【完結】第三王子、ただいま輸送中。理由は多分、大臣です

ナポ

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4.誤解と嫉妬と、時々うさぎ

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 「王子さま~!」

 獣人の国に来てからというもの、ルーク(ウサギ族)は朝昼晩の三食ラクスに絡んでくる。

「よしよし、今日も耳ふわふわだな、ルーク」

「うへへ~、王子さまの手、あったかい……!」

「お前、弟にしては距離が近すぎるぞ……って、わぷっ」

 抱きつかれた。
 もふもふの耳が顔面を覆ってくる。視界が白い。息苦しい。けど……まぁ、悪くない。

「弟扱いだからセーフ」という謎理論により、ラクスはルークの頭をなでたり、膝に乗せたり、手を引いたりしていたのだが

 その様子を、遠巻きにギリギリと歯を軋ませて見つめる虎が一匹いた。

「……またあの王子、ルークに触ってる」

 後ろで木が折れた音がした。
 カグラが握っていた丸太が真っ二つになっていた。

「違うんだ。王子が悪いんじゃない。顔が……顔が……顔が良すぎるんだ」

 自覚のある嫉妬であった。

◆カグラの努力(全部空振り)

【作戦その①:物理的に引き離す】

「ルーク、狩りの訓練だ。今から俺と山に入る」

「え~、でも王子さまのおひざ……」

「二択か!!?」

【作戦その②:ラクスの恥ずかしい噂を流す】

「……あいつ、夜中に俳句を詠んでるらしいぞ」

「えっ、かっこいい……」

「なぜだッ!!」

【作戦その③:無言で間に挟まる】

「王子さま~!」

「……」

 スッと現れて、物理的に割って入ってくるカグラ。
 無表情で座っているが、背中から虎のオーラが出ていた。

「おい、そこの猫。近い」

「虎だ!!!!」

 そんな騒動をよそに、ラクスは今日もルークの耳をなでていた。

「お前さ、ほんと弟にしたいくらい可愛いな」

「えへへ~、じゃあ弟ってことでいいの?」

「もちろん。じゃあまず名前を“弟くん”に改名な」

「さすが王子さま! 発想が王族!」

 ──一方その頃、カグラはというと。

「“弟”だと……?」

 その日、木彫りで作った「王子退治マスコット」が完成した。

*
 その夜。

カイル「……なんだあれは」

ラクス「お、門の前に可愛い木彫りが。誰が置いたんだろう」

 そこには──
 『王子討伐祈願』と書かれた木製人形(作者:カグラ)が鎮座していた。

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