シスルの花束を

碧月 晶

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60「後日談4」side雨月

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「じゃあな」とおれとリアムを残して、三門は背を向けた。遠ざかっていく背中をしばらく見つめていたが、

「雨月」

リアムの真剣な声に視線はそちらへと向く。

「何ですか?」
「その……いきなりこんな事を言われても困るだろうが…でも、言わせて欲しい」

リアムの彷徨さまよっていた視線がおれに定まり、口を開く。

「俺は雨月の事が好きだ」
「え…」
「愛してるんだ。出会った時から、ずっと」
「………」

リアムはこんな冗談を言うような人ではない。だから、そうではない事は直ぐに分かった。

「…ごめんなさい。リアム、君の気持ちには応えられない」
「…そう、だよな。君にはもう恋人がいるんだもんな。悪い、いきなりこんな事を言って。友達だと思ってた奴に告白されて気持ち悪かっただろ」
「そんな事はありません」

その言葉に、即座に否定する。

「確かに驚きましたが、気持ち悪いなんて思いませんでした」
「雨月…ありがとう。そう言ってくれただけで、報われたよ」
「リアム…」

今にも泣きそうな顔で、リアムは笑った。

その笑顔に胸がぎゅうっと締め付けられて、でもこれ以上の言葉はきっと彼を傷付けてしまうだけだ。

「そんな顔をしないでくれ、雨月」
「っ、でも…」
「いいんだ。君にそんな顔をさせたと知れたら彼に怒られる」
「三門はそんな事じゃ怒りませんよ」
「そう、かもな。俺にこんな情けをかける奴だ。君の言う通り、口は悪いが良い奴なんだろうな」
「ふふ、そうなんです」
「おっと、惚気のろけか」

クスクスとお互いに笑い合う。

「なに笑ってんだよ」

振り向くと、そこにはお茶のペットボトルを3つ抱えた三門が立っていて。

「お帰りなさい、三門」
「ん。もういいのか」
「はい」

答えると、三門は持っていたペットボトルの内一本をリアムに投げ渡した。

「お前、これからどうすんだよ」
「そうだな。折角日本に来たんだ、しばらく観光して行くよ」
「そうかよ。ま、せいぜい傷心旅行を楽しむんだな」
「言われなくてもそうするさ。雨月、またな」

そう言うと、リアムは背を向けて歩き出す。

「はい、また」

答えたおれに、リアムは手を振った。

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