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【3rd】BECOME HAPPY!
パールフェリカ姫のやる気
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(1)
幾重にも連なる山林を、ペリュトンが駆ける。
牡鹿でありながらその頭には大きな角が2本、首の下辺りまで伸びている。脚も鹿のものだが、今は背に生えている鳥のような翼を大きく羽ばたき、木々の上を飛んでいる。翼と首の間に、黒い人影が跨っている。フードは跳ね上げられており、長く黒い外套とともに緩く波打つ黒髪が風に揺れる。
騎乗しているのは、昨日“飛槍”のガミカ拠点からこのペリュトンでユニコーン輸送に先立ち飛び去った男だ。──“飛槍”の男達がレイムラース様、と呼んでいた。
飛び進む程に、じわじわ木々の葉の色が濃くなる。深い緑は、山陰に入っているわけでもないのに黒く見えるものすらある。クーニッドが近い証だ。
召喚術が一切使えなくなる“神の御す所”。クーニッドの大岩のある山が、もう間近だという証拠。
クーニッドへの山道が見える辺りでレイムラースは地上へと降り、ペリュトンを還した。
昨夜“あの方々”への報告を済ませ、早朝にその拠点を出てクーニッドへとやって来た。レイムラースが“あの方々”とコンタクトを取る理由が、クーニッドにある。
レイムラースは神殿まで黙々と歩き、辿り着くと長老マルーディッチェと二言三言話し、神殿の奥へと1人で入った。こちらへ来るのは初めてではない。
壁の大きく切り出された石はぴっちりと積み上げられている。それがほんのりと光を放って周囲を照らす。天井までそれは変わらない。
最奥で足を止めた。青く透ける巨大な水晶が眼前にある。これがクーニッドの大岩であり、神の突端と言われている。
そっと血色の悪い青白い手で触れる。しばらく目を閉じて触れていたがその手をひくりと揺らした。
目を開き顔を上げると、煌く光を返す水晶を見た。
「……しかしそれでは……アザゼルが?」
呟きのような問い。返事らしい声は無いがレイムラースは戸惑いを隠さず、“誰か”に答える。
「いや、私は何も」
2、3度瞬きを交えながらレイムラースは瞳を揺らした。
手を降ろし、内側に光を抱くような巨大なクリスタルの前で立ち尽くす。
「アザゼル……今の話は本当か?」
しばらくしてレイムラースの声がはっきりと天井の高い部屋に通った。やや間を開けて、『不躾な……』と誰も居ない室内に声が反響する。
先に4枚の白に輝く光の翼と尾羽が現れ、次いで導かれるように冷たい印象すら与える男がその根元に姿を現す。全身から光が溢れている。
七大天使の長、アザゼルである。
「君がここに居る事はわかっていた。だから呼びかけたまで」
明らかに“人”よりも大きな“天使”、アザゼルは腕を組んだ。半眼でレイムラースを見下ろす。
『残念だが私は何も言わない。アルティノルドにも何も言っていない』
「なぜ?」
アザゼルは静かな面持ちのまま揺るがない声で問いに問いで返す。
『……長い時が流れ、忘れたか?』
「今更……我々は──」
『くだらん』
断じてアザゼルは腕を下ろす。
『七大天使の総意は変わらん。アルティノルドがどうかしている。レイムも追従するなら、好きにすればいいだろう。──それとも、お前がそそのかしたか?』
「…………」
沈黙するレイムラースを待つこと無く、アザゼルは空気に溶けるように姿を消した。
残されたレイムラースは息を吐き、大岩を見上げた。
足をピコピコクッションに改造されてから、ミラノはソファーでじっとしている。絵本を見ているが、目は滑っている。
パールフェリカ、シュナヴィッツ、ネフィリムの3人と、護衛騎士のエステリオは謁見の間へ行っている。部屋には侍女が二人居るだけで、とても静かだ。集中しやすい環境ではあるのだが。
──自分は死んでいるのか?
一人で悶々とした所で答えなど出ないと分かっている。
その問いに、結局絵本を開いても頭に入っていない。脚を組み、その上に大きく本を開いている。右手側にある肘置きに折り曲げた肘を置き、頬杖をついて離れた窓の外の空を眺め、微動だにしていなかった。
「なんだ、“うさぎ”のままなのか?」
頭上から声が降って来た。
声の主はわかる。第一声がそれかとミラノは“確信”をしつつも、嘆息を堪えた。“人”である事を期待されている。そうなる前になんとか手を打ちたかったのに。
返事をする気にもなれず、聞こえないフリを決め込んでいると「ミラノ?」と名を呼ばれる。
しぶしぶ“うさぎのぬいぐるみ”は声の方へ顔を向けた。
亜麻色のまっすぐの髪がさらりと揺れた。第二位王位継承者、シュナヴィッツだ。
「何ですか?」
ミラノの淡々とした声は、突き放すというより、棒読みのようであった。
「動いていないから、また召喚が解けてしまったのかと思った」
「……そういう事ではありませんが……」
“うさぎのぬいぐるみ”の頭はソファの背もたれを越えない。そのソファの背もたれに両肘をついてシュナヴィッツは後ろからミラノの見ている絵本を覗き込んでくる。
相変わらずの王子ルックに、甘い香りが広がる。
見た目は麗しいが、数日話してお洒落だとかに興味を示す様子が無い事がわかっている。
戦いになれば好んで前線へ飛び出すというシュナヴィッツだ。貴族の娘らからの猛攻に辟易しているこの彼に、女が好みやすい甘い香水を選んでいる侍女は一体何を狙っているのやら。美しい主には誰よりも美しくあって欲しい、といった所なのだろうか。ミラノには、心底どうでもいい事ではあったが。
「動かないのであれば問題ありませんから、これで良いです」
「ああ、“うさぎ”で居る理由か」
ミラノは“人”でいる方が面倒が増えると学習した。この世界に在る限り、もうずっと“ぬいぐるみ”でいいと思い始めている。楽だ。
「パールとネフィリムさんはどうしたんですか?」
「兄上はそのまま父上と話をしている。パールは何を思いついたか、エステリオとサリヤを伴ってどこかへ走って行ったな。元気一杯で」
以前までのシュナヴィッツであれば、パールフェリカの部屋へは貴族連中から逃げる為に来ていた。が、今の目的は──。
その辺りを何となく察しつつ、ミラノは姿勢を元に戻し、絵本に目をやった。後ろから、ぽつりぽつりとシュナヴィッツの声がする。
「はじめまして……ありがとう……おめでとう……」
「……そう書いてあるのですか?」
「わからないで眺めていたのか?」
「……ええ──これが、はじめまして?」
と、記号の羅列をミラノは指差す。
「いや、それはありがとうだ。もう1つ前の」
シュナヴィッツは手を伸ばして示す。
「ではこれが、おめでとう?」
「ああ」
言葉の数と記号の数が違う。自分は日本語を話していないのかもしれない。頭痛の種など、いくつあるのか考えたくもない。
シュナヴィッツは手を引っ込め、肘をソファから離して背筋を伸ばして立つ。
「覚えるまで時間がかかりそうだな」
「……そうですね」
やはり、誰かに調べてもらうのが良いのかもしれない。図書院に行きたいところだがこのうるさい足では目立つ。ただでさえ動く“うさぎのぬいぐるみ”というだけで見る者を驚かせるというのに。
右手の人形の人差し指で、ミラノはそっと文字をなぞりながら今後どうすべきか考えていた。が、それは荒々しく開かれる扉の音で遮られてしまう。
「ミラノ!! 居る!?」
シュナヴィッツの言葉通り元気一杯の様子でパールフェリカはこちらへ駆けてきた。
エネルギーを発散させまくっているパールフェリカが帰って来ては、絵本を眺めるどころではない。ミラノはぱたりと絵本を閉じ、肘置きの横、仁王立ちのパールフェリカを見上げた。
「何です?」
淡々とした声の返事は、ブツブツと声をひそめた呪文。白い魔法陣が広がるや、唐突に“うさぎのぬいぐるみ”を“人”にしてしまった。
「…………何です?」
タイトなグレーのスカートから伸びる足は組まれている。その横にころりと“うさぎのぬいぐるみ”が転がる。
きりっとしたスーツ姿でミラノは同じ言葉を、しかしやや低い声で発し、伊達眼鏡を外した。
突然の事で微かに不機嫌な声音のミラノだが、お構いなしでパールフェリカは笑顔を輝かせた。
「──やっぱり修行よ!」
(2)
誰からも視線を外した状態で、ミラノは伊達眼鏡を胸ポケットに挟んで、“うさぎのぬいぐるみ”と絵本を拾いあげると膝の上に乗せた。その上でゆっくりと手を軽く合わせた。
──“人”になると表情を隠さないといけないから面倒なのに。
そんな事を考えているミラノはすっかり“うさぎのぬいぐるみ”への順応を完了している。
「私ね! ホルトスを見ていて決めたの!」
唐突の宣言である。
「?」
「あんなだらしのない召喚士にはなりたくないわ! 呪文をどもるは、あげく失敗……あんなの……いや!」
リャナンシーというちょっと特殊な召喚霊を召喚してセイレーンの声封じを解除してくれた事はもう、記憶に無いらしい。他人の記憶に残る評価などそんなものだと、ミラノは肩を下げて小さく息を吐いた。
「それと、私を“人”にする事は関係があるの?」
「あるわ! 修行よ!」
「修行?」
ミラノの問いにパールフェリカは傍に居たシュナヴィッツを見上げた。
「ね! にいさまたちもやったんでしょう? 術の維持とコントロールの為に、召喚しっぱなしっていう修行!」
突然声をかけられ、シュナヴィッツは慌てて顔をあげた。──じっと、ミラノの横顔を無意識で見ていたのだ。
「あ、ああ。その修行ならした。日常的に出来る事だからな」
「ね! だから、ミラノ、私もそれをするの! はい、こっちきて!」
と言ってミラノの腕を引っ張る。
「ちょ、ちょっと……」
足を組んでいた状態で無理矢理引っ張られて、ミラノは姿勢を崩さないようにするのが精一杯で、抵抗もなく寝室へ連れて行かれてしまう。よろめくミラノをシュナヴィッツは支えようと途中までついて来たが、侍女サリアが遮りニコリと笑って膝を落とした。
サリアの両手には濃い紺色の衣服と白金のアクセサリがジャラリと乗っかっている。そのままパールフェリカとミラノの後をついて寝室に入って扉を閉めた。取り残されたシュナヴィッツは扉の前でただ立ち尽くす。
──……髪留めは私の使うとして…──
その耳に、扉の向こう、寝室からパールフェリカの声が聞こえてくる。日頃から大きなパールフェリカの声しか聞こえない。
──……理由? 後でちゃんと説明するってば! ……あれ? ……これなに?……え? ……なに? 別にいいじゃない、名前聞いてるだけよ? ……ぶらじゃー? …………ふーん……苦しくないの?……へぇ~……ミラノって着やせすんのねぇ……どうしたらそんなに胸…………………………──
シュナヴィッツは慌てて顔を背け、ソファでも寝室から一番離れた端に移動して腰を下ろした。
しばらくして、パールフェリカがバシーンと寝室の扉を開いた。
「じゃーん!!」
パールフェリカに手を引かれ、ミラノが寝室から出てくる。
衣服の型は未婚という点でパールフェリカと同じ型のものになる。基色は濃紺。生地はパールフェリカの絹とは違うらしく、やや厚手だが肌触りのとても滑らかなものだ。元気一杯のパールフェリカの衣装には金糸銀糸の刺繍がこれでもかという大輪で描かれていたりするが、ミラノのものは銀糸の刺繍が品よく散りばめられていて、大人の落ち着きを醸している。装飾も白金のみのシンプルな形のものがいくつかぶら下がっている。
「朝は急ごしらえで侍女服みたいなのしか無かったけど、そう! 私ってば思い出したのよ! かあさまの昔の服があるじゃない!? って! とうさまに聞いたら“オッケー!”って言ってたから、ミラノ、安心してね!」
ミラノはすぅっと目を細め、小さく息を吐く。
──“オッケー”って言葉、あるのかしら。
「ミラノのあの格好も、とってもカッコイイんだけど、奇抜でとっても目立っちゃうんだもの。 でもこれなら、もう大丈夫!」
「…………奇抜……奇抜? ……奇抜なのね」
あちらの働くお姉さんのデフォルト戦闘服は奇抜だったのかと、ミラノはちょっとショックを受けている。
やる気満々のパールフェリカに逆らうにはそれを上回るエネルギーが必要な気がして、やれやれとミラノは目を一度伏せてから、そっと顔を上げた。
2歩の距離。シュナヴィッツがソファから立ち上がり近くまで移動して来ていた。その頬がほんの少し朱色に染まっている事に気付いた。
「…………」
彼なりに、面に出さないように気を付けているようで普段通りと言ってしまえばそう通る程度ではある。残念ながら、観察力の鋭いミラノにはしっかりとバレている。
「ね!? にいさま、ミラノってばステキでしょ!? 絶対似合うと思ってたんだー! ほんとはフリフリでもよかったんだけどー、ミラノの雰囲気って絶対こっちよね!?」
パールフェリカはシュナヴィッツに意見を聞くような発言をしているが、特にその反応は見ていない。自分の達成感で一杯のようだ。
シュナヴィッツは「僕に聞くな」と不機嫌を装って顔を背けるが、ただ表情を隠しているだけという事を見抜いてしまったミラノは、心の内で呟く。
──……手遅れのようね……。
「で、ミラノ!」
パールフェリカはミラノの腕をはしはしと叩いて自分に注意を向けさせた。促されるままミラノはパールフェリカの笑顔を見下ろす。
「いーい? なんか聞かれたら私のお客さんって事にしといてくれたらいいからね! じゃ! 私ヘギンス先生のところ行ってくるから!」
「パール? 平気なの?」
ミラノは自分を“人”にしたままで大丈夫なのかと聞いているのだが、廊下への扉の前まで駆けたパールフェリカは大きく手を振る。
「平気平気ー! 私あれやってみたいのー! 召喚獣追跡というの! あれでしょ? 大体の位置を把握するってヤツ! じゃ、ミラノ、城の中自由にしてていいからねー」
サリアとエステリオを伴って、パールフェリカは言いながら、部屋を出て行ってしまった。
「……ヘギンス先生?」
「パールの召喚術の先生だ」
ミラノの呟くような問いに隣のシュナヴィッツが答えてくれた。
「その……パールも言っていたが、似合ってるな」
「そうですか……? 自分ではあまりわかりませんね」
自分の世界でも10年前、20年前のお洒落は理解出来ない事がある。世界が違えば一層わかったものではない。ミラノは半ば投げやりで答えている。
「それなら城の中も好きに動き回れるんじゃないか? “うさぎ”ではそうもいかなかったろう? パールの召喚獣については皆に説明されていないし、今後も目処はたっていない。“人”でうろつくなら客扱いになるだろうが、あの奇抜な格好では“うさぎ”とそう変わらないからな。パールにしてはちゃんと考えたようだな」
ミラノはすっと腕を組んで目線を斜め下に落とした。自分の立場、設定が少し変わったらしい。腕を下ろし、シュナヴィッツの方を向いた。
「この濃紺の衣服は、もしかして身分も多少なりとも示しますか? あなたやネフィリムさんは、濃い紫ですよね?」
「ああ。王位継承権のある王子は濃紫を基調にする。王女は結構適当だな、お洒落、という事らしい。濃紺は上級貴族の基調色だが、女はやはりお洒落という事で好き勝手な色を着ている。が、濃紫は僕ら以外許されないし、濃紺も上級貴族だけが着る。もともと濃紫も濃紺も染めるのに高い技術と希少な原料を使うから、簡単には用意出来ない。一目で身分がわかる、という事だ。ミラノのその服は、アニルタ地域の特殊な繊維で織った生地で、濃紺の染め粉が一番綺麗に入るそうだ」
ミラノは一瞬口を薄く開く。
「……詳しいんですね」
「国の事は知っておけと叩き込まれた」
苦笑いを浮かべるシュナヴィッツは、どうやら覚えるのに苦労でもしたのだろう。
ミラノの首や腰のジャラジャラした装飾は、パールフェリカと比べると数が少ない。朝の侍女服を着る際にミラノが抵抗した事をパールフェリカは記憶していたようだ。だが、金や銀をぶら下げているパールフェリカに対して、ミラノには白金のアクセサリーが与えられている。ガミカでは、金よりも白金の方が貴重だ。見る者が見れば、ミラノが王族では無くとも、非常に高い身分であると簡単に勘違いをするだろう。
「パールの修行とやらでは、この部屋を移動した方がいいらしい。 案内するが?」
「怪我は、大丈夫なのですか?」
「部屋で安静にしているとトエドがしょっちゅう来て休まりもしない。歩く位、問題ない。それに、僕が居ればミラノの顔を知らない連中からの誰何は無い、慣れるまでその方がいいだろう」
投げやりモードが発動し始めたミラノにとって、手遅れのシュナヴィッツに対する態度の決定はまだである。その為、迷子になる方が面倒だという結論にあっさり到達した。
「では、お願いします」
見上げるミラノに、シュナヴィッツはそっと手を前へ出した。エスコートしてくれる、という事らしい。その手を取りつつも、彼への態度の決定を急いだ方がいいかもしれないと、ミラノは思ったのだった。
(3)
パールフェリカは城内の召喚院へ向かった。
召喚院は図書院よりずっと上の階にある。召喚獣や召喚霊を研究、記録する機関だ。パールフェリカはそこの職員の一人に召喚術を習っている。いつもはあちらが部屋まで来てくれるのだが、ワイバーン襲撃やら神の召喚獣リヴァイアサン騒動やらでドタバタしているとの事で、今日の授業は延期されるはずだった。それをパールフェリカが「どうしてももっと召喚術を勉強したい」と言い出して、授業を行う事になった。ただし、先生の都合に合わせるという条件から、パールフェリカの方が召喚院内の研究室へ赴いている。
──ユニコーンはなぜ暴走したのか。
それは召喚獣マニアでもある兄ネフィリムに任せるつもりだったが、その時、自分でも何か出来なかったのかとパールフェリカは考えた。ユニコーンを止めるなり、飛び降りるなり、あるいは召喚術でユニコーンを眠らせるなりして、木への激突を防げたのではないか。また、激突した後も、自分でその角を引き抜いてやれたのではないかと。
人の持つ力ではどうにもならないような事で、召喚術を頼る場面だが、パールフェリカは召喚術を使える歳になったというのに何も出来なかったのが悔しくてたまらない。
冒険者達との交渉も、自分では何も出来なかった。
自分はこの世界の住人で、召喚士で、王女なのに、“うさぎのぬいぐるみ”であるミラノにすら、及ばなかった。事態を変えてくれたのはミラノで、自分は何も出来なかったのだ。
それどころか。
ミラノが串刺しにされた瞬間は、あの映像は、パールフェリカの脳裏にくっきりと鮮明に記録されている。
薄暗かったはずなのに、色や細部まではっきりと覚えている。表情の失われる様が、血塗れて倒れる様が、簡単に再生出来る。その度、涙はこみ上げて来る。
ユニコーンが殺されているところを目撃、動揺してパニックになった自分を押さえようとしたシュナヴィッツと、ミラノ。
その結果──。
謝りたいのに、謝れない自分が……受け入れて笑顔を向けてくれるミラノが……。
パールフェリカはぎゅっと両手に拳を作って机を見た。
「──姫様? よろしいですか?」
はっとして顔を上げる。
「あ、うん、聞いてるわ、ヘギンス」
「ヘギンス先生、です。普段はヘギンスで良いですが、授業の時はちゃんと先生を付けて下さい」
「う、うん。ヘギンス先生」
ヘギンス先生の研究室は、壁という壁が本棚でみっちりと埋まっている。床にも本は高々と積み上げられており、そこら中に書類が散らばっている。
部屋の中央に丸い机がある。
元は四角い机だったが、日に何度もぶつけて痣を作ってしまうとの事で、角を切り落としたそうだ。引き出しは無残な事になっていて、役割を果たしそうにない。
机の上もやはり積んだ本や、開きっぱなしの本が何冊も重ねて置いてある。
部屋唯一の椅子にパールフェリカは腰を下ろしていて、先生は立っている。エステリオとサリアは研究室の入り口に静かに控えていた。
ガミカでの学者は皆大抵似たような格好なのだが、ヘギンス先生も例に漏れず白をベースにした貫頭衣を着ている。30代後半の既婚女性だ。癖の強い赤毛を無理矢理集めて後ろで束ね、持ち上げた毛先は帽子に突っ込んでいる。図書院に居たフラースの被っていた帽子とよく似ているが、入っているラインは黒だ。
机をはさみ、パールフェリカの正面に立つヘギンス先生が姿勢を正した。
「よろしい」
パールフェリカはヘギンス先生を見ているが、瞳の奥にあるのは“記憶の中の血塗れたミラノ”。目を逸らすまいと、心に決める証。
──頑張る。考えても何も浮かばないし、前と変わらない態度しか取れない。だから、精一杯、頑張る。
2度ゆっくり瞬いて、物思いを払拭する。キリリと表情を引き締め、準備が出来ている事を示した。
「忘れてはならないのは、私達人間の扱うこの召喚術は、神に与えられている“力”であるという事。自分達の“力”ではないという事。それは、いいですね?」
ヘギンス先生の言葉は理解を深めさせようと声も抑揚も大きく、丁寧だ。
「はい」
「よろしい。真面目に私の授業を受けて下さって、本当に嬉しいですよ? 姫様」
へへっとパールフェリカは笑った。
「神とはすなわち“アルティノルド”の事です。今もクーニッドの大岩にいらっしゃいます。この世界は“神の力”に満ちています。“召喚士の力”とは、“精神力”。神への祈りによって世界に満ちた“神の力”を引き出す事です。つまり、私達が召喚術を行使して消耗する“召喚士の力”というのは“精神力”であると、言えます」
「ふむふむ……つまり、根性ね!」
ヘギンス先生は「そうですね」と言って微笑んだ。
「結局は、神様の力で召喚術を使ってるという事になるのね。神様の力で……」
理解しようと繰り返し呟くパールフェリカに、ヘギンス先生は大きく頷いた。
「“精神力”。人間の“祈り”であったり“願い”を、神は単純に召喚術という形で叶えて下さいます」
「強く願えば、神様が叶えてくれるという事?」
「そうなりますね。ただし、召喚術を介して」
「リヴァイアサンは、神の召喚獣だと聞いたけど──結局何なの?」
「神の召喚獣であるという事しかわかっていません。リヴァイアサンを人が召喚出来るかどうかは、前例が無いので出来ないだろうとしか、答えられません。神の力は絶対です。言い換えれば、神はこの世界で何でも出来ます。ただ──アルティノルドにも制限があるのではないかと、最近の研究では言われ始めています」
「制限?」
ヘギンス先生は曖昧に微笑んだ。
「ちょっと難しい話なので、いずれ、お話させて頂きますね。それよりも姫様、リヴァイアサンの召喚は本当にあったのですか?」
「うん。私も見たわ」
「──……本当に、リヴァイアサンが召喚されて、私達は何故、無事なのでしょうか……リヴァイアサンの標的は私達人間ではなかったという事なのでしょうか……」
リヴァイアサンは過去、ドラゴン種を滅ぼしている。何故今回召喚されたのだろうか。誰に聞くでもなく、ヘギンス先生は呟いている。
「なんだかね、変な声が聞こえたわ。最初の内はみんなに聞こえていたらしいんだけど、最後は私にしか聞こえてなかったみたいで……」
扉の傍からエステリオが前に歩み出た。
「──その際、パール様はトランス状態でした」
「トランス!?」
ヘギンス先生の声が裏返った。
「よくわからないけど、そうだったみたい?」
きょとんと告げるパールフェリカを凝視した後、ヘギンス先生は深呼吸を繰り返した。3周ほど机をクルクル回った後、自分の胸をトントンと叩き、パールフェリカの正面に立った。
「姫様、召喚獣にしろ、召喚霊にしろ、私達の世界に召喚されるまで彼らは、“霊界”に居ます」
「うん……?」
「召喚術の本来の流れは、私達召喚士が“願い”、その“精神力”で“神の力”を取り込み、呪文によって“魔法陣”を展開します。その“魔法陣”で“霊界”への扉を開き、“魔法陣”の種類に従って霊を召喚します。この後は召喚獣か召喚霊かで変わってきますが、基本の霊の召喚までは同じです」
「……う……うん……?」
「いいですか、私達は“霊界”には行きません。生きていては行けません。“霊界”は強い磁力を持っていて、魂を引き寄せ、引き付け、縛る世界です。それを一時的に開放出来るのが“神の力”による“召喚術”か、次の生命への召喚である“転生”です」
「えーっと……?」
パールフェリカはヘギンス先生の話からついに置いて行かれてしまった。理解出来ない。
だがパールフェリカがトランスしたと聞いて衝撃を受け、またやっとのまともな授業にヘギンス先生はすっかり熱がこもってしまっている。
「私達、今、生きている者が“霊界”に片足を突っ込んでしまう事を、“トランス”と言います。これは、非常に危険な状態です。“霊界”にそのまま魂を引き抜かれては、死んでしまうからです。いいですか? パールフェリカ姫。今後、2度と、トランスなんてしてはいけません」
「う……うんー……でも、私わざとやったつもり無いんだけど……」
パールフェリカの言い訳じみた声を、ヘギンス先生は聞いていない。
「確かにトランスをすれば、あるいは“召喚術”という枠に捕らわれない召喚もある程度可能でしょう。そうですね、ワイバーン襲撃の際に目撃されたような、あの“丸太”だの“鉄板”だの、正体不明の“召喚術”のようなマネも。でもこの“世界の理”に従うなら、そんな事が出来る存在は居るはずがありません。それは既に、この理の外の存在です。“霊界”に身を置く、既に“死んだもの”の仕業としか、私には考えられません」
「せ……先生……」
鼻息の合間にパールフェリカはそろーっと挙手した。
「ちょっと、難しいです……」
もうさっぱり付いて行けないと、パールフェリカは両眉尻を下げきり、ついにぱたりと机につっぷしてしまった。
幾重にも連なる山林を、ペリュトンが駆ける。
牡鹿でありながらその頭には大きな角が2本、首の下辺りまで伸びている。脚も鹿のものだが、今は背に生えている鳥のような翼を大きく羽ばたき、木々の上を飛んでいる。翼と首の間に、黒い人影が跨っている。フードは跳ね上げられており、長く黒い外套とともに緩く波打つ黒髪が風に揺れる。
騎乗しているのは、昨日“飛槍”のガミカ拠点からこのペリュトンでユニコーン輸送に先立ち飛び去った男だ。──“飛槍”の男達がレイムラース様、と呼んでいた。
飛び進む程に、じわじわ木々の葉の色が濃くなる。深い緑は、山陰に入っているわけでもないのに黒く見えるものすらある。クーニッドが近い証だ。
召喚術が一切使えなくなる“神の御す所”。クーニッドの大岩のある山が、もう間近だという証拠。
クーニッドへの山道が見える辺りでレイムラースは地上へと降り、ペリュトンを還した。
昨夜“あの方々”への報告を済ませ、早朝にその拠点を出てクーニッドへとやって来た。レイムラースが“あの方々”とコンタクトを取る理由が、クーニッドにある。
レイムラースは神殿まで黙々と歩き、辿り着くと長老マルーディッチェと二言三言話し、神殿の奥へと1人で入った。こちらへ来るのは初めてではない。
壁の大きく切り出された石はぴっちりと積み上げられている。それがほんのりと光を放って周囲を照らす。天井までそれは変わらない。
最奥で足を止めた。青く透ける巨大な水晶が眼前にある。これがクーニッドの大岩であり、神の突端と言われている。
そっと血色の悪い青白い手で触れる。しばらく目を閉じて触れていたがその手をひくりと揺らした。
目を開き顔を上げると、煌く光を返す水晶を見た。
「……しかしそれでは……アザゼルが?」
呟きのような問い。返事らしい声は無いがレイムラースは戸惑いを隠さず、“誰か”に答える。
「いや、私は何も」
2、3度瞬きを交えながらレイムラースは瞳を揺らした。
手を降ろし、内側に光を抱くような巨大なクリスタルの前で立ち尽くす。
「アザゼル……今の話は本当か?」
しばらくしてレイムラースの声がはっきりと天井の高い部屋に通った。やや間を開けて、『不躾な……』と誰も居ない室内に声が反響する。
先に4枚の白に輝く光の翼と尾羽が現れ、次いで導かれるように冷たい印象すら与える男がその根元に姿を現す。全身から光が溢れている。
七大天使の長、アザゼルである。
「君がここに居る事はわかっていた。だから呼びかけたまで」
明らかに“人”よりも大きな“天使”、アザゼルは腕を組んだ。半眼でレイムラースを見下ろす。
『残念だが私は何も言わない。アルティノルドにも何も言っていない』
「なぜ?」
アザゼルは静かな面持ちのまま揺るがない声で問いに問いで返す。
『……長い時が流れ、忘れたか?』
「今更……我々は──」
『くだらん』
断じてアザゼルは腕を下ろす。
『七大天使の総意は変わらん。アルティノルドがどうかしている。レイムも追従するなら、好きにすればいいだろう。──それとも、お前がそそのかしたか?』
「…………」
沈黙するレイムラースを待つこと無く、アザゼルは空気に溶けるように姿を消した。
残されたレイムラースは息を吐き、大岩を見上げた。
足をピコピコクッションに改造されてから、ミラノはソファーでじっとしている。絵本を見ているが、目は滑っている。
パールフェリカ、シュナヴィッツ、ネフィリムの3人と、護衛騎士のエステリオは謁見の間へ行っている。部屋には侍女が二人居るだけで、とても静かだ。集中しやすい環境ではあるのだが。
──自分は死んでいるのか?
一人で悶々とした所で答えなど出ないと分かっている。
その問いに、結局絵本を開いても頭に入っていない。脚を組み、その上に大きく本を開いている。右手側にある肘置きに折り曲げた肘を置き、頬杖をついて離れた窓の外の空を眺め、微動だにしていなかった。
「なんだ、“うさぎ”のままなのか?」
頭上から声が降って来た。
声の主はわかる。第一声がそれかとミラノは“確信”をしつつも、嘆息を堪えた。“人”である事を期待されている。そうなる前になんとか手を打ちたかったのに。
返事をする気にもなれず、聞こえないフリを決め込んでいると「ミラノ?」と名を呼ばれる。
しぶしぶ“うさぎのぬいぐるみ”は声の方へ顔を向けた。
亜麻色のまっすぐの髪がさらりと揺れた。第二位王位継承者、シュナヴィッツだ。
「何ですか?」
ミラノの淡々とした声は、突き放すというより、棒読みのようであった。
「動いていないから、また召喚が解けてしまったのかと思った」
「……そういう事ではありませんが……」
“うさぎのぬいぐるみ”の頭はソファの背もたれを越えない。そのソファの背もたれに両肘をついてシュナヴィッツは後ろからミラノの見ている絵本を覗き込んでくる。
相変わらずの王子ルックに、甘い香りが広がる。
見た目は麗しいが、数日話してお洒落だとかに興味を示す様子が無い事がわかっている。
戦いになれば好んで前線へ飛び出すというシュナヴィッツだ。貴族の娘らからの猛攻に辟易しているこの彼に、女が好みやすい甘い香水を選んでいる侍女は一体何を狙っているのやら。美しい主には誰よりも美しくあって欲しい、といった所なのだろうか。ミラノには、心底どうでもいい事ではあったが。
「動かないのであれば問題ありませんから、これで良いです」
「ああ、“うさぎ”で居る理由か」
ミラノは“人”でいる方が面倒が増えると学習した。この世界に在る限り、もうずっと“ぬいぐるみ”でいいと思い始めている。楽だ。
「パールとネフィリムさんはどうしたんですか?」
「兄上はそのまま父上と話をしている。パールは何を思いついたか、エステリオとサリヤを伴ってどこかへ走って行ったな。元気一杯で」
以前までのシュナヴィッツであれば、パールフェリカの部屋へは貴族連中から逃げる為に来ていた。が、今の目的は──。
その辺りを何となく察しつつ、ミラノは姿勢を元に戻し、絵本に目をやった。後ろから、ぽつりぽつりとシュナヴィッツの声がする。
「はじめまして……ありがとう……おめでとう……」
「……そう書いてあるのですか?」
「わからないで眺めていたのか?」
「……ええ──これが、はじめまして?」
と、記号の羅列をミラノは指差す。
「いや、それはありがとうだ。もう1つ前の」
シュナヴィッツは手を伸ばして示す。
「ではこれが、おめでとう?」
「ああ」
言葉の数と記号の数が違う。自分は日本語を話していないのかもしれない。頭痛の種など、いくつあるのか考えたくもない。
シュナヴィッツは手を引っ込め、肘をソファから離して背筋を伸ばして立つ。
「覚えるまで時間がかかりそうだな」
「……そうですね」
やはり、誰かに調べてもらうのが良いのかもしれない。図書院に行きたいところだがこのうるさい足では目立つ。ただでさえ動く“うさぎのぬいぐるみ”というだけで見る者を驚かせるというのに。
右手の人形の人差し指で、ミラノはそっと文字をなぞりながら今後どうすべきか考えていた。が、それは荒々しく開かれる扉の音で遮られてしまう。
「ミラノ!! 居る!?」
シュナヴィッツの言葉通り元気一杯の様子でパールフェリカはこちらへ駆けてきた。
エネルギーを発散させまくっているパールフェリカが帰って来ては、絵本を眺めるどころではない。ミラノはぱたりと絵本を閉じ、肘置きの横、仁王立ちのパールフェリカを見上げた。
「何です?」
淡々とした声の返事は、ブツブツと声をひそめた呪文。白い魔法陣が広がるや、唐突に“うさぎのぬいぐるみ”を“人”にしてしまった。
「…………何です?」
タイトなグレーのスカートから伸びる足は組まれている。その横にころりと“うさぎのぬいぐるみ”が転がる。
きりっとしたスーツ姿でミラノは同じ言葉を、しかしやや低い声で発し、伊達眼鏡を外した。
突然の事で微かに不機嫌な声音のミラノだが、お構いなしでパールフェリカは笑顔を輝かせた。
「──やっぱり修行よ!」
(2)
誰からも視線を外した状態で、ミラノは伊達眼鏡を胸ポケットに挟んで、“うさぎのぬいぐるみ”と絵本を拾いあげると膝の上に乗せた。その上でゆっくりと手を軽く合わせた。
──“人”になると表情を隠さないといけないから面倒なのに。
そんな事を考えているミラノはすっかり“うさぎのぬいぐるみ”への順応を完了している。
「私ね! ホルトスを見ていて決めたの!」
唐突の宣言である。
「?」
「あんなだらしのない召喚士にはなりたくないわ! 呪文をどもるは、あげく失敗……あんなの……いや!」
リャナンシーというちょっと特殊な召喚霊を召喚してセイレーンの声封じを解除してくれた事はもう、記憶に無いらしい。他人の記憶に残る評価などそんなものだと、ミラノは肩を下げて小さく息を吐いた。
「それと、私を“人”にする事は関係があるの?」
「あるわ! 修行よ!」
「修行?」
ミラノの問いにパールフェリカは傍に居たシュナヴィッツを見上げた。
「ね! にいさまたちもやったんでしょう? 術の維持とコントロールの為に、召喚しっぱなしっていう修行!」
突然声をかけられ、シュナヴィッツは慌てて顔をあげた。──じっと、ミラノの横顔を無意識で見ていたのだ。
「あ、ああ。その修行ならした。日常的に出来る事だからな」
「ね! だから、ミラノ、私もそれをするの! はい、こっちきて!」
と言ってミラノの腕を引っ張る。
「ちょ、ちょっと……」
足を組んでいた状態で無理矢理引っ張られて、ミラノは姿勢を崩さないようにするのが精一杯で、抵抗もなく寝室へ連れて行かれてしまう。よろめくミラノをシュナヴィッツは支えようと途中までついて来たが、侍女サリアが遮りニコリと笑って膝を落とした。
サリアの両手には濃い紺色の衣服と白金のアクセサリがジャラリと乗っかっている。そのままパールフェリカとミラノの後をついて寝室に入って扉を閉めた。取り残されたシュナヴィッツは扉の前でただ立ち尽くす。
──……髪留めは私の使うとして…──
その耳に、扉の向こう、寝室からパールフェリカの声が聞こえてくる。日頃から大きなパールフェリカの声しか聞こえない。
──……理由? 後でちゃんと説明するってば! ……あれ? ……これなに?……え? ……なに? 別にいいじゃない、名前聞いてるだけよ? ……ぶらじゃー? …………ふーん……苦しくないの?……へぇ~……ミラノって着やせすんのねぇ……どうしたらそんなに胸…………………………──
シュナヴィッツは慌てて顔を背け、ソファでも寝室から一番離れた端に移動して腰を下ろした。
しばらくして、パールフェリカがバシーンと寝室の扉を開いた。
「じゃーん!!」
パールフェリカに手を引かれ、ミラノが寝室から出てくる。
衣服の型は未婚という点でパールフェリカと同じ型のものになる。基色は濃紺。生地はパールフェリカの絹とは違うらしく、やや厚手だが肌触りのとても滑らかなものだ。元気一杯のパールフェリカの衣装には金糸銀糸の刺繍がこれでもかという大輪で描かれていたりするが、ミラノのものは銀糸の刺繍が品よく散りばめられていて、大人の落ち着きを醸している。装飾も白金のみのシンプルな形のものがいくつかぶら下がっている。
「朝は急ごしらえで侍女服みたいなのしか無かったけど、そう! 私ってば思い出したのよ! かあさまの昔の服があるじゃない!? って! とうさまに聞いたら“オッケー!”って言ってたから、ミラノ、安心してね!」
ミラノはすぅっと目を細め、小さく息を吐く。
──“オッケー”って言葉、あるのかしら。
「ミラノのあの格好も、とってもカッコイイんだけど、奇抜でとっても目立っちゃうんだもの。 でもこれなら、もう大丈夫!」
「…………奇抜……奇抜? ……奇抜なのね」
あちらの働くお姉さんのデフォルト戦闘服は奇抜だったのかと、ミラノはちょっとショックを受けている。
やる気満々のパールフェリカに逆らうにはそれを上回るエネルギーが必要な気がして、やれやれとミラノは目を一度伏せてから、そっと顔を上げた。
2歩の距離。シュナヴィッツがソファから立ち上がり近くまで移動して来ていた。その頬がほんの少し朱色に染まっている事に気付いた。
「…………」
彼なりに、面に出さないように気を付けているようで普段通りと言ってしまえばそう通る程度ではある。残念ながら、観察力の鋭いミラノにはしっかりとバレている。
「ね!? にいさま、ミラノってばステキでしょ!? 絶対似合うと思ってたんだー! ほんとはフリフリでもよかったんだけどー、ミラノの雰囲気って絶対こっちよね!?」
パールフェリカはシュナヴィッツに意見を聞くような発言をしているが、特にその反応は見ていない。自分の達成感で一杯のようだ。
シュナヴィッツは「僕に聞くな」と不機嫌を装って顔を背けるが、ただ表情を隠しているだけという事を見抜いてしまったミラノは、心の内で呟く。
──……手遅れのようね……。
「で、ミラノ!」
パールフェリカはミラノの腕をはしはしと叩いて自分に注意を向けさせた。促されるままミラノはパールフェリカの笑顔を見下ろす。
「いーい? なんか聞かれたら私のお客さんって事にしといてくれたらいいからね! じゃ! 私ヘギンス先生のところ行ってくるから!」
「パール? 平気なの?」
ミラノは自分を“人”にしたままで大丈夫なのかと聞いているのだが、廊下への扉の前まで駆けたパールフェリカは大きく手を振る。
「平気平気ー! 私あれやってみたいのー! 召喚獣追跡というの! あれでしょ? 大体の位置を把握するってヤツ! じゃ、ミラノ、城の中自由にしてていいからねー」
サリアとエステリオを伴って、パールフェリカは言いながら、部屋を出て行ってしまった。
「……ヘギンス先生?」
「パールの召喚術の先生だ」
ミラノの呟くような問いに隣のシュナヴィッツが答えてくれた。
「その……パールも言っていたが、似合ってるな」
「そうですか……? 自分ではあまりわかりませんね」
自分の世界でも10年前、20年前のお洒落は理解出来ない事がある。世界が違えば一層わかったものではない。ミラノは半ば投げやりで答えている。
「それなら城の中も好きに動き回れるんじゃないか? “うさぎ”ではそうもいかなかったろう? パールの召喚獣については皆に説明されていないし、今後も目処はたっていない。“人”でうろつくなら客扱いになるだろうが、あの奇抜な格好では“うさぎ”とそう変わらないからな。パールにしてはちゃんと考えたようだな」
ミラノはすっと腕を組んで目線を斜め下に落とした。自分の立場、設定が少し変わったらしい。腕を下ろし、シュナヴィッツの方を向いた。
「この濃紺の衣服は、もしかして身分も多少なりとも示しますか? あなたやネフィリムさんは、濃い紫ですよね?」
「ああ。王位継承権のある王子は濃紫を基調にする。王女は結構適当だな、お洒落、という事らしい。濃紺は上級貴族の基調色だが、女はやはりお洒落という事で好き勝手な色を着ている。が、濃紫は僕ら以外許されないし、濃紺も上級貴族だけが着る。もともと濃紫も濃紺も染めるのに高い技術と希少な原料を使うから、簡単には用意出来ない。一目で身分がわかる、という事だ。ミラノのその服は、アニルタ地域の特殊な繊維で織った生地で、濃紺の染め粉が一番綺麗に入るそうだ」
ミラノは一瞬口を薄く開く。
「……詳しいんですね」
「国の事は知っておけと叩き込まれた」
苦笑いを浮かべるシュナヴィッツは、どうやら覚えるのに苦労でもしたのだろう。
ミラノの首や腰のジャラジャラした装飾は、パールフェリカと比べると数が少ない。朝の侍女服を着る際にミラノが抵抗した事をパールフェリカは記憶していたようだ。だが、金や銀をぶら下げているパールフェリカに対して、ミラノには白金のアクセサリーが与えられている。ガミカでは、金よりも白金の方が貴重だ。見る者が見れば、ミラノが王族では無くとも、非常に高い身分であると簡単に勘違いをするだろう。
「パールの修行とやらでは、この部屋を移動した方がいいらしい。 案内するが?」
「怪我は、大丈夫なのですか?」
「部屋で安静にしているとトエドがしょっちゅう来て休まりもしない。歩く位、問題ない。それに、僕が居ればミラノの顔を知らない連中からの誰何は無い、慣れるまでその方がいいだろう」
投げやりモードが発動し始めたミラノにとって、手遅れのシュナヴィッツに対する態度の決定はまだである。その為、迷子になる方が面倒だという結論にあっさり到達した。
「では、お願いします」
見上げるミラノに、シュナヴィッツはそっと手を前へ出した。エスコートしてくれる、という事らしい。その手を取りつつも、彼への態度の決定を急いだ方がいいかもしれないと、ミラノは思ったのだった。
(3)
パールフェリカは城内の召喚院へ向かった。
召喚院は図書院よりずっと上の階にある。召喚獣や召喚霊を研究、記録する機関だ。パールフェリカはそこの職員の一人に召喚術を習っている。いつもはあちらが部屋まで来てくれるのだが、ワイバーン襲撃やら神の召喚獣リヴァイアサン騒動やらでドタバタしているとの事で、今日の授業は延期されるはずだった。それをパールフェリカが「どうしてももっと召喚術を勉強したい」と言い出して、授業を行う事になった。ただし、先生の都合に合わせるという条件から、パールフェリカの方が召喚院内の研究室へ赴いている。
──ユニコーンはなぜ暴走したのか。
それは召喚獣マニアでもある兄ネフィリムに任せるつもりだったが、その時、自分でも何か出来なかったのかとパールフェリカは考えた。ユニコーンを止めるなり、飛び降りるなり、あるいは召喚術でユニコーンを眠らせるなりして、木への激突を防げたのではないか。また、激突した後も、自分でその角を引き抜いてやれたのではないかと。
人の持つ力ではどうにもならないような事で、召喚術を頼る場面だが、パールフェリカは召喚術を使える歳になったというのに何も出来なかったのが悔しくてたまらない。
冒険者達との交渉も、自分では何も出来なかった。
自分はこの世界の住人で、召喚士で、王女なのに、“うさぎのぬいぐるみ”であるミラノにすら、及ばなかった。事態を変えてくれたのはミラノで、自分は何も出来なかったのだ。
それどころか。
ミラノが串刺しにされた瞬間は、あの映像は、パールフェリカの脳裏にくっきりと鮮明に記録されている。
薄暗かったはずなのに、色や細部まではっきりと覚えている。表情の失われる様が、血塗れて倒れる様が、簡単に再生出来る。その度、涙はこみ上げて来る。
ユニコーンが殺されているところを目撃、動揺してパニックになった自分を押さえようとしたシュナヴィッツと、ミラノ。
その結果──。
謝りたいのに、謝れない自分が……受け入れて笑顔を向けてくれるミラノが……。
パールフェリカはぎゅっと両手に拳を作って机を見た。
「──姫様? よろしいですか?」
はっとして顔を上げる。
「あ、うん、聞いてるわ、ヘギンス」
「ヘギンス先生、です。普段はヘギンスで良いですが、授業の時はちゃんと先生を付けて下さい」
「う、うん。ヘギンス先生」
ヘギンス先生の研究室は、壁という壁が本棚でみっちりと埋まっている。床にも本は高々と積み上げられており、そこら中に書類が散らばっている。
部屋の中央に丸い机がある。
元は四角い机だったが、日に何度もぶつけて痣を作ってしまうとの事で、角を切り落としたそうだ。引き出しは無残な事になっていて、役割を果たしそうにない。
机の上もやはり積んだ本や、開きっぱなしの本が何冊も重ねて置いてある。
部屋唯一の椅子にパールフェリカは腰を下ろしていて、先生は立っている。エステリオとサリアは研究室の入り口に静かに控えていた。
ガミカでの学者は皆大抵似たような格好なのだが、ヘギンス先生も例に漏れず白をベースにした貫頭衣を着ている。30代後半の既婚女性だ。癖の強い赤毛を無理矢理集めて後ろで束ね、持ち上げた毛先は帽子に突っ込んでいる。図書院に居たフラースの被っていた帽子とよく似ているが、入っているラインは黒だ。
机をはさみ、パールフェリカの正面に立つヘギンス先生が姿勢を正した。
「よろしい」
パールフェリカはヘギンス先生を見ているが、瞳の奥にあるのは“記憶の中の血塗れたミラノ”。目を逸らすまいと、心に決める証。
──頑張る。考えても何も浮かばないし、前と変わらない態度しか取れない。だから、精一杯、頑張る。
2度ゆっくり瞬いて、物思いを払拭する。キリリと表情を引き締め、準備が出来ている事を示した。
「忘れてはならないのは、私達人間の扱うこの召喚術は、神に与えられている“力”であるという事。自分達の“力”ではないという事。それは、いいですね?」
ヘギンス先生の言葉は理解を深めさせようと声も抑揚も大きく、丁寧だ。
「はい」
「よろしい。真面目に私の授業を受けて下さって、本当に嬉しいですよ? 姫様」
へへっとパールフェリカは笑った。
「神とはすなわち“アルティノルド”の事です。今もクーニッドの大岩にいらっしゃいます。この世界は“神の力”に満ちています。“召喚士の力”とは、“精神力”。神への祈りによって世界に満ちた“神の力”を引き出す事です。つまり、私達が召喚術を行使して消耗する“召喚士の力”というのは“精神力”であると、言えます」
「ふむふむ……つまり、根性ね!」
ヘギンス先生は「そうですね」と言って微笑んだ。
「結局は、神様の力で召喚術を使ってるという事になるのね。神様の力で……」
理解しようと繰り返し呟くパールフェリカに、ヘギンス先生は大きく頷いた。
「“精神力”。人間の“祈り”であったり“願い”を、神は単純に召喚術という形で叶えて下さいます」
「強く願えば、神様が叶えてくれるという事?」
「そうなりますね。ただし、召喚術を介して」
「リヴァイアサンは、神の召喚獣だと聞いたけど──結局何なの?」
「神の召喚獣であるという事しかわかっていません。リヴァイアサンを人が召喚出来るかどうかは、前例が無いので出来ないだろうとしか、答えられません。神の力は絶対です。言い換えれば、神はこの世界で何でも出来ます。ただ──アルティノルドにも制限があるのではないかと、最近の研究では言われ始めています」
「制限?」
ヘギンス先生は曖昧に微笑んだ。
「ちょっと難しい話なので、いずれ、お話させて頂きますね。それよりも姫様、リヴァイアサンの召喚は本当にあったのですか?」
「うん。私も見たわ」
「──……本当に、リヴァイアサンが召喚されて、私達は何故、無事なのでしょうか……リヴァイアサンの標的は私達人間ではなかったという事なのでしょうか……」
リヴァイアサンは過去、ドラゴン種を滅ぼしている。何故今回召喚されたのだろうか。誰に聞くでもなく、ヘギンス先生は呟いている。
「なんだかね、変な声が聞こえたわ。最初の内はみんなに聞こえていたらしいんだけど、最後は私にしか聞こえてなかったみたいで……」
扉の傍からエステリオが前に歩み出た。
「──その際、パール様はトランス状態でした」
「トランス!?」
ヘギンス先生の声が裏返った。
「よくわからないけど、そうだったみたい?」
きょとんと告げるパールフェリカを凝視した後、ヘギンス先生は深呼吸を繰り返した。3周ほど机をクルクル回った後、自分の胸をトントンと叩き、パールフェリカの正面に立った。
「姫様、召喚獣にしろ、召喚霊にしろ、私達の世界に召喚されるまで彼らは、“霊界”に居ます」
「うん……?」
「召喚術の本来の流れは、私達召喚士が“願い”、その“精神力”で“神の力”を取り込み、呪文によって“魔法陣”を展開します。その“魔法陣”で“霊界”への扉を開き、“魔法陣”の種類に従って霊を召喚します。この後は召喚獣か召喚霊かで変わってきますが、基本の霊の召喚までは同じです」
「……う……うん……?」
「いいですか、私達は“霊界”には行きません。生きていては行けません。“霊界”は強い磁力を持っていて、魂を引き寄せ、引き付け、縛る世界です。それを一時的に開放出来るのが“神の力”による“召喚術”か、次の生命への召喚である“転生”です」
「えーっと……?」
パールフェリカはヘギンス先生の話からついに置いて行かれてしまった。理解出来ない。
だがパールフェリカがトランスしたと聞いて衝撃を受け、またやっとのまともな授業にヘギンス先生はすっかり熱がこもってしまっている。
「私達、今、生きている者が“霊界”に片足を突っ込んでしまう事を、“トランス”と言います。これは、非常に危険な状態です。“霊界”にそのまま魂を引き抜かれては、死んでしまうからです。いいですか? パールフェリカ姫。今後、2度と、トランスなんてしてはいけません」
「う……うんー……でも、私わざとやったつもり無いんだけど……」
パールフェリカの言い訳じみた声を、ヘギンス先生は聞いていない。
「確かにトランスをすれば、あるいは“召喚術”という枠に捕らわれない召喚もある程度可能でしょう。そうですね、ワイバーン襲撃の際に目撃されたような、あの“丸太”だの“鉄板”だの、正体不明の“召喚術”のようなマネも。でもこの“世界の理”に従うなら、そんな事が出来る存在は居るはずがありません。それは既に、この理の外の存在です。“霊界”に身を置く、既に“死んだもの”の仕業としか、私には考えられません」
「せ……先生……」
鼻息の合間にパールフェリカはそろーっと挙手した。
「ちょっと、難しいです……」
もうさっぱり付いて行けないと、パールフェリカは両眉尻を下げきり、ついにぱたりと机につっぷしてしまった。
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