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IFストーリー(本編9話以降分岐)
IF 4話*
しおりを挟む※この『IFストーリー』は作者が考えていた複数ある没になったプロットの一つを文章化した『もしものお話』です。
※本編10話の途中でクロヴィスに出会わなかった世界線です。本編9話まで読み進めた後に読む事をおすすめします。
夜、ドミニクが迎えに来た。
渡された黒の服、黒のローブに袖を通してドミニクと共にある場所に向かう。それは大聖堂がある敷地内の端も端、ひっそりとした場所だった。
亡くなった聖女が入っているらしい棺に手を合わせ、土に埋められていく様子をじっと見る。周囲には俺以外にも十人ほどの人が立っており、その全員が俺と同じ格好だった。
いつかは俺もこんなふうに死んで、ここに埋められるんだろうな。そう思うと涙よりも溜息が溢れた。
亡くなった聖女について俺は何も知らない。亡くなってからも遺体どころか棺の中すらも見させてもらえず、何もわからないまま今弔っている。でもそれでよかったのかもしれない。もし亡くなった聖女について知っていれば、こんなふうに落ち着いてはいられなかったことだろう。願わくば、彼女の黄泉への旅路が楽しいものであればいいと思う。
ドミニクと部屋に戻ってからは、すぐにシャワーを浴びてベッドに寝転んだ。身体は魔力を回復させようと必死のようで、食事が取れない代わりに睡眠を促してくる。俺はその睡魔に抗うことなく、眠りについた。
その日は夢を見た。
俺がまだ母さんと妹と共に村にいた時の夢だ。
母さんは俺がオメガだとわかるとすぐに村長の元へと相談に行き、そして村長と数人の女性を引き連れて家に戻ってきた。数人の女性は全員オメガ性だった。
「ラウルや、この女性達はみんな第二性がオメガの女性達だ。これから色々不便もあろう。その時は彼女らを頼るんだ」
そう言った村長は眦を下げ、その大きな掌で俺の頭を撫でてくれた。とても優しくて温かい手だった。オメガ性だという女性達は口々に自己紹介をしていき、最後には皆俺のことを気遣ってくれた。
彼女達のほとんどは村のベータの男達を伴侶としており、この村で幸せに暮らしている。
俺はこの村で初めての男性のオメガであるから、母さんは色々なことを危惧して村長とオメガ性の女性に助けを乞うたらしい。しかし村長も男のオメガを見たのは初めてだったようだ。
「ヒートになる前であっても、興味本位でお前に手を出してくることもあるかもしれん。そうなってからでは遅い。今日からは男達との接触を極力なくした方がいいかもしれんのう」
「えっ……じゃあウードやフランク達とは遊べないの?」
「ううむ……そうなるなあ」
その頃、村で同年代だったウードやフランク達といったベータの男の子とよく遊んでいたのだが、村長はいつ何があるかわからないから遊ばない方がいいと言った。しかし遊びたい盛りの男子の俺は不満ばっかりだった。
困った大人達は、オメガ女性宅の同年代の女の子であれば遊んでも良いと許可を出してくれた。その日から俺は男の子ではなく、妹と共に女の子達と遊ぶ事になったのだ。
女の子と遊ぶのも悪くはなかったが、刺激が足りなかった。けれど妹はとても楽しそうに遊んでいる。もしかすると以前よりも楽しそうだったかもしれない。
「お兄ちゃん、みてみて!お花の冠できたよ!」
「すごいな」
「もっと褒めてよ!」
「ふふっ、いつ見ても兄妹仲が良いわね」
そんなやり取りをする俺たちを、母さんは笑ってみていた。
目が覚め、見慣れた天井を視界に入れた瞬間、溜息が溢れた。あんなに幸せだった頃の夢を見た後では、これからの役目のことを思えば余計に気分が落ち込むというものだ。シャワーを浴び、綺麗な服に袖を通してベッドの脇に腰掛ける。
俺がここに来た後、母さん達には俺を育てたお礼として一生食い扶持に困らないであろう金銭が受け渡されているはずだ。そのお金で少しでも元気に過ごしてほしいと思う。けれどやっぱりこんな夢を見た後は家族が恋しくなるようで、俺の気分は落ち込んでいた。
ドミニクが訪れ、いつものように朝食代わりのスープを無理矢理喉の奥へと押しやっていると、ドミニクがそういえばと口を開いた。
「五日後、第三皇子がここを訪れるよ」
「えっ……?」
「あっちも少し落ち着いてきたみたいでね、どうしても君に会いたい、話したいことがあると向こうから言ってきたんだ」
リアムが……そうか、リアムが。
嬉しい反面、少しだけその言葉に違和感を感じる。
話したい事とはなんだろうか。眉を顰めて首を傾げる俺を見たドミニクも怪訝な顔で首を傾げている。
「ラウルくんは第三皇子から直接話したい事に心当たりはあるかい?」
「ない……と思う」
「そうだよねえ……もしかしたら皇族関連のことかもしれないね……あ、でもその時は他言しちゃだめだよ?俺にも、他の大聖堂の人間にも」
言われた言葉にますます首を傾げると、大聖堂も皇族も一枚岩じゃないって事だよと言われて余計に首を捻った。
それからは治癒魔法を駆使し、ポーションを作成し、少し休んだ後にユイット大司教とシス大司教が部屋に来た。今日は大司教二人を相手にするらしい。これは体が保たないのでは、と無意識に腰を引くが、すぐにユイットに足を掴まれた。
「久しぶりだね、ラウルちゃん」
耳元で囁かれ、下腹がずくんと疼く。
散々ユイットに身体を暴かれた所為か、足や胸を撫でられながら低く囁かれると嫌でも体が反応してしまう。教え込まれた快感が脳裏に甦り、俺は喉を鳴らした。
「ほら奉仕の回数を減らしたいって言ってたでしょ?だから今週は二回、今日と四日後だけになったから二人で来ちゃった」
「四日後も俺たちが来ることになっている。悪く思うなよ」
ドミニクはしっかりと交渉してくれたようだ。毎日から週二回になったことは大変喜ばしいが、よりにもよってその二回がこの二人とだなんて。俺は喉を引き攣らせた。
シスが俺を背後から羽交締めにし、ユイットが下衣を下着ごと引き抜いた。シスの手によって上衣は胸の辺りまで捲り上げられ、胸の突起を親指と人差し指で捏ねるように弄られる。ユイットは露わになった俺の萎えた陰茎を手で包み、先端を口に含んだ。
「んっ……!」
そういえばこいつは何故か俺の陰茎を咥えたり、俺に陰茎を咥えさせることが好きだったと思い出した。あの時は何度も何度も胎内だけではなくて口の中に出されて苦しかったが、もしかして今日もなのだろうか。
そんなことを考えているうちに、手と口で扱かれた俺のソレは硬さや質量を増していき、胸の突起を強く摘まれたと同時に果ててしまった。荒く息を繰り返す俺の顔を見てユイットは可愛いと繰り返している。
後ろから膝裏を持たれ、足を開かされる。露わになった後孔を見てユイットが息を呑んだ。
「ラウルちゃんのここ、物欲しそうにピクピクしてるよ。そういえば昨日はなかったもんねぇ……とろっとろに解してあげるからね」
「しなくて、いい……うあっ」
「ラウルちゃんの中、すっごく柔くてちゅうちゅうって吸い付いてくるよ?これなら俺のはすぐに入りそうだけど……今日はとろとろにしてあげるって約束したから、ちょっと待っててね」
そう言ってユイットは後孔に指を一本入れたまま俺の臀部に顔を埋めて、あろうことか指が埋まっている後孔を舐め始めた。指を動かされ、熱くざらざらした舌で舐められる。それは俺の口から嬌声のみが上がるようになるまで続けられた。
その後のことは正直覚えていない。
口にも後孔にも突っ込まれた凶悪な程の陰茎達に、意識が飛ぶまで――いや、意識がとんでもお構いなくされ続け、気付けば俺は意識を失っていた。
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