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第一章 ぶつかり合う感情
お茶会③ 剣術仲間の勧誘
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コルデミッド様と呼ばれている彼のもとに訪れれば、彼の周りには自然と人が集まっていた。彼の、人の目をきちんと見て熱心に聞く姿勢は話し手からしたら気分がいいものだろう。
盛り上がっている所を邪魔するのもなぁ~と思っていたら、彼と目が合った。
ラウス殿は目を瞬かせて、「俺?」と指を自身に向けた。肯定の意味を含めて頷いたら、上手い事言って大きな輪から抜けて、颯爽とこちらに駆け寄ってきた。
爽やかすぎますわね。
目の前に来た彼は、女性にしては身長の高い私より頭2つ分高いところから見下ろしてきた。見下されているとは感じない爽やかさに思わず感心してしまったわ…。
「俺に何か用・・・ですか?」
「ええ、そうですの。それと、敬語は無理に使わず、普段通りで構いませんわ」
私がそう返すと、すんなりと砕けた口調に変え、感謝の言葉を並べてきた。
私は私で、彼の時間をもらっているからありがとうを伝えたのだけど、互いにペコペコしていて目が合うと笑いがこみあげて、互いに声を出して笑い合いましたわ。
「えっと、はじめましてだよね?」
「ええ、そうですわ。私が一方的に知っていただけですわ。コルデミッド殿は有名人ですから。えっと、不快ではないですか?」
「いや、君みたいな綺麗で賢そうな子に知ってもらえてるなんて嬉しいよ!話は何かな?俺が答えられる事なら教えるよ。」
「では早速、――」
ラウス殿は調査通りブルーザイン騎士団長様の弟子で、ほぼ毎日鍛錬に行っていましたわ。服の上からも筋肉があるのが分かりますし、涼しげな目元にはホクロ以外に切り傷もある。普段は帯剣しているからか、自然と左手が腰元に置かれている。
ん?左手?
左利きなのね。
家庭教師から教えてもらっている私は、まだ左利きの騎士と剣を交えたことがない。
とても魅力的な人に出会えてしまったようね。
満足げに目を輝かせ彼の顔に視線を戻すと、きょとんとしたラウス殿の顔があった。
思わず手を翳すと、緊張が解けたのか胸に手を当てて息を吐き出した。
「君は僕をどうしたいんだ…」
彼の呟きを耳で拾って、本題であり伝えたかった「私と剣術の稽古をして欲しいんです!」を口にしたら、「そうだと思ってたよ…、って、ええええ!?」と驚かれてしまいましたわ。
すっかり肩を落とした彼に何かフォローをと思ったけれど、頭の隅を弟リクの言葉がよぎった。
『姉さんは人の心の機微に疎くて鈍いんだから、変な気を回さないでよ?』
そうだったと思いだして、静々と手を差し伸べた。
「よろしければ手を取ってくださいな。日々鍛錬を積み進化しているコルデミッド殿と手合わせしていただきたいのです。」
手を出したまま頭を下げたら、少し間をおいて大きな手を重ねられた。
ホッとして握手をするように手を握ったら、両手で包み込まれた。
「提案に乗るけど、女性なんだから手入れしなきゃダメだよ?」
私の努力(剣術の)で皮膚が硬くなっている手をしげしげと心配そうに眺められ、急に恥ずかしくなってきた。私も人には良く見られたいという人並みの感情があったのねと思い知らされた。
私が曖昧にしか返事をしないから優しい説教を受け、それから20分ほど手を握られ続けた。
恥ずかしくて項垂れていた私は周囲から好奇な視線に向けられている事に気付かなかった。
盛り上がっている所を邪魔するのもなぁ~と思っていたら、彼と目が合った。
ラウス殿は目を瞬かせて、「俺?」と指を自身に向けた。肯定の意味を含めて頷いたら、上手い事言って大きな輪から抜けて、颯爽とこちらに駆け寄ってきた。
爽やかすぎますわね。
目の前に来た彼は、女性にしては身長の高い私より頭2つ分高いところから見下ろしてきた。見下されているとは感じない爽やかさに思わず感心してしまったわ…。
「俺に何か用・・・ですか?」
「ええ、そうですの。それと、敬語は無理に使わず、普段通りで構いませんわ」
私がそう返すと、すんなりと砕けた口調に変え、感謝の言葉を並べてきた。
私は私で、彼の時間をもらっているからありがとうを伝えたのだけど、互いにペコペコしていて目が合うと笑いがこみあげて、互いに声を出して笑い合いましたわ。
「えっと、はじめましてだよね?」
「ええ、そうですわ。私が一方的に知っていただけですわ。コルデミッド殿は有名人ですから。えっと、不快ではないですか?」
「いや、君みたいな綺麗で賢そうな子に知ってもらえてるなんて嬉しいよ!話は何かな?俺が答えられる事なら教えるよ。」
「では早速、――」
ラウス殿は調査通りブルーザイン騎士団長様の弟子で、ほぼ毎日鍛錬に行っていましたわ。服の上からも筋肉があるのが分かりますし、涼しげな目元にはホクロ以外に切り傷もある。普段は帯剣しているからか、自然と左手が腰元に置かれている。
ん?左手?
左利きなのね。
家庭教師から教えてもらっている私は、まだ左利きの騎士と剣を交えたことがない。
とても魅力的な人に出会えてしまったようね。
満足げに目を輝かせ彼の顔に視線を戻すと、きょとんとしたラウス殿の顔があった。
思わず手を翳すと、緊張が解けたのか胸に手を当てて息を吐き出した。
「君は僕をどうしたいんだ…」
彼の呟きを耳で拾って、本題であり伝えたかった「私と剣術の稽古をして欲しいんです!」を口にしたら、「そうだと思ってたよ…、って、ええええ!?」と驚かれてしまいましたわ。
すっかり肩を落とした彼に何かフォローをと思ったけれど、頭の隅を弟リクの言葉がよぎった。
『姉さんは人の心の機微に疎くて鈍いんだから、変な気を回さないでよ?』
そうだったと思いだして、静々と手を差し伸べた。
「よろしければ手を取ってくださいな。日々鍛錬を積み進化しているコルデミッド殿と手合わせしていただきたいのです。」
手を出したまま頭を下げたら、少し間をおいて大きな手を重ねられた。
ホッとして握手をするように手を握ったら、両手で包み込まれた。
「提案に乗るけど、女性なんだから手入れしなきゃダメだよ?」
私の努力(剣術の)で皮膚が硬くなっている手をしげしげと心配そうに眺められ、急に恥ずかしくなってきた。私も人には良く見られたいという人並みの感情があったのねと思い知らされた。
私が曖昧にしか返事をしないから優しい説教を受け、それから20分ほど手を握られ続けた。
恥ずかしくて項垂れていた私は周囲から好奇な視線に向けられている事に気付かなかった。
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