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指輪
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5月26日(水)am6:00
スマホの目覚まし時計が小さく音を響かせる。前の日から緊張していた俺はすぐに気がつき、唯一自由に動かせる右手を伸ばして、枕元の本棚に置いたスマホを掴んで消音した。
『よしっ、洸一はまだ寝てる。』
洸一は、相変わらず俺の左半身に寄りかかり、ガッチリ抱え込んで熟睡している。いつもは洸一の方が早く起きるが、洸一が寝ているうちにやりたいことがある。昨日までの2日間は、俺の目覚ましの音で洸一も起きてしまって失敗に終わっていた。
『この辺なんだけど…。』
計画的にベッドの右に寄って寝たから、手を伸ばせば届くはず…。マットレスの下に仕込んでおいた封筒を探す。あれ?…ない。手を伸ばせば届く所に置いたはずの封筒が指先に触れない。バレないように…でも手の届く所に、と脳内でシュミレーションした場所に、封筒はなかった。
『後で確かめるか…。』
手を入れた所のマットレスカバーを少し引き出して目印にし、封筒は諦めて洸一の寝顔を見つめた。ここ数ヶ月洸一の髪型は変わらない。後ろは短く刈り上げ、少し長い頭頂部は前髪ごとワックスで固めて持ち上げている。でも昨夜風呂から上がったままの洸一の前髪は少しだけ額に降りてきていた。
『本当にイケメンだよな。』
昔からモテていたのは、言われなくとも分かる。多分、以前「ミノ・カフェ」であったように、いろんな女の子に声をかけられていたんだろう。あの時も、表情1つ変えずに、紙ナプキンをクシャクシャにしていた。まるで、特別騒ぎ立てるほどの事ではないと言ってるように…。
『チョッピリ悔しい。』
洸一がモテるのが、ではない。洸一は言わないけれど、多分俺より遥かに多くの経験をしている。何人かの女の人や、たぶん男の人とも経験があるんだ。出来れば、もっと早く俺も出会いたかった…。
『洸一のキス…。この大きな口で何人の人とキスをしたんだ?』
そっと洸一の唇に指を這わす…。と突然、右手の人差し指がパクッと食べられた。
「ひゃーっ!」
驚きすぎて変な声が出た。洸一が唇から指を放すと俺の上に乗り掛かってきた。
「何かネガティブな事を考えていた?」
俺の耳に重低音を響かせると、鋭い目つきで俺を射抜き、唇を重ねてきた。
「ンあん…んな、な、何も…」
考えてない…。最後まで言わせて貰えなかった。洸一の舌に翻弄される。追いかけていくのが精一杯…。
「俺が欲しいのは奏だけだ。今までも…これからも…。」
そう言った洸一の頭がだんだんと下に降りていった。両脚を持ち上げられる。
「ンンン…あン…洸一…ダメ…。」
「ダメじゃない。」
洸一の指が、ローションを纏って俺の後ろに入り込んできた。
…俺はこの日、この会社に勤めて初めて、ちょっとだけ遅刻した。
スマホの目覚まし時計が小さく音を響かせる。前の日から緊張していた俺はすぐに気がつき、唯一自由に動かせる右手を伸ばして、枕元の本棚に置いたスマホを掴んで消音した。
『よしっ、洸一はまだ寝てる。』
洸一は、相変わらず俺の左半身に寄りかかり、ガッチリ抱え込んで熟睡している。いつもは洸一の方が早く起きるが、洸一が寝ているうちにやりたいことがある。昨日までの2日間は、俺の目覚ましの音で洸一も起きてしまって失敗に終わっていた。
『この辺なんだけど…。』
計画的にベッドの右に寄って寝たから、手を伸ばせば届くはず…。マットレスの下に仕込んでおいた封筒を探す。あれ?…ない。手を伸ばせば届く所に置いたはずの封筒が指先に触れない。バレないように…でも手の届く所に、と脳内でシュミレーションした場所に、封筒はなかった。
『後で確かめるか…。』
手を入れた所のマットレスカバーを少し引き出して目印にし、封筒は諦めて洸一の寝顔を見つめた。ここ数ヶ月洸一の髪型は変わらない。後ろは短く刈り上げ、少し長い頭頂部は前髪ごとワックスで固めて持ち上げている。でも昨夜風呂から上がったままの洸一の前髪は少しだけ額に降りてきていた。
『本当にイケメンだよな。』
昔からモテていたのは、言われなくとも分かる。多分、以前「ミノ・カフェ」であったように、いろんな女の子に声をかけられていたんだろう。あの時も、表情1つ変えずに、紙ナプキンをクシャクシャにしていた。まるで、特別騒ぎ立てるほどの事ではないと言ってるように…。
『チョッピリ悔しい。』
洸一がモテるのが、ではない。洸一は言わないけれど、多分俺より遥かに多くの経験をしている。何人かの女の人や、たぶん男の人とも経験があるんだ。出来れば、もっと早く俺も出会いたかった…。
『洸一のキス…。この大きな口で何人の人とキスをしたんだ?』
そっと洸一の唇に指を這わす…。と突然、右手の人差し指がパクッと食べられた。
「ひゃーっ!」
驚きすぎて変な声が出た。洸一が唇から指を放すと俺の上に乗り掛かってきた。
「何かネガティブな事を考えていた?」
俺の耳に重低音を響かせると、鋭い目つきで俺を射抜き、唇を重ねてきた。
「ンあん…んな、な、何も…」
考えてない…。最後まで言わせて貰えなかった。洸一の舌に翻弄される。追いかけていくのが精一杯…。
「俺が欲しいのは奏だけだ。今までも…これからも…。」
そう言った洸一の頭がだんだんと下に降りていった。両脚を持ち上げられる。
「ンンン…あン…洸一…ダメ…。」
「ダメじゃない。」
洸一の指が、ローションを纏って俺の後ろに入り込んできた。
…俺はこの日、この会社に勤めて初めて、ちょっとだけ遅刻した。
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