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第一章 ぶつかり合う感情
小さな世界のお姫様 ???視点
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可愛い、愛くるしい、お姫様。
どれも私に当てはまる言葉。
茶色の大きな瞳に長くボリュームのある睫毛。
ウェーブのかかった金髪、頭には天使の輪があるように見える。
少し眉尻が下がった庇護欲をそそる眉。
赤い林檎のようでぷっくらとした小振りの唇、薄く色づいた頬。
まさに美しく作り上げられた人形、天から舞い降りた天使。
国のお姫様、・・・これは間違いないわ。
だから、何でも欲すれば手に入るし、常に守られているから痛い事も怖い事も何もない。私の周りは甘い甘い世界でできている。
ここに、彼がいたら完璧なのに。
そう、私が愛してやまない方。
私が生まれた時から私の王子様になる事が決まっている素敵な人。
始めて会った時、運命を感じたわ。
整った顔立ちに素敵な声、公爵子息で温和な性格。
私の為にある、私というお姫様を愛してくれるお方。
きっと素敵な殿方に成長して、私を求め甘やかしてくれる、私の世界に必要な方。
「早く会いたいわ・・・」
あの方とは彼是半年会えていない。
お父様もお兄様方も大事な時期だから困らせてはいけないなんて言うんですもの。
彼も私との結婚の為に今は研鑽しているのね。
なら私も余裕をもって彼が迎えに来るのを待つしかないわ。
「・・・から・・・・・・様が、」
「・・・・・・には・・・・・・かせない・・・」
部屋の扉向こうから何やら兵士たちの声が聞こえるわ。
主人に内緒で何を話してるのかしら?
そっと扉に歩み寄ろうとして、侍女が前に立ち塞がった。
「リーナ、そこをどいてちょうだい」
「クレスセンシア様。お外にご用でしたら私めが行ってまいります」
「そう?では兵士たちが話してる内容を聞いてきてちょうだい。」
「承知いたしました。・・・理由をお聞きしても?」
「あら、好奇心に決まってるじゃない。
お前が私に不躾にも質問をした事は不問してあげるからさっさと聞いてきて。
私も立派な淑女ですもの。あの方の耳にも入るよう私の素敵な噂をそれとなく流しておいて!」
私はまだ8歳だけど着実にいつでもあの方の所に行けますわ!
恥ずかしくないようマナーもマスターしたもの!
テーブルマナーもダンスも授業は一回で済んだわ。教師の方からも「もう教える事はありません」と言われるほど
完璧。お茶会でも令嬢方は私の美貌に怖気づいて誰も参加しなくなったわ。きっと己の醜さに恥ずかしくなったのね。令嬢の何人かは「これでは雲泥の差ですわ」と言っていたもの。
醜いものは私の世界にいらないわ。
後は、あの方が迎えに来てくればいいだけ!
「・・・は、・・・で・・・・・・ですから、」
リーナが扉の外に出て、あの兵士たちと何やら話してるみたい。
好奇心に負けて、扉に右耳を付けて話を聞こうとした。
どうやら婚約の話みたい。
気が早いけれど、私と彼の?
期待の意味も込め聞いていると、耳を疑いたくなるような言葉が耳に入った。
「バルモンド家の子息の相手が決まったらしい。」
「そうか。この事はお嬢様には――」
「あら?私ならここにいるわ。あの方のことでしょ?もったいぶらずに伝えてちょうだい」
私が可愛らしく首を傾げお願いしたら、苦い顔をされた。
私が愛想振りまいて接してあげてるんだから、嬉しそうにしなさいよ。
「ほら、私に伝えることがあるんでしょ?」
「いえ、国王様から後程話されるとの事ですので、一兵士が口を破るわけには――」
「それなら、ここで聞いた事は内緒にしてあげるから、ね?」
お父様も意地悪が過ぎるわ。
私があの方を好きなのを知っていて、報せを後にするなんて!
だけど、私は兵士からの言葉を聞いて思わず真顔になりそうになった。
「バルモンド家子息とキュランダ公爵家令嬢の婚約が決まったのです」
遠くでリーナの怒鳴る声と兵士の狼狽える声が聞こえた気がした。
――そんな事、どうでもいいわ。
お父様が私の王子様に、私ではない他の女を宛がうなんて・・・。
家格でも容姿でも釣り合うって、お似合いだよって言ってくれたじゃない!!
何で何で何で何で何で!!!
「クレスセンシア様っ、お待ちください!!」
リーナの制止の声が聞こえたけど、私は止まれそうにない。
私の王子様、ヴァーミリアン様は私のもの!
私と彼との間を引き裂くなんて、お父様であろうと処刑レベルなんだから!
このハーデラウル国第一王女の危うい考えが、愛する彼を幻滅させ、果てには大きな思惑に巻き込まれ、都合のいい傀儡とされ、取り返しのつかない事に発展するとは、その時の彼女は思い至らなかった。
どれも私に当てはまる言葉。
茶色の大きな瞳に長くボリュームのある睫毛。
ウェーブのかかった金髪、頭には天使の輪があるように見える。
少し眉尻が下がった庇護欲をそそる眉。
赤い林檎のようでぷっくらとした小振りの唇、薄く色づいた頬。
まさに美しく作り上げられた人形、天から舞い降りた天使。
国のお姫様、・・・これは間違いないわ。
だから、何でも欲すれば手に入るし、常に守られているから痛い事も怖い事も何もない。私の周りは甘い甘い世界でできている。
ここに、彼がいたら完璧なのに。
そう、私が愛してやまない方。
私が生まれた時から私の王子様になる事が決まっている素敵な人。
始めて会った時、運命を感じたわ。
整った顔立ちに素敵な声、公爵子息で温和な性格。
私の為にある、私というお姫様を愛してくれるお方。
きっと素敵な殿方に成長して、私を求め甘やかしてくれる、私の世界に必要な方。
「早く会いたいわ・・・」
あの方とは彼是半年会えていない。
お父様もお兄様方も大事な時期だから困らせてはいけないなんて言うんですもの。
彼も私との結婚の為に今は研鑽しているのね。
なら私も余裕をもって彼が迎えに来るのを待つしかないわ。
「・・・から・・・・・・様が、」
「・・・・・・には・・・・・・かせない・・・」
部屋の扉向こうから何やら兵士たちの声が聞こえるわ。
主人に内緒で何を話してるのかしら?
そっと扉に歩み寄ろうとして、侍女が前に立ち塞がった。
「リーナ、そこをどいてちょうだい」
「クレスセンシア様。お外にご用でしたら私めが行ってまいります」
「そう?では兵士たちが話してる内容を聞いてきてちょうだい。」
「承知いたしました。・・・理由をお聞きしても?」
「あら、好奇心に決まってるじゃない。
お前が私に不躾にも質問をした事は不問してあげるからさっさと聞いてきて。
私も立派な淑女ですもの。あの方の耳にも入るよう私の素敵な噂をそれとなく流しておいて!」
私はまだ8歳だけど着実にいつでもあの方の所に行けますわ!
恥ずかしくないようマナーもマスターしたもの!
テーブルマナーもダンスも授業は一回で済んだわ。教師の方からも「もう教える事はありません」と言われるほど
完璧。お茶会でも令嬢方は私の美貌に怖気づいて誰も参加しなくなったわ。きっと己の醜さに恥ずかしくなったのね。令嬢の何人かは「これでは雲泥の差ですわ」と言っていたもの。
醜いものは私の世界にいらないわ。
後は、あの方が迎えに来てくればいいだけ!
「・・・は、・・・で・・・・・・ですから、」
リーナが扉の外に出て、あの兵士たちと何やら話してるみたい。
好奇心に負けて、扉に右耳を付けて話を聞こうとした。
どうやら婚約の話みたい。
気が早いけれど、私と彼の?
期待の意味も込め聞いていると、耳を疑いたくなるような言葉が耳に入った。
「バルモンド家の子息の相手が決まったらしい。」
「そうか。この事はお嬢様には――」
「あら?私ならここにいるわ。あの方のことでしょ?もったいぶらずに伝えてちょうだい」
私が可愛らしく首を傾げお願いしたら、苦い顔をされた。
私が愛想振りまいて接してあげてるんだから、嬉しそうにしなさいよ。
「ほら、私に伝えることがあるんでしょ?」
「いえ、国王様から後程話されるとの事ですので、一兵士が口を破るわけには――」
「それなら、ここで聞いた事は内緒にしてあげるから、ね?」
お父様も意地悪が過ぎるわ。
私があの方を好きなのを知っていて、報せを後にするなんて!
だけど、私は兵士からの言葉を聞いて思わず真顔になりそうになった。
「バルモンド家子息とキュランダ公爵家令嬢の婚約が決まったのです」
遠くでリーナの怒鳴る声と兵士の狼狽える声が聞こえた気がした。
――そんな事、どうでもいいわ。
お父様が私の王子様に、私ではない他の女を宛がうなんて・・・。
家格でも容姿でも釣り合うって、お似合いだよって言ってくれたじゃない!!
何で何で何で何で何で!!!
「クレスセンシア様っ、お待ちください!!」
リーナの制止の声が聞こえたけど、私は止まれそうにない。
私の王子様、ヴァーミリアン様は私のもの!
私と彼との間を引き裂くなんて、お父様であろうと処刑レベルなんだから!
このハーデラウル国第一王女の危うい考えが、愛する彼を幻滅させ、果てには大きな思惑に巻き込まれ、都合のいい傀儡とされ、取り返しのつかない事に発展するとは、その時の彼女は思い至らなかった。
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