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13 side瑠
しおりを挟む「ふぁ…」
あー、ねみー…
出来ることなら朝はもっと寝ていたい。
密かな願望をぼやっとする頭に浮かべていると、暖簾の隙間から台所の縁に手を突いて何やら考え込んでいる様子の悠貴さんが見えた。
「悠貴さん?どうかした?」
「っ! あ、り、瑠さんおはようございます!」
「? おはよう」
布を捲って、ひょいと顔を覗かせると飛び上がった。
「ごめん、何か考え事してた?」
だとしたら邪魔してしまったかもしれない。悪いことをした。
「あ、いえっそんな事は!少しぼっとしていただけなので大したことじゃありませんから!」
「そう?」
何となくいつもより忙しないような気がしないでもないが、本人が大丈夫だと言っているのだし、まぁ良いか。
「よお、瑠。」
気怠そうな低い声と共に頭に重みを感じた。
「はよ、兄貴。あと重い」
地味に訴えるも、兄貴は構わず悠貴さんに話し掛けた。
「置いてくとか薄情だなユウ」
「螢さんと違って俺は忙しいんですよ。それから、言っておきますけど一応声は掛けましたからね」
「知らんな」
いつもの光景だが、いつもよりどこか楽しそうな2人の会話に首を傾げながら
その日もいつも通り学校へ向かった。
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