男ですが聖女になりました

白井由貴

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本編

17話

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【Side:クロヴィス】


 カートル大司教は自身と彼女の姉について、簡単にではあったが話をしてくれた。
 カートル大司教には2歳上の姉がいること。姉妹揃って劣悪な環境で育ち、彼女が7歳の時に大聖堂に拾われたこと。彼女が12歳の時に姉が聖女になったことをきっかけに血の滲むような努力をして、15歳で大司教にまで上り詰めたこと。そして、久々に会うことが叶った時には既に、姉の精神は壊れてしまっていたこと。
 
 彼女の諦めはきっとお姉さんを救えなかったことから来ているのだろう。自身の姉という最も守りたかった存在を守れなかったという後悔が、今も彼女の心を締め付けている。

 同情はするが、それでもラウルくんにした事を許せるわけがなかった。それはドミニクに対しても同様だ。いくら洗脳されていたからと言っても思いのままに襲い、嫌がるラウルくんに襲いかかったのは紛れもない事実なのだ。正直今更「洗脳が全て悪かった」と何もなかったかのように許せるかといえば、きっとそうではない。

「……私は、卑怯な人間だ」

 カートル大司教がそう苦しげに呟いた。それに反応したのは隣を歩くドミニクである。彼は身体をぴくりと揺らして、何かを耐えるように眉間に皺を寄せていた。
 私はカートル大司教に言葉の続きを促した。

「自分では何もせず、こうして誰かが止めてくれるのを……ずっと待っていたのだから」

 カートル大司教の表情は、やはり仮面に隠れて窺い見ることはできなかったが、言葉には少しの安堵が込められているように思えた。

 

 教皇の間まであと少し、というところで先頭を歩いていたカートル大司教がふと歩みを止めた。

「ご存知とは思いますが、教皇様は今皇帝陛下と他数名との話し合いを進めています。もし何かあればこれを鳴らしてください」
「……これは?」
「この鈴は私の闇の魔力を具現化し、固めて作ったものです。これを鳴らすと半径3メートル以内に存在する生き物の動きを3分間だけですが止めることができ、そして私に知らせが届きます。できることは少ないかもしれませんが……今まで何も出来なかった分、せめて今回はあなた方に協力させてください」

 そう言って彼女は頭を下げる彼女に、私は何も言うことが出来なかった。協力してくれるのは非常にありがたいことではある。しかしずっと敵だと思っていた人間が突然味方になるというのはやはりすぐには信じ難く、頷くことが出来なかった。
 彼女はそんな私の反応をわかっていたかように、僅かに眉尻を下げて「勝手なことを申して申し訳ございません」と気まず気に言う。

「……鈴はありがたく頂いておこう」
「はい、ありがとうございます」

 私は貰った鈴をローブのポケットの中に無造作に突っ込んだ。音が鳴ることもなく、鈴はポケットの中に落ちていく。
 もし私の世話係がこの光景を見ていたら行儀が悪いと怒られるなと思いながら、ポケットから手を出した。

 カートル大司教はくるりと踵を返し、再び階段に足を掛けた。私とドミニクも続いて階段を登り始める。そこからは誰も何も口に出すことはなく、ただひたすらに階段を登っていくだけだった。

 最後の階段を登ると、そこには少し広い空間があり、その真ん中には私たちの三倍はあるだろう高さの大きな扉が聳え立っていた。一見シンプルに見える扉だが、目を凝らしてよく見ると薄い模様が幾つも描かれている。
 カートル大司教は目の前に佇むその大きな扉を指差した。扉に手を当てて魔力を込めると開くとだけ告げた彼女は、すぐに踵を返してどこかに行ってしまった。
 
 彼女がどこに行ったのかはわからない。しかし先程彼女が発した「協力したい」という言葉が嘘ではないのならば恐らく彼女はこの近くにいるのだろう。もし彼女が嘘をついて我々を騙していたのだとしても、結局はどうにかするしかないのだから気にしても仕方がない。
 
 心を落ち着かせる為にか、無意識にふうと大きく息を吐き出していた。

「この先が教皇の間か……」
「はい。俺が開けます」

 そう言ってドミニクが扉に手を触れた瞬間、触れた部分が淡く光り、扉全体に魔力が流れていくのがわかった。きらきらとした黄色の光を帯びながら扉の模様に従って光は動き回り、やがてすべての光が扉の鍵へと吸い込まれていく。それを目で追っていると、ぎぎぎ……と軋むような音を立てて扉が開いた。
 
 扉がゆっくりと開き、徐々に中の様子が露わになっていく度、緊張感が全身を包んでいく。心臓はどくんどくんと大きく早く鼓動し、呼吸が上がる。
 そうしてやっと半分が開いた頃、私達は息を呑んだ。

「父、上……?」

 初めから教皇や数名の司教達の他に現皇帝である父上やそのお付き数名が教皇の間にいることは知っていたが、この光景は予想していなかった。私はてっきり堅実な話し合いをしているものだと思っていたのだが、これは一体どういうことなのだろうか。
 私の前にいるドミニクも同じように思っていたのかはわからないが、動きを止めていることから少なくとも驚いているのは同じらしい。

 教皇の間は王城の謁見の間と同じくらいに広かった。天井も高く、本当にここは王城にある皇帝への謁見を行う場なのではないかと、王城に住む私が錯覚するくらいそっくりな内装だった。
 これだけでも十分驚きではあったのだが、驚いた内容らそれだけではなかった。

 部屋の真ん中あたり、教皇の近くにいたであろう司教達はみな床一面に敷かれた赤い絨毯の上に伏しており、ぴくりとも動かない。それは父の後ろに控えていたであろうお付きの者たちも同じ。地に伏していない者は、教皇と父だけだった。
 しかし教皇は薄く笑みを浮かべながら真っ直ぐに立っているのに対し、父は顔を歪めながら床に膝をついている。その上よく見てみると父のローブは薄汚れ、所々破れているのに対して、教皇の白いローブは汚れ一つついていない状況も異常だ。

 父は弱くない。騎士にも魔導騎士にもなれると言われていたほど剣も魔法も腕前はかなりのものだったはずだ。それなのに、この状況はなんだ。

 驚きのあまり立ち尽くしたままの私たちに声を掛けたのは、父ではなく教皇だった。

 教皇は顔をゆっくりとこちらに向けると、その笑みを少しだけ濃くして私達を見ている。勝手にかなりの老人を想像していたのだが、目の前で笑みを浮かべているのはせいぜい私と同じか、少し上くらいの美丈夫だ。この人が教皇なのか?と疑問を持ちながらもじっと睨みつけていると、彼は「教皇の間にようこそ」とにんまりと笑って言った。その言葉に反射的にこちらに顔を向けた父は、驚愕の表情を浮かべた。

「……何故、お前が」

 絞り出すような低い声だった。
 私が何も言えずにいると、突然教皇がククッと喉を鳴らしながら笑う声が聞こえ、私達はそちらを向く。

「何故とは……教皇の間に来たということはディモルフ、お前と同じ事をしに来たのではないか?なあ、第一皇子?」

 見た目にそぐわぬ、まるで老人のような話し方だった。
 ドミニクのような胡散臭い笑みとは違う、まるで作り物のような笑みに背筋が凍る。膨大な魔力量に足がすくんで動かない。
 姿形は想像していたよりも随分と若かったが、纏う空気は強者のそれだ。本能がこれは勝てないと告げている。ユイット大司教やカートル大司教なんか比ではないほどの、魔力の圧力だった。

 ドッドッと心臓が早鐘を打つ。
 胸が痛い。額から汗が滲み出る。

 私の緊張と恐怖を感じ取ったのか、教皇は益々笑みを深くして私を見つめている。気を抜くな、侮られるなと自分自身に言い聞かせて、ギッと顔に力を入れて睨み返した。

「第一皇子の名は……確かクロヴィスだったか。噂よりも大分良い目をしておる。くくっ、ゾクゾクするな」
「……この状況は、なんだ?父上に、何をした?」

 絞り出した声は少し震えていた。それが恐怖なのか緊張なのか、それとも怒りからなのか自分でもわからなかったが、ぐっと握る拳に力を入れて、体の僅かな震えを止める。

 眼前に佇む教皇は、さも楽しそうな笑みで辺りを見回した後、スッと自身の目の前で膝をついている父に視線を向けた。空気がピンと張り詰めている。

「……なに、この男がな変な事を言うのでな、ちと懲らしめてやっただけだ」
「変なこと、だと……?」
「聖女を解放しろだの、聖女は道具ではないだの、戯言を言うものでなあ……ああ、そういえばディモルフの妻となったのも聖女だったか?名前は確か――そう、クレイル」

 教皇が笑いながら母の名を口にした瞬間、教皇の横の壁に炎の球が勢いよく投げつけられ、轟音と共にめり込んだ。未だ膝をついた状態ではあるが、それでも馬鹿にするように発せられた母の名に我慢の限界だったらしい父が教皇に攻撃を仕掛けたのである。

「貴様がクレイルの名を口にするな!!」
「くくっ……相変わらずだなあ、ディモルフ。クレイルに惚れ、必死に抵抗していたあの頃と何も変わらん」
「黙れ……っ!!」
「昔もそうだった。クレイルが聖女の役目から抜け出せぬならとこちらに盾ついてきたな。その度にボロ雑巾のようにしてやったが。……本当にあの時と何も変わらん。変わったのは、こちらだけか」
「……ぐっ……!」

 教皇は煽るだけ煽ると、徐に近くに立てかけてあった黒の丸い石が頂点の台座に填められた木の杖を手に取った。そしてその黒い石の部分を両手を重ねるようにして持ち、先端を床から少し離す。カンッ、と再び先端が床につくと魔力が波状に広がり、気付けば私は膝をついていた。
 少し前にいる父は震えながらも倒れることはなく、その場にとどまっている。

「聖女を解放しろと言うのは随分と馬鹿げた事を抜かすものだ。クレイルの時もカミーユの時も、そして今も。お前達は聖女の使い方を知らぬからそう言うのだろうな。聖女は光属性や闇属性の魔力の量や質を高めるためのもの。この世で唯一他人の魔力を操作でき、魔力の上限をも上げることが出来る存在だと言うのに」

 杖を持った状態で両手を天に向けて伸ばし、恍惚の表情をしながら教皇はなおも語る。

「その上、聖女とはオメガ性の男女のみがなることができると言うのは、もはやそう言う事であろう?オメガはアルファのためにその身を差し出すだけの存在――犯されるのを悦びとする性だ。ヒートが来れば慰めてやらねば生活することも儘ならぬ……こちらはそれの手伝いをしてやっているだけの話。少しの見返りを求めたところで何を咎められることがあるというのか!」

 驚嘆を交えながら、狂喜に声を荒げる教皇。
 私はその口から発せられる言葉一つ一つに吐き気を催していた。あまりにも独りよがりで自分勝手な思想や言動に腑が煮え繰り返る。

 オメガはアルファのために身体を差し出すための存在?だから好きなだけ犯してもいいと?
 だったら、どうして母はその白いローブに怯えていたと言うんだ。どうしてカートル大司教の姉であった方は心を壊してしまったと言うのか。どうしてカミーユは泣いていたと言うのか。どうして、ラウルくんはあんなにも苦しんでいたと言うのか。

 少なくとも私の知っているオメガ性の人達は皆、アルファの為に積極的に身体を差し出したいと思っていた人たちではなかった。第二の性がオメガである前に一人の人間だ。それはアルファである私達もそう。アルファである前に、オメガの人たちと同じ一人の人間なのだ。
 わけもわからず襲われて犯されたら誰だって恐怖を感じる。それを何回も何回も繰り返されたら、心だって壊れる。不特定多数ではなくて、みんな、好きな人とだけ身体を重ねたいと思っているはずだ。

 そう怒りに任せて言葉を発したが、教皇はふんと鼻を鳴らして私を嘲笑った。

「青いな、クロヴィス。だから学生時代に恋人に逃げられ、やっとできた婚約者にも未だに手を出せないのだ」
「……!」

 心臓が嫌な音を立てた。
 数年前に婚約した女性に指一本も触れていないのは、彼女も承知の上だから別に構わない。しかし何故、私が学生の頃に付き合っていた恋人が別れも告げずに消えてしまった事を知っているのだろうか。これは私と元恋人、そしてアルマンの三人しか知らないはずなのに。

 困惑が表情に出ていたのだろう。教皇はそれはそれは楽しそうに喉を鳴らしながら笑っている。どうしてか、嫌な予感がする。私の心情を表すかのように、額から頬へ汗が一筋流れた。

 その瞬間、教皇の笑い声と共にぶわりと広がった魔力に私は膝をつくだけでは体を支えられず、床に両手をついた。こんな魔力量を感じたのは生まれて初めてで、全身が恐怖に震える。私の魔力の何倍もあるだろうその量は、元々多いと言われながら生まれ育ったリアムの三倍は優に超えていた。
 
 こんなにも魔力の最大限が大きい人間を見たことがない。あまりにも違いすぎる。

 私は息を呑み、そして唇を噛み締めた。

 
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