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第一章 ぶつかり合う感情
憂鬱。でも律儀な少女
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一週間前、私の婚約者であるヴァーミリアン様からいただいた手紙は何時ものそれと違った内容だった。
私、ナーロレイ・キュランダは王家主催のお茶会に招かれたのだ。
勿論王家からのお誘いを断れるはずもなく、今日を迎えてしまった。
(…仕方ないわね。この時期に急遽お茶会を開いた理由は分かるけど…)
今日のお茶会は王妃様が提案したもので、彼女が国一のお茶会好きだという理由もあるけれど…。ここ一年間で婚約が決まった者たちへの祝いを兼ねている。
そろそろ出発しなくてはいけない時間になっていて、時間ギリギリまで図書館にいたところ呼ばれてしまいましたの。
・・・。
ボイコットはしてないわ!事前に余所行きの格好に着替えていますわ!
玄関まで行くと、機嫌のいい婚約者様が出迎えてくれました。
彼が終始ニコニコと緩み切った顔をしているのは何故でしょうか?
私にはまだヴァーミリアン様の事がよく分からないのよね…。
――まあ、私達は政略結婚で繋がった関係。
全てを理解できなくても信頼関係は築けていけるのではないかしら。
彼の手に自身の手を乗せ、馬車に乗り込む。
同い年だったかしら。
少し大きいけれど、剣だこも傷もない、真っ白な手。
私の手は手袋で覆われているけれど、世の中の淑女とは対極な、寧ろ男性のように剣だこが潰れて荒れた状態になっている。
私はこの努力の証が刻まれた手が好きだけれど、それを許してくれる殿方なんていないと思うのよね。
そういう意味でも、政略結婚の相手が面倒な相手でなくてよかったと心底思うわ。
「、しているのですか?」
「!」
気が付いたら、馬車の中で話しかけられていたみたい。
聞き逃すなんて失礼なことをしてしまったわ!
「あ・・・えっと~・・・」
冷や汗が吹き出しそうになる私を見て、ヴァーミリアン様は苦笑しながらもゆっくり問いかけてくれた。
「気にしないでください。私の話が面白くない事は私自身よく理解していますから。
コホンッ、それでは私が何を問いかけたかでしたね?
ナーロレイ嬢は、我が儘だけどカリスマ性のある方を魅力的だと感じたり、恋愛対象として見たりしていますか。」
唐突な質問ね。
――我が儘でカリスマ性のある方・・・。
交流の少ない私の頭に浮かぶのは、可愛げのある弟・ラーシュ。
あの子は私なんかより頭脳派なのに、私の方が優れていると思っている節があるのよね~。・・・互いに身内の欲目で見ている所はあるかもしれないわね。
「…私は、どうでしょうね。男女の機微には疎いの方だから恋愛なんて分からないわ。以前一度だけ弟とそういう話をしたけれど、私の理想はどうも高すぎるようだから、参考にもならないのではないかしら?」
ヴァーミリアン様は何か話したそうにしていたけれど、曖昧に笑みを浮かべて追及の手を止めさせた。
彼には何処か・・・、そう、年相応の純真さがあって、それが私には眩しすぎる。
眩い光ほど目を背けたくなるし、私の欠落した箇所が浮き彫りになるのだ。
婚約を祝うお茶会に向かう馬車の中で、既に婚約を白紙にしたいという気持ちと、彼と向き合える日が来るのかという途方もない想像が頭を占めていた。
私、ナーロレイ・キュランダは王家主催のお茶会に招かれたのだ。
勿論王家からのお誘いを断れるはずもなく、今日を迎えてしまった。
(…仕方ないわね。この時期に急遽お茶会を開いた理由は分かるけど…)
今日のお茶会は王妃様が提案したもので、彼女が国一のお茶会好きだという理由もあるけれど…。ここ一年間で婚約が決まった者たちへの祝いを兼ねている。
そろそろ出発しなくてはいけない時間になっていて、時間ギリギリまで図書館にいたところ呼ばれてしまいましたの。
・・・。
ボイコットはしてないわ!事前に余所行きの格好に着替えていますわ!
玄関まで行くと、機嫌のいい婚約者様が出迎えてくれました。
彼が終始ニコニコと緩み切った顔をしているのは何故でしょうか?
私にはまだヴァーミリアン様の事がよく分からないのよね…。
――まあ、私達は政略結婚で繋がった関係。
全てを理解できなくても信頼関係は築けていけるのではないかしら。
彼の手に自身の手を乗せ、馬車に乗り込む。
同い年だったかしら。
少し大きいけれど、剣だこも傷もない、真っ白な手。
私の手は手袋で覆われているけれど、世の中の淑女とは対極な、寧ろ男性のように剣だこが潰れて荒れた状態になっている。
私はこの努力の証が刻まれた手が好きだけれど、それを許してくれる殿方なんていないと思うのよね。
そういう意味でも、政略結婚の相手が面倒な相手でなくてよかったと心底思うわ。
「、しているのですか?」
「!」
気が付いたら、馬車の中で話しかけられていたみたい。
聞き逃すなんて失礼なことをしてしまったわ!
「あ・・・えっと~・・・」
冷や汗が吹き出しそうになる私を見て、ヴァーミリアン様は苦笑しながらもゆっくり問いかけてくれた。
「気にしないでください。私の話が面白くない事は私自身よく理解していますから。
コホンッ、それでは私が何を問いかけたかでしたね?
ナーロレイ嬢は、我が儘だけどカリスマ性のある方を魅力的だと感じたり、恋愛対象として見たりしていますか。」
唐突な質問ね。
――我が儘でカリスマ性のある方・・・。
交流の少ない私の頭に浮かぶのは、可愛げのある弟・ラーシュ。
あの子は私なんかより頭脳派なのに、私の方が優れていると思っている節があるのよね~。・・・互いに身内の欲目で見ている所はあるかもしれないわね。
「…私は、どうでしょうね。男女の機微には疎いの方だから恋愛なんて分からないわ。以前一度だけ弟とそういう話をしたけれど、私の理想はどうも高すぎるようだから、参考にもならないのではないかしら?」
ヴァーミリアン様は何か話したそうにしていたけれど、曖昧に笑みを浮かべて追及の手を止めさせた。
彼には何処か・・・、そう、年相応の純真さがあって、それが私には眩しすぎる。
眩い光ほど目を背けたくなるし、私の欠落した箇所が浮き彫りになるのだ。
婚約を祝うお茶会に向かう馬車の中で、既に婚約を白紙にしたいという気持ちと、彼と向き合える日が来るのかという途方もない想像が頭を占めていた。
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