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祭月が離れていくその刹那、ふわりと、酷く甘い匂いが俺の鼻腔をくすぐった。
だけど、それは不思議と不快に感じなかった。
甘いものが苦手な俺にすれば、ありえない感想だったが、そのむせかえるように甘い香りが肺を満たしていく感覚は嫌いじゃなかった。
寧ろ…
「んんん……?」
首を捻らせて、考え込むような祭月のその声に、ハッと我に返った。
どちらかと言えば、いきなり自分の匂いを他人に嗅がれた俺が首を傾げたいところなのだが。
……ん?あれ、何かさっきより祭月の顔色が良いような?
気のせいと言われればそれまでだが、それぐらいの小さな変化だった。
「まつら…「ま、いっか。次のとこ行こっか那月君?」
問いかけようとした俺の声を遮り、俺から離れると直ぐに祭月は笑みを浮かべ、クルリと背を向けて歩き出した。
何だったんだ?一体
「おーい。那月くーん、行かないのー?」
「…………………」
気ままに歩いていく祭月の後ろ姿を追いかけながら、若干速くなった自身の胸をギュッと押さえた。
だけど、それは不思議と不快に感じなかった。
甘いものが苦手な俺にすれば、ありえない感想だったが、そのむせかえるように甘い香りが肺を満たしていく感覚は嫌いじゃなかった。
寧ろ…
「んんん……?」
首を捻らせて、考え込むような祭月のその声に、ハッと我に返った。
どちらかと言えば、いきなり自分の匂いを他人に嗅がれた俺が首を傾げたいところなのだが。
……ん?あれ、何かさっきより祭月の顔色が良いような?
気のせいと言われればそれまでだが、それぐらいの小さな変化だった。
「まつら…「ま、いっか。次のとこ行こっか那月君?」
問いかけようとした俺の声を遮り、俺から離れると直ぐに祭月は笑みを浮かべ、クルリと背を向けて歩き出した。
何だったんだ?一体
「おーい。那月くーん、行かないのー?」
「…………………」
気ままに歩いていく祭月の後ろ姿を追いかけながら、若干速くなった自身の胸をギュッと押さえた。
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