パラレヌ・ワールド

羽川明

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二章 「スクール水着の半魚人」

その十二

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 リオさんは、腰の上まである金髪に、色素の薄い黄色い瞳を携(たずさ)え、コタツの中から顔だけ出した。うつぶせに寝そべっていて分かりにくいが、平均身長が二メートルを超えるという金星人にしてはかなり小柄で、背も低そうだった。下手をすると木星人の万美さんより低いかもしれない。リオさんが、姿勢を変えて起き上がり、コタツの対面に座る僕を指差した。
「誰だっけ?」
「伊瀬カズマです」
「あぁ」
 いや終わりかよ。
「こちら、〝黄色い金星人〟の那須(なす)莉(り)尾(お)さんです」
 右隣に座る万美さんが、代わりに紹介してくれる。
「以後よろ。で、何?」
「〝黒い異星人〟の写真があると聞いたんですが……」
「あぁ、あれね」
 莉尾さんはコタツに頭を突っ込むと、中のものをあれこれ放り出しながら探し始めた。その姿は秘密道具を探す未来のネコ型ロボットに似ていた。
「これね」
 莉尾さんは散らばったスナック類を雑に押しのけ、見つけ出した大きなアルバムをコタツの上に置いた。綺麗になったばかりの床が、さっそく開封されたポテチによって散らかる。
「UFOって、宇宙浮遊オブジェクトって言うだけあって、普通帽子に電球三つじゃん?」
「はぁ」
 いわゆるツリガネ型と言われるタイプのことだろう。確かに、小型のUFOは基本ツリガネ型で、他の形は見たことがない。
「でも、あのUFOは違った。あれはまるで――――」
「まるで?」
 厚紙をばらばらとめくる音が、三分の二ほどの一で止まった。莉尾さんは隙間に手のひらを挟み込んで勢い良く開いた。
「――――ダイコン!」
「大根?」
「じゃなきゃシャープペンシル」
 さっきまでとは打って変わって、莉尾さんはちょっと興奮気味だった。僕に見せられないほど散らかっていたらしい室内とは違い、写真だけは丁寧にファイリングされていた。
 その中のうちの一枚を指差し、莉尾さんは続ける。
「ほれ。こんなの、絶対太陽系のUFOじゃない。異星人だよあれは。〝黒い異星人〟!」
 写真では、先のとがった流線形のUFOが、えぐれた地面にさかさまに突き刺さっている。
「……あれ? これって、この前僕らがいた、三つ子山の頂上の写真じゃ?」
「あぁ。その開いた穴をふさぐのに手間取って、掘り返された木星の花は、ほとんど直せてねぇんだ」
 樹里さんは万美さんの隣で不機嫌そうに頬杖をついた。
「そうだったんですの……」
 左隣に座る魚々乃女(ぎょぎょのめ)さんも、三つ子山の写真に見入っている。ただ、肝心の〝黒い異星人〟の写真はピンボケのものばかりで、顔や性別、瞳の色までは分からなかった。分かったのは、腰の下まである異様に長い黒髪と、肩幅の広い大きな体。まるで、大柄の男がカツラをかぶって女装しているかのような、強烈な不和感があった。
「このUFOの写真、コピーとかって、できますか?」
「――――何に使うの?」
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