俺って何故か押入れから異世界へ行き来ができるっぽい!〜 商人であり聖者でもある男の異世界を巡る日々 〜

長船凪

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11 俺は戻った!

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「うわ、ショータ、お前どこに行ったかと思ったぞ!」

 大樹から荷物抱えてぬっと出てきた俺の姿を見て、驚くジェラルド。

「ごめん、その大樹にもたれたらぬっと入って元の世界に帰れたんだよ!  
そんで、ある条件が揃えば俺だけは行き来出来るみたいな感じなんじゃないかって」

「せっかく戻れたのにわざわざ戻ってきたのか? またいつ条件が揃うのかも分からないのに」


 ジェラルドは呆れた顔をして俺を見てる。


「うん、だってセイ……なんとかっていう水の都に連れてってくれるって言ってたし、まだもっとあっちの美味しいものとかをジェラルドに食わせてやりたかったし」

「そ、そんな事で……」
「だって約束しただろ」
「呆れたやつだ。だが、お前みたいなバカは嫌いじゃないよ」

 ジェラルドは輝くような綺麗な笑顔を見せてくれた。 
 エルフは顔面レベルが高すぎる。

「そういえばテイマーさんの妹さんとはどうなった?」

「俺がまいた後に他の男にダンスに誘われて踊ってたから、そっちと楽しくやってるだろう」


 そ、そうなんだ。
 あの子別に一途系じゃなかったんだ。

 俺は改めて祭りの風景をスマホで撮影した。 
 そんでふと、思った。

 あっちに戻った時に持ってたエロ本とか持ってくれは良かったかなと。
 いや、流石にバラして中古販売はアレか?

 今度戻れたら100均で硬質カードケースとかも買いたいな。
 曲げずに絵を保護出来る。

 後であっちで買えてこっちの商売とかで有用なのをリストアップしておいたほうがいいかも。

「とりあえず、どっかでアイス食おうぜ」
「アイス?」
「冷たいおやつ」
 
 折りたたみ椅子をジェラルドが出してくれて、そこで一緒に祭りの様子を見ながらアイスを食べた。

「氷菓子のソルベ的なものか?」 


 カップアイスの蓋を開けたジェラルドがそう言った。


「まあ、一口どうぞ」
「冷たい、そして甘い……な。味も凄く美味しい」
「そっちはバニラ味だ」
「じゃぁ、ショータのは?」

「ラムレーズンだよ、一口食ってみる?」
「ああ」
「これは……ショータのが更に美味しいじゃないか、バニラも凄く美味しいが」

「あはは、そんなら交換するか?」
「え? いいのか?」
「俺はどちらも好きだし、大丈夫だよ」


 そういうわけでアイスを交換した。


「なんか……美味しそうな香りがする」
「あ! 壁尻の狐ちゃん!」

 突如として現れた壁尻ちゃん!

「壁尻とか変な呼び方で言うなし!」
「あの時はトイレ行きたそうだったから、ろくに尻尾を堪能できなかったんですけど!」

「そ、その美味しそうな香りのおやつらしきものをくれたら……わ、私の、し、尻尾に触ってもいい」
「え、壁から助けた報酬だった気がするのに」 

「いいじゃん、じゃあ、それにお金払う、銅貨三枚でどう?」

「いや、俺は尻尾のがいい」
「な、なんて男なのかしら!」

 狐っ娘は顔を赤くして震えてる。

 そんなに恥ずかしいことなのか?
 尻尾をモフモフされるのは。


「じゃあ交渉決裂か」 

 俺はため息を一つついた。

「ショータ、お前さっきシルバーフォックスの尻尾を散々触ってたのに」
「だって、違う子だし、毛並みも感触も微妙に違うだろ」
「たいして変わらない気がするが」

「他と一緒にしないでよ! 私のはちゃんとお手入れしてるんだから! いいわよ!じゃあ尻尾で!」
「味はバニラだし、俺とジェラルドの食いかけだけど、いいんだな?」

「バニラがなんだかわからないけどいいわよ!」
「じゃあ君がアイス食べてる間に尻尾を触らせてもらうよ」


 俺は自分が座ってた椅子に狐ちゃんを座らせ、アイスを渡した。

 狐ちゃんがアイスを食べた瞬間、尻尾がブワッと逆立った。


「にゃっ! 冷たい! 甘い! 美味しい!」

 また狐なのに猫っぽい声を。
 俺は狐ちゃんの背後でしゃがみ、尻尾を握った。


「ニャアン!」
「あ、ごめん、強かった?」
「うう、強いと言うか……でもこの冷たくて白くて甘いのの為!」

 狐ちゃんは身悶えしつつも、俺のスーパーモフモフタイムの為に耐えてる。
 アイスと引き換えだから。

 俺はしばらく顔と手でモフモフを堪能した。

  
「ハァ、ハァ、甘くて美味しい!」

 息を乱す程美味しいのか。
 流石地球のアイスだぜ。

「よかったなぁ」
「ショータも幸せそうだな、尻尾を触ってるだけなのに」

 顔がニヤけるのは仕方ない。

「ふさふさで気持ちいいんだよぉ~」
「んんん! 無くなっちゃった!」

 バニラアイスを完食した狐ちゃんはジェラルドの手にあるラムレーズンをじっと見た、が、
 ジェラルドはササッと残りを食べた。


「ああ! 待って! せめてひと口!」
「残念、もうない」
「あああ、意地悪!」
「意地悪ではない、これは俺がもらったものだ」

「ねえ、これどこで買えるの!?」 

 狐ちゃんは俺を見て言った。


「俺以外は買えないし、当分は無理だと思う」
「きぃィー!! もう尻尾のお触り時間もおしまい!」
 

 狐ちゃんは癇癪を起こして立ち上がり、空になったアイスの容器だけ俺に渡して去っていった。


「あの子、ゴミを押し付けて行きおった……」
「ところでショータ、言ってなかったが、獣人属の尻尾はわりと感じる場所らしいぞ」 


 エルフが今になってニヤリと笑って言った。
  

「え!? 性感帯!?」
「あはは、そうだよ」 


 そ、それで変な声上げてたんだ。
 ハハハ。


 俺は焚き火の中に空のアイスの容器を投げ入れた。
 ジェラルドも同じようにした。


「ジェラルド、ワイルドボアの肉がまだあったろう? カレールーを入手してきたから、明日はそれでカレーを作って食べよう」
「カレーとやらは分からないが、肉はまだあるからいいぞ」

「玉ねぎと人参は家にあったかな?」
「あるぞ」
「じゃあ野菜も買って帰らなくても大丈夫だな」
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