124 / 211
第三章 美少女学園一年目 芽吹き根付く乙女心
【第47話】 再教育(47)つばさ
しおりを挟む
■末舛つばさサイド(16)(過去)
(目覚めなさい。本当のあなたに。女の子のあなたに)
翔の目はすわっている。
光が失われて、心はここにあらずだ。
明人は、待ちに待った日がついに来たのだと確信する。
つばさの心が、奥から女に染まり始めたのだと。主人格のメス化が始まったのだと。
三歳児にとって、半年は果てしなく長い。
この間、一日も休むことなく合計何百時間も洗脳調教にさらされた憐れな翔の脳は、既に女性的な構造に変わってしまっている。
脳神経科学者が翔の脳を調べれば、百人中百人が女児の脳と診断するだろう。
それでも翔が男の子らしさを保てていたのは、三歳時までの習慣と、サッカーへの情熱によるものだろう。
それでも脳と心はいつまでもバラバラではいられない。
女性の脳に変わってしまった今、翔の心も否応なしに女性化していくのである。
本能からの声に屈した時、翔は女の子のつばさに生まれ変わるのだ。
「つばさ、ママよ。分かる? あなたのママ」
(ママ……? ぼくの、ママ?)
「ほら、つばさ。分かるかい? つばさの大好きなパパとママが来てくれたんだよ」
(そうなの……? おじさん? あれ、おじさま?)
ぎゅっと抱きしめられて、翔の胸は安心感で包まれる。体は覚えている。
毎日洗脳状態の時に、ママに抱きしめられたぬくもりを。母親からの愛情を。
(生まれ変わりなさい。目覚めなさい。女の子のあなたに。本当のあなたに)
翔に本能からの声が鳴り響く。
彼の心は、今天国にいる。
(心地いい、声。
うっとりしちゃうの。
お花に囲まれて。
可愛らしいお人形さんと、ぬいぐるみ。
幸せなの)
「おまえは大切な娘だ」
「そうよ、とっても可愛いあたしたちの娘。女の子なのよ」
翔は抱きしめてくれる女性の胸を見つめて、ポツリとつぶやく。
「ママなの? 」
「そう、ママよ。つばさちゃん、ごめんね。寂しい思いをさせて。これからはずっとママたちと一緒よ」
(目覚めなさい。本当のあなたに。女の子のあなたに)
翔という男の精神が、一部の残滓を除いて溶かされていく。
女の精神に上書きされていく。
心のメス化の波に浸食されていく。
翔の表情が、穏やかな女の子のものへと変わっていく。
(あなたはつばさ。女の子のつばさ)
末舛夫妻は翔を鏡の前に立たせる。
鏡には、ヒダヒダのついた清楚なワンピースを着た美少女が立っている。
「翔」として初めて見る女の子の自分。
そのあまりの可愛らしさに、翔はうっとりしてしまう。
(目覚めなさい。本当のあなたに)
「ほら、つばさ。すごくかわいいわ」
「これが……ぼく?」
翔は、目の前の女の子に一目惚れしてしまう。
その可愛らしい女の子が、自分に合わせて動く。
鏡の中の女の子は頭を撫でられる。
それが自分自身の姿と分かるにつれて、翔の中にショックが広がっていく。
何かが、翔の中で壊れていく。
「ぁああ。ぼ、ぼく……」
(そう、その女の子はあなた。紛れもないあなたよ。もう逃れられないわ。だってその娘に恋しちゃったんでしょ?)
原因不明の涙が流れる。
そして、翔は少しぼーっとした声でつぶやく。
「ぼく、つばさ?」
「そうよ」
「ぼく、女の子なの?」
「そうよ。つばさちゃんは、あたしたちの可愛い娘よ」
つばさはしばらく鏡の中の女の子に見惚れていた。女の子としての自覚が芽吹いていく。
ワンピースを着ていることが、嬉しく思えてくる。
そして自分の体をぼんやり見ながら、納得したように頷いた。
「つばさは女の子なのね」
つばさの中の、男の心が消失していく。
正気を取り戻したつばさは頬を赤く染めた。
その目は、すっかりメスに染まっていた。
(目覚めなさい。本当のあなたに。女の子のあなたに)
翔の目はすわっている。
光が失われて、心はここにあらずだ。
明人は、待ちに待った日がついに来たのだと確信する。
つばさの心が、奥から女に染まり始めたのだと。主人格のメス化が始まったのだと。
三歳児にとって、半年は果てしなく長い。
この間、一日も休むことなく合計何百時間も洗脳調教にさらされた憐れな翔の脳は、既に女性的な構造に変わってしまっている。
脳神経科学者が翔の脳を調べれば、百人中百人が女児の脳と診断するだろう。
それでも翔が男の子らしさを保てていたのは、三歳時までの習慣と、サッカーへの情熱によるものだろう。
それでも脳と心はいつまでもバラバラではいられない。
女性の脳に変わってしまった今、翔の心も否応なしに女性化していくのである。
本能からの声に屈した時、翔は女の子のつばさに生まれ変わるのだ。
「つばさ、ママよ。分かる? あなたのママ」
(ママ……? ぼくの、ママ?)
「ほら、つばさ。分かるかい? つばさの大好きなパパとママが来てくれたんだよ」
(そうなの……? おじさん? あれ、おじさま?)
ぎゅっと抱きしめられて、翔の胸は安心感で包まれる。体は覚えている。
毎日洗脳状態の時に、ママに抱きしめられたぬくもりを。母親からの愛情を。
(生まれ変わりなさい。目覚めなさい。女の子のあなたに。本当のあなたに)
翔に本能からの声が鳴り響く。
彼の心は、今天国にいる。
(心地いい、声。
うっとりしちゃうの。
お花に囲まれて。
可愛らしいお人形さんと、ぬいぐるみ。
幸せなの)
「おまえは大切な娘だ」
「そうよ、とっても可愛いあたしたちの娘。女の子なのよ」
翔は抱きしめてくれる女性の胸を見つめて、ポツリとつぶやく。
「ママなの? 」
「そう、ママよ。つばさちゃん、ごめんね。寂しい思いをさせて。これからはずっとママたちと一緒よ」
(目覚めなさい。本当のあなたに。女の子のあなたに)
翔という男の精神が、一部の残滓を除いて溶かされていく。
女の精神に上書きされていく。
心のメス化の波に浸食されていく。
翔の表情が、穏やかな女の子のものへと変わっていく。
(あなたはつばさ。女の子のつばさ)
末舛夫妻は翔を鏡の前に立たせる。
鏡には、ヒダヒダのついた清楚なワンピースを着た美少女が立っている。
「翔」として初めて見る女の子の自分。
そのあまりの可愛らしさに、翔はうっとりしてしまう。
(目覚めなさい。本当のあなたに)
「ほら、つばさ。すごくかわいいわ」
「これが……ぼく?」
翔は、目の前の女の子に一目惚れしてしまう。
その可愛らしい女の子が、自分に合わせて動く。
鏡の中の女の子は頭を撫でられる。
それが自分自身の姿と分かるにつれて、翔の中にショックが広がっていく。
何かが、翔の中で壊れていく。
「ぁああ。ぼ、ぼく……」
(そう、その女の子はあなた。紛れもないあなたよ。もう逃れられないわ。だってその娘に恋しちゃったんでしょ?)
原因不明の涙が流れる。
そして、翔は少しぼーっとした声でつぶやく。
「ぼく、つばさ?」
「そうよ」
「ぼく、女の子なの?」
「そうよ。つばさちゃんは、あたしたちの可愛い娘よ」
つばさはしばらく鏡の中の女の子に見惚れていた。女の子としての自覚が芽吹いていく。
ワンピースを着ていることが、嬉しく思えてくる。
そして自分の体をぼんやり見ながら、納得したように頷いた。
「つばさは女の子なのね」
つばさの中の、男の心が消失していく。
正気を取り戻したつばさは頬を赤く染めた。
その目は、すっかりメスに染まっていた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,394
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる