202 / 211
第三章 美少女学園一年目 芽吹き根付く乙女心
【第125話】試着(1)
しおりを挟む
「ちょ、ちょっと優花。まだ、あ、あたし水着を着るって決めたわけじゃ……」
どことなくたどたどしい女言葉で、あおいは抵抗の意思を示す。
「あたしね、ファッション・コーディネーターになるのが夢なの。だからあおいみたいに、お洒落に興味がなさそうな可愛い娘を見ると、どうやってプロデュースすればいいかってウズウズしちゃうのよ」
あおいが押しに弱いことを見抜いているのだろうか。
優花はそう言って口角を上げると、あおいの手を引いて校門の外へと連れ出した。
門で仕切られた花園を、二人の少女が速足で歩いていく。
学校の裏門から伸びる真っすぐな道は、銀色に輝く砂浜へと続いていた。
浜風にスカートを巻き上げられながら、あおいたちは浜辺のウッドハウスに向かう。
舌も蕩けそうなトロピカルなジュースが売られている売店の裏側に、お目当ての小さな水着ショップがあった。
「ここはね、最新ファッションの水着がたくさんあるの」
優花の声が弾む。
青、赤、黄色、ピンクのパステルカラーから、緑、藍色、紅色、黒などの落ち着いた色まで所狭しと水着が並んでいる。
ワンピースタイプのものから、ショートパンツ、ブラジリアンなど女性向けが売り場の九割を占めていた。
セーラー服やお嬢様のドレスにはだいぶ慣れたあおいだが、露出の多い水着への免疫はない。
水着を見ているだけで落ち着かないのに、自分のを探すなんて。
店舗の残り一割はズボンのような男性向けの水着だ。
(あっ、これ去年着てたやつだ)
あおいの目が、緑色のヤシの木が描かれた男性用水着に止まる。
今まで海水浴と言えば、何も考えずにこのズボンタイプのを穿いていた。
やっぱり男性用の水着の方が、落ち着く。
今年も、これを着て海に……。
一瞬そう考えて、あおいは固まった。
自分の海パン姿を想像して、無意識に両手で胸を隠した。
もじもじしているところに、優花が駆け寄ってきた。
「あおい、何見てるの? あらっ、男性用の水着? ひょっとして彼氏へのプレゼント?」
「ちがうよ。だから、あ、あたしには彼氏なんていないって」
「ふふっ、そんなこと言いながら顔真っ赤よ。そっかぁ、まだ彼氏じゃないけど意中の男の子へのプレゼントってところかしら」
あおいはただ下を向くことしかできない。
(まさか、自分が着る用なんて言えないよね)
トップスなしで人前に出るのは、さすがに恥ずかしい。
おっぱいがどうしても丸見えになってしまう。
本格的に胸が大きくなって、薄桃色の乳輪も丸く広がってしまった今、それを公衆にさらすのは躊躇われた。
「ねぇ、あおいはこんなのどう? 似合うと思うよ」
優花は手早く水着を選ぶと、あおいの元に駆け寄ってきた。
ニコニコして何やら楽しそうだ。
手に握られていたのは、股間と乳首だけをぎりぎりのラインで隠すタイプのマイクロビキニだった。
(えっ、こ、これって……。裸、いや、裸以上に恥ずかしいよ)
「ねぇ、優花。ほとんど隠れてないよ。これは露出しすぎなんじゃ」
「スタイルのいいあおいだったら着こなせると思うけどな。じゃあ、これはどう?」
次に出てきたのは白地の一見地味そうな水着だ。
だが、とても薄い。生地越しに手の色が分かるほどの薄さだ。
「これもちょっと……。生地面積は広いけど、透けて見えちゃいそう」
「そうかなぁ」
優花が持ってくる水着はどれも大胆なセクシータイプのものばかりだ。
見せるたびに恥ずかしそうに頬を染めるあおいの様子に、優花の声のトーンが上がっていく。
過激にエッチな水着を散々見せた後、優花は落ち着いたスタンダードなビキニを数着持ってきた。
赤と白のチェック柄や、水色の縞模様など、華やかな色合いのものが主だ。
南国の雰囲気に合っているし、清楚な雰囲気のあるあおいにも合っている。
それまで見せられた水着と比べれば、露出も少ない。
「これはどう? だいぶ加減したのよ」
「うっ、は、恥ずかしいけど、こ、これくらいだったら……」
優花の口車に乗せられて、いつの間にかビキニを着ることが前提になってしまっている。
「よかった。早速着てみましょうよ」
あおいの言質を取れた瞬間、優花の目が輝いた。
(過度にセクシーな水着を沢山見せて、目を慣らさせた甲斐があったわ。この娘、あたしがいなければ地味なの選んじゃいそうだし)
優花は善は急げと店員を呼び寄せて、あおいを試着室に押し込んだ。
ーーーー
「ね、ねぇ。どうして優花まで入ってきてるの?」
狭い試着室で二人の美少女が、肌が触れ合うくらい密着していた。
「だって、あおいってあんまりファッションに詳しくないでしょ。せっかく可愛い女の子に生まれたのにもったいないわ。だから最初は優花お姉さんが手取り足取りレクチャーしてあげることにしたの。あおいがお洒落に目覚めるまで、みっちりと」
優花は、すっかりお姉さん気取りであおいのセーラー服を手際よく脱がしていく。
あっという間に、スカートまで脱がされてショーツとブラだけにされた。
水色のバラが刺繍された、華やかなブラとショーツだ。
控えめな柄のブラはもうタンスに入っていなかったので、仕方なく着けていた。
優花の視線は自然と胸の谷間に向いている。
「ほら、やっぱり。この前よりも大きくなってるじゃない。お姉さんの目は騙せないぞ」
「ゆ、優花あまりじろじろ見ないで」
あおいは胸の前に手をクロスさせると同時に、内またにショーツを隠す。
まだ性転換の済んでいない股間は、割れ目がない。
割れ目はないが、もっこりとした膨らみもなくフラットだ。
(も、もし僕の秘密がここでバレたら……)
「ねぇ、最初はこれを着てみよっか」
そんなあおいの心配はどこ吹く風で、優花は鼻歌交じりに真っ黒のビキニを差し出した。
肌に吸い付くようなピチピチしたタイプだ。
キラキラした目で見つめられて、あおいは深いため息をついた。
「着なきゃだめだよね」
「もちろん。絶対に似合うわ」
もじもじしていても仕方がない。
早く着てしまえば、早めに終わる。
そう意を決して、あおいは下着の上からビキニに脚を通した。
どことなくたどたどしい女言葉で、あおいは抵抗の意思を示す。
「あたしね、ファッション・コーディネーターになるのが夢なの。だからあおいみたいに、お洒落に興味がなさそうな可愛い娘を見ると、どうやってプロデュースすればいいかってウズウズしちゃうのよ」
あおいが押しに弱いことを見抜いているのだろうか。
優花はそう言って口角を上げると、あおいの手を引いて校門の外へと連れ出した。
門で仕切られた花園を、二人の少女が速足で歩いていく。
学校の裏門から伸びる真っすぐな道は、銀色に輝く砂浜へと続いていた。
浜風にスカートを巻き上げられながら、あおいたちは浜辺のウッドハウスに向かう。
舌も蕩けそうなトロピカルなジュースが売られている売店の裏側に、お目当ての小さな水着ショップがあった。
「ここはね、最新ファッションの水着がたくさんあるの」
優花の声が弾む。
青、赤、黄色、ピンクのパステルカラーから、緑、藍色、紅色、黒などの落ち着いた色まで所狭しと水着が並んでいる。
ワンピースタイプのものから、ショートパンツ、ブラジリアンなど女性向けが売り場の九割を占めていた。
セーラー服やお嬢様のドレスにはだいぶ慣れたあおいだが、露出の多い水着への免疫はない。
水着を見ているだけで落ち着かないのに、自分のを探すなんて。
店舗の残り一割はズボンのような男性向けの水着だ。
(あっ、これ去年着てたやつだ)
あおいの目が、緑色のヤシの木が描かれた男性用水着に止まる。
今まで海水浴と言えば、何も考えずにこのズボンタイプのを穿いていた。
やっぱり男性用の水着の方が、落ち着く。
今年も、これを着て海に……。
一瞬そう考えて、あおいは固まった。
自分の海パン姿を想像して、無意識に両手で胸を隠した。
もじもじしているところに、優花が駆け寄ってきた。
「あおい、何見てるの? あらっ、男性用の水着? ひょっとして彼氏へのプレゼント?」
「ちがうよ。だから、あ、あたしには彼氏なんていないって」
「ふふっ、そんなこと言いながら顔真っ赤よ。そっかぁ、まだ彼氏じゃないけど意中の男の子へのプレゼントってところかしら」
あおいはただ下を向くことしかできない。
(まさか、自分が着る用なんて言えないよね)
トップスなしで人前に出るのは、さすがに恥ずかしい。
おっぱいがどうしても丸見えになってしまう。
本格的に胸が大きくなって、薄桃色の乳輪も丸く広がってしまった今、それを公衆にさらすのは躊躇われた。
「ねぇ、あおいはこんなのどう? 似合うと思うよ」
優花は手早く水着を選ぶと、あおいの元に駆け寄ってきた。
ニコニコして何やら楽しそうだ。
手に握られていたのは、股間と乳首だけをぎりぎりのラインで隠すタイプのマイクロビキニだった。
(えっ、こ、これって……。裸、いや、裸以上に恥ずかしいよ)
「ねぇ、優花。ほとんど隠れてないよ。これは露出しすぎなんじゃ」
「スタイルのいいあおいだったら着こなせると思うけどな。じゃあ、これはどう?」
次に出てきたのは白地の一見地味そうな水着だ。
だが、とても薄い。生地越しに手の色が分かるほどの薄さだ。
「これもちょっと……。生地面積は広いけど、透けて見えちゃいそう」
「そうかなぁ」
優花が持ってくる水着はどれも大胆なセクシータイプのものばかりだ。
見せるたびに恥ずかしそうに頬を染めるあおいの様子に、優花の声のトーンが上がっていく。
過激にエッチな水着を散々見せた後、優花は落ち着いたスタンダードなビキニを数着持ってきた。
赤と白のチェック柄や、水色の縞模様など、華やかな色合いのものが主だ。
南国の雰囲気に合っているし、清楚な雰囲気のあるあおいにも合っている。
それまで見せられた水着と比べれば、露出も少ない。
「これはどう? だいぶ加減したのよ」
「うっ、は、恥ずかしいけど、こ、これくらいだったら……」
優花の口車に乗せられて、いつの間にかビキニを着ることが前提になってしまっている。
「よかった。早速着てみましょうよ」
あおいの言質を取れた瞬間、優花の目が輝いた。
(過度にセクシーな水着を沢山見せて、目を慣らさせた甲斐があったわ。この娘、あたしがいなければ地味なの選んじゃいそうだし)
優花は善は急げと店員を呼び寄せて、あおいを試着室に押し込んだ。
ーーーー
「ね、ねぇ。どうして優花まで入ってきてるの?」
狭い試着室で二人の美少女が、肌が触れ合うくらい密着していた。
「だって、あおいってあんまりファッションに詳しくないでしょ。せっかく可愛い女の子に生まれたのにもったいないわ。だから最初は優花お姉さんが手取り足取りレクチャーしてあげることにしたの。あおいがお洒落に目覚めるまで、みっちりと」
優花は、すっかりお姉さん気取りであおいのセーラー服を手際よく脱がしていく。
あっという間に、スカートまで脱がされてショーツとブラだけにされた。
水色のバラが刺繍された、華やかなブラとショーツだ。
控えめな柄のブラはもうタンスに入っていなかったので、仕方なく着けていた。
優花の視線は自然と胸の谷間に向いている。
「ほら、やっぱり。この前よりも大きくなってるじゃない。お姉さんの目は騙せないぞ」
「ゆ、優花あまりじろじろ見ないで」
あおいは胸の前に手をクロスさせると同時に、内またにショーツを隠す。
まだ性転換の済んでいない股間は、割れ目がない。
割れ目はないが、もっこりとした膨らみもなくフラットだ。
(も、もし僕の秘密がここでバレたら……)
「ねぇ、最初はこれを着てみよっか」
そんなあおいの心配はどこ吹く風で、優花は鼻歌交じりに真っ黒のビキニを差し出した。
肌に吸い付くようなピチピチしたタイプだ。
キラキラした目で見つめられて、あおいは深いため息をついた。
「着なきゃだめだよね」
「もちろん。絶対に似合うわ」
もじもじしていても仕方がない。
早く着てしまえば、早めに終わる。
そう意を決して、あおいは下着の上からビキニに脚を通した。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる