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54.的中 sideルカ
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何やら言い合っている様子の人だかりに近付き、どこか呆然としているような野次馬の一人に事情を聞く。
「最後の井戸が枯れちまったんだ」
「井戸が?それに最後とは?確かのこの辺りの水脈は豊富だったと記憶しているのだが」
「ああ、そうだったんだが…3年ぐらい前に魔族がやって来て、あの水神様のお山に居座りやがったんだ」
なるほど。それでこの荒れようだったのか。
彼らが言う山には、魔力を注げば無限に水を生み出すという魔具が祀られている。
この辺り一体を流れる川や井戸の水の源であるそれを奪われてしまえばひとたまりもないだろう。
『水花の村』の名が見るも無残な有様だ。
「奴ら、水と交換する代わりに様々なもんを要求してきた。けど…もうこの村には渡せるもんなんて無いんだよ!俺の…っ、俺の娘も奴らに…!」
言うなりワッと泣き崩れた男性の背を優しくさする。
「村長はどなただろうか」
「へ……、村長はあの、井戸の傍に立っておられる白い髭を蓄えたお方だが…」
「そうか。ありがとう」
笑いかけ教えて貰った人物の所へと行こうとすると、クイッとマントが引っ張られる感覚に足が止められる。
「どうした。アメ」
「どうしたもこうしたもないよ。なに流れるようにクエスト始めようとしようとしてんの」
目深く被ったフード越しに不服そうな視線を感じる。
「駄目なのか?」
「………、あ~もう分かったよ。好きにすれば」
「ありがとう。分かってくれたようで嬉しい」
「はいはい」
脚を蹴られた。何故だろう?
「最後の井戸が枯れちまったんだ」
「井戸が?それに最後とは?確かのこの辺りの水脈は豊富だったと記憶しているのだが」
「ああ、そうだったんだが…3年ぐらい前に魔族がやって来て、あの水神様のお山に居座りやがったんだ」
なるほど。それでこの荒れようだったのか。
彼らが言う山には、魔力を注げば無限に水を生み出すという魔具が祀られている。
この辺り一体を流れる川や井戸の水の源であるそれを奪われてしまえばひとたまりもないだろう。
『水花の村』の名が見るも無残な有様だ。
「奴ら、水と交換する代わりに様々なもんを要求してきた。けど…もうこの村には渡せるもんなんて無いんだよ!俺の…っ、俺の娘も奴らに…!」
言うなりワッと泣き崩れた男性の背を優しくさする。
「村長はどなただろうか」
「へ……、村長はあの、井戸の傍に立っておられる白い髭を蓄えたお方だが…」
「そうか。ありがとう」
笑いかけ教えて貰った人物の所へと行こうとすると、クイッとマントが引っ張られる感覚に足が止められる。
「どうした。アメ」
「どうしたもこうしたもないよ。なに流れるようにクエスト始めようとしようとしてんの」
目深く被ったフード越しに不服そうな視線を感じる。
「駄目なのか?」
「………、あ~もう分かったよ。好きにすれば」
「ありがとう。分かってくれたようで嬉しい」
「はいはい」
脚を蹴られた。何故だろう?
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