはいかないしね。
メイドに寝室とトイレを教えて貰った。
「他にも知りたい場所はお有りですか?」
「図書室とか、ございます?」
「はい、ご案内いたします」
ジェイデン卿の案内で、図書室へ到着した。
おお、なかなかの蔵書量。
「流石辺境伯のお城、沢山の本がありますね、少し借りて読んでもいいのですか?」
「もちろん、この城の女主人となられるお方ですから、ご随意にどうぞ」
許可が出たので、数冊借りたら、離れとは違うメイドが本を代わりに持ってくれた。
「借りた本は離れに持って行ってくれる?」
「かしこまりました」
「次にどちらに行かれますか?」
「歴代当主の肖像画の有る場所とかは」
「はい、こちらへどうぞ……」
私はジェイデン卿の広い背中を追いかけて歩く。
そう言えば、亡くなったテオドールの四人の嫁の肖像画もあるのかしら?
「こちらでございます」
「まあ、流石は国境の守りを任される辺境伯、雄々しい姿の方が多いのですね」
ワイルダー系のイケメンが多い。
渋いおじさま方の肖像画が壁に並んでいる。
女性の肖像画も有る。
歴代の辺境伯夫人の絵か。
儚そうな美人が多い。
王か親の言うなりに呪われた家門に嫁がされた人って雰囲気。
私も言われて来たのはそうだけど、ほぼ食欲を満たす為に来てるから、そこが違う。
食欲……。
「昼は何を食べようかしら?」
「お城の料理は食べなくていいのですか?」
「それもそうね、こちらでも食べてみましょう、せっかく来ているし」
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