修学旅行に行くはずが異世界に着いた。〜三種のお買い物スキルで仲間と共に〜

長船凪

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秋の味覚。

「まず鍋に水を入れ、沸騰させる間に、栗の鬼皮の部分とお尻の部分の境目、曲線が強い方でなく、平な方の濃い茶色の部分を下から上にと、切れ目を入れておく。
ナイフでも包丁でも切れ目が入ればいい。
そしてお湯の入った沸騰した鍋を火から上げて、切れ目を入れた栗を投入」

「「ふんふん」」

「切れ目からお湯が入っていい感じにふやけて皮が柔らかくなり、後は包丁やナイフで簡単に剥ける。渋皮も指で擦るだけで簡単に取れる。
これが指と手が痛くならない裏技ね」

「おお……」
「カナデっち、よく知ってるね、そんなん」
「私は栗料理が好きなんだけど、処理が面倒って親が言うからネットで裏技を調べた、電子レンジとかを使う裏技も有るけど、ここでは使えないから」

「栗ご飯が食べれるならサヤなんでもいい」
「ふふ、食べられるよー」
「じゃ、下拵え頑張ろうぜ」

「あ、作業BGMに音出していい? スマホに入ってるやつ」
「良いよ、でも眠くなりそうなクラシックとかはやめてくれよ」
「アニソンとゲーソンだから大丈夫」
「りょ」

「アップテンポの曲はノリノリになれていいな」


 私達は延々と栗の皮剥いてる。地味に、地道に。


「うん。親戚の漫画家さんの修羅場でもよくアニソン流してくれてたし、
あるいはアニメが流れてる」
「アニソン流れてるのはいいな。あ、神曲来た」

「サヤがスーパーでバイトした時はサカナの歌が流れてたよ」
「紗耶香ちゃん、もっと華やかなバイト出来そうなのに」
「えー? 何それ」
 紗耶香ちゃんはクスクスと笑う。

「雑誌のモデル? 読モとか」

 紗耶香ちゃんは可愛いくて華が有るから、読者モデルとか出来そう。

「その発想は無かったわ。近さで選んでた」
「あ、近いのは確かに大事だね。交通費かかるとしんどいし、移動時間かかると怠いし」

 私達はわりとどうでもいい事を喋りながら、栗剥き作業を終わらせた。


「あ、俺、栗ご飯だけじゃもったいないから、茶碗蒸し作るわ」
「嬉しい! 私、茶碗蒸し好き!」
「マ!? 茶碗蒸しも付くとかパない」

「食器棚に蓋付きの器があったからさ」


 *


「完成! 栗ご飯! お上がりよ!」

 私は完成した栗ご飯とコウタが作った茶碗蒸しをテーブルに並べ、決め台詞と共に、料理を進めた。


「いただきます!」
「どっかで聞いたセリフだが、まあ、いいか、いただきます!」

「秋の味覚美味しいな」

「うん、栗ご飯も茶碗蒸しも美味しい!」
「どれも美味しいし、茶碗蒸し作れるとか、コータ君凄いね」

 この美味しい茶碗蒸しはコウタが作ってくれたので、紗耶香ちゃんも驚いている。

「うち親が急に蒸発しちまって、親戚の家に居候だったから、せめて家事でもしないと肩身狭かったからさ、多少の料理スキルは元からあるんだ」

「え!? そうだったん!? 大変だったね!」

 突然重い話をぶっちゃけたコウタ。
 紗耶香ちゃんには初耳情報だったので、さぞ驚いただろう。

 私はある日、小学生のコウタが、隣の家に越して来た頃からの付き合いだ。
 コウタの幼馴染だから、家庭の事情も料理できるのも多少知ってる。

「奏の家がお隣で、おばさんがよくおかず分けてくれたりもしたし、料理も教えてくれた」

「つまり、うちの母の味がコウタに伝承されてる訳よ、あはは」
「へえ、すごいじゃん」

「うちのお母さんの料理って言えば、餃子が美味しくてさ~~、コウタには今度、餃子を作って欲しい」
「お前も包むんならいいよ。スキルで味の◯買ってくれな」

「了解!」
「あ! サヤも包むくらいなら多分できるよ!」
「分かった。今度の休みには皆でせっせと餃子を包もう」

 うん! 餃子パーティーも楽しそうだよね!

 それにしても、コウタの所は親が蒸発して、息子も行方不明になって、私もだけど……やばいな。

 蒸発した両親ってもしやコウタを捨てたんじゃなくて、まさか、異世界転移だったりするんだろうか?
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