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第三章 美少女学園一年目 芽吹き根付く乙女心

【第123話】余韻

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 一日目の調教が終わった。

 相当なエネルギーを消費したのだろう。
 あおいはぐったりと体を投げ出して、ビクリとも動かない。
 頭はぐるぐると回り続けているようだ。

 アリスとさくらは全ての装置を取り外すと、あおいのゲルまみれの女体を暖かい蒸しタオルで、優しく拭いていく。
 ガラス細工のような真っ白な肌が、薄暗い照明に照らされて、いつも以上に輝いて見えた。

「羨ましいくらい、すべすべね。まるで赤ちゃんみたい」

 あおいのお腹に指を滑らせながら、アリスはしみじみと呟いた。

「えぇ。あおいお嬢様のお肌は、本当に赤ちゃんですからね」

 さくらもうっとりしながら頷いた。

 厳しい調教の後にも関わらず、ムチでは痕が残るほど打たれたのにも関わらず、あおいの肌は潤いを増していた。
 縛られた跡やミミズ腫れもきれいに消えている。

 それはむしろ当然とも言えた。
 
 ムチで打たれたことで、男性細胞の壊死が促された。
 それにより新陳代謝が活性化したことで、あおいの素肌の性転換が一層進んだのだ。

 今のあおいの肌は、生まれたての女性の細胞に満ちている。
 いや、まだ胎内の赤ん坊レベルのこれ以上ない瑞々しい細胞に置き換わり始めている。
 ここまでの弾力としっとりとした質感は、十代の少女ですら不可能なレベルだ。

「早紀お姉さまは常々、『究極の美の条件を満たすのは、性転換少女だけなのよ』と仰っていました。あおいお嬢様を見て、その意味が少し分かりましたわ」

「そうよね。あおいちゃんは大人の女の妖艶さと、少女の可愛らしさと、赤ちゃんのようなぷるぷるの素肌をみんな手に入れるんだから。生粋の女性であるあたしたちじゃ敵わないわ」

 文字通りの赤ちゃん肌を持つ究極の美少女。
 生まれながらの女性では、到達することが不可能な領域に、あおいは足を踏み入れつつあった。

「でも、アリスお嬢様だって実は……」

「んっ? 何か言ったかしら、さくら」

「いえ、アリスお嬢様もの女性に違いはありませんわ」

 含みを持たせたさくらの言い方にアリスは若干疑問を持ったが、大したことはないと受け流した。

ーーーー

 あおいの体をきれいに拭き終わってから、二人は美少女をプリンセスルームへと運んだ。
 お花やお洒落なアンティーク家具できれいに飾られた、あおいの自室だ。

「きっと明日は大変な一日になりますからね。今日頑張ったご褒美に腕輪は外して差し上げますわ」

 そう言ってさくらは、男らしいことをすると青く染まる、例の腕輪をあおいの細い手首から外した。

「優しいのね、さくらは」

「ええっ。あおいお嬢様には、明日存分に楽しんで頂くのですわ」

「あっ、そういうことね。本当に盛りだくさんの一日になりそうね」

「ですね」

 二人は小さな寝息を立て始めた美少女を部屋に残して、虫の音に静まる夜の回廊へと歩を進めた。

 色とりどりの星々に煌めく深藍の空が、あおいの可愛らしい寝顔を仄かに照らしていた。
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