29 / 45
指輪
3
しおりを挟む
5月28日(金)am10:00
…意識が覚醒する。
『洸一…どこ…?』
洸一がいるはずの左側に腕を伸ばすが、いない。シーツを撫でただけだった。ハッとして飛び起きる。
「いてててて…。」
下半身がダルい。爪先立ちで立っていた足の裏が、つった後のような鈍い痛みを放っている。周りを見渡しても洸一はいない。そうか。夕べ、今日は地下で仕事があるって言ってたっけ。
「お腹すいた…。」
部屋中にいい匂いが漂っている。カウンターの上を見ると、洸一が準備してくれた朝食と、メモ書きが残されていた。
『味噌汁は温めて。行ってくる。早く帰る。』
洸一の字はとても上手い。硬筆のお手本のように整っている。羨ましい…。キッチンに回り込んで、味噌汁に火を入れた。今日は玉ねぎとワカメの味噌汁。エノキも入ってる。
『今日も失敗だったな。』
味噌汁をかき混ぜながら、今朝のことを思い起こす。今朝は5時に目覚ましをかけていた。すぐに目覚ましを止めて、右手を動かして封筒を探した。なかなか見つからず、足元の方に手を伸ばして身動きしてしまったのが敗因だ。
『おはよう…どうした?』
封筒らしきものが指先に触れた途端に、洸一が目を覚ましてしまった。
『ん?…目が覚めちゃった。』
右手を布団の中に戻し、ドキドキしながら洸一の方を見る。洸一がキスをしてきた。
『最近、早いな…。』
『う、うん。どうしてかな?』
俺は嘘が下手だ…充分分かってる。でも、今は本当のことを言いたくない。俺は洸一の首に手を回した。
『一緒に…シャワー浴びよ。』
そして自分からキスをした。洸一が珍しく真っ赤になった。無言で起き上がると、俺を抱き上げそのまま「管理人室」から出た。そして…。
「もうちょっと、手加減してくれてもいいのに…。」
ほーっとため息をついて、味噌汁の火を止め、お椀によそった。カウンターに戻ると、洸一が準備してくれていたおにぎりにかぶりついた。
風呂場で意識が飛ぶまで洸一に攻められ、気がついたのが今。このバスローブもボクサーも洸一が着せてくれたんだ。慣れてきたとはいえ、やっぱり恥ずかしい…。
『後2日だ。…どうしよう。』
ほうれん草のお浸しを食べながら考える。明後日は洸一の誕生日。それまでに解決しないと…。ベッドのマットレスに隠すのは無理かもしれない。
『本棚!本棚はどうだ?』
こんなにたくさんの本が詰まってるんだから、その間に隠せるかもしれない。俺はおにぎりと箸を置いて、後ろにあるベッドのマットレスの下から封筒を取り出した。
『寝ながらすぐに取り出せる位置…。』
実際に寝てみて考える。頭のすぐ上にある分厚いファンタジー。ようやく4巻目まで読み進めていた。年甲斐もなく児童書にはまっている。洸一が読んでいるところは1度も見たことがない。1巻目と2巻目の間に封筒を挟み込む。
「封筒、デカいな。」
キッチンバサミを持ってきて、封筒の3分の2を切り落とす。これでも全然大丈夫、中身は出ない。切り口を二重に折り曲げて、すぐに出てこないようにする。本の間の奥の方に押し込んだ。
『よし、これで大丈夫だ。』
よく見ると、本と本の間に隙間が見えるが、最近洸一は本に触れることがないし大丈夫だろう。俺は、成果に大満足してまたカウンターに戻り、鮭の切り身に手をつけた。
…意識が覚醒する。
『洸一…どこ…?』
洸一がいるはずの左側に腕を伸ばすが、いない。シーツを撫でただけだった。ハッとして飛び起きる。
「いてててて…。」
下半身がダルい。爪先立ちで立っていた足の裏が、つった後のような鈍い痛みを放っている。周りを見渡しても洸一はいない。そうか。夕べ、今日は地下で仕事があるって言ってたっけ。
「お腹すいた…。」
部屋中にいい匂いが漂っている。カウンターの上を見ると、洸一が準備してくれた朝食と、メモ書きが残されていた。
『味噌汁は温めて。行ってくる。早く帰る。』
洸一の字はとても上手い。硬筆のお手本のように整っている。羨ましい…。キッチンに回り込んで、味噌汁に火を入れた。今日は玉ねぎとワカメの味噌汁。エノキも入ってる。
『今日も失敗だったな。』
味噌汁をかき混ぜながら、今朝のことを思い起こす。今朝は5時に目覚ましをかけていた。すぐに目覚ましを止めて、右手を動かして封筒を探した。なかなか見つからず、足元の方に手を伸ばして身動きしてしまったのが敗因だ。
『おはよう…どうした?』
封筒らしきものが指先に触れた途端に、洸一が目を覚ましてしまった。
『ん?…目が覚めちゃった。』
右手を布団の中に戻し、ドキドキしながら洸一の方を見る。洸一がキスをしてきた。
『最近、早いな…。』
『う、うん。どうしてかな?』
俺は嘘が下手だ…充分分かってる。でも、今は本当のことを言いたくない。俺は洸一の首に手を回した。
『一緒に…シャワー浴びよ。』
そして自分からキスをした。洸一が珍しく真っ赤になった。無言で起き上がると、俺を抱き上げそのまま「管理人室」から出た。そして…。
「もうちょっと、手加減してくれてもいいのに…。」
ほーっとため息をついて、味噌汁の火を止め、お椀によそった。カウンターに戻ると、洸一が準備してくれていたおにぎりにかぶりついた。
風呂場で意識が飛ぶまで洸一に攻められ、気がついたのが今。このバスローブもボクサーも洸一が着せてくれたんだ。慣れてきたとはいえ、やっぱり恥ずかしい…。
『後2日だ。…どうしよう。』
ほうれん草のお浸しを食べながら考える。明後日は洸一の誕生日。それまでに解決しないと…。ベッドのマットレスに隠すのは無理かもしれない。
『本棚!本棚はどうだ?』
こんなにたくさんの本が詰まってるんだから、その間に隠せるかもしれない。俺はおにぎりと箸を置いて、後ろにあるベッドのマットレスの下から封筒を取り出した。
『寝ながらすぐに取り出せる位置…。』
実際に寝てみて考える。頭のすぐ上にある分厚いファンタジー。ようやく4巻目まで読み進めていた。年甲斐もなく児童書にはまっている。洸一が読んでいるところは1度も見たことがない。1巻目と2巻目の間に封筒を挟み込む。
「封筒、デカいな。」
キッチンバサミを持ってきて、封筒の3分の2を切り落とす。これでも全然大丈夫、中身は出ない。切り口を二重に折り曲げて、すぐに出てこないようにする。本の間の奥の方に押し込んだ。
『よし、これで大丈夫だ。』
よく見ると、本と本の間に隙間が見えるが、最近洸一は本に触れることがないし大丈夫だろう。俺は、成果に大満足してまたカウンターに戻り、鮭の切り身に手をつけた。
0
あなたにおすすめの小説
【8話完結】帰ってきた勇者様が褒美に私を所望している件について。
キノア9g
BL
異世界召喚されたのは、
ブラック企業で心身ボロボロになった陰キャ勇者。
国王が用意した褒美は、金、地位、そして姫との結婚――
だが、彼が望んだのは「何の能力もない第三王子」だった。
顔だけ王子と蔑まれ、周囲から期待されなかったリュシアン。
過労で倒れた勇者に、ただ優しく手を伸ばしただけの彼は、
気づかぬうちに勇者の心を奪っていた。
「それでも俺は、あなたがいいんです」
だけど――勇者は彼を「姫」だと誤解していた。
切なさとすれ違い、
それでも惹かれ合う二人の、
優しくて不器用な恋の物語。
全8話。
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】
彩華
BL
俺の名前は水野圭。年は25。
自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで)
だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。
凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!
凄い! 店員もイケメン!
と、実は穴場? な店を見つけたわけで。
(今度からこの店で弁当を買おう)
浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……?
「胃袋掴みたいなぁ」
その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。
******
そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています
お気軽にコメント頂けると嬉しいです
■表紙お借りしました
死ぬほど嫌いな上司と付き合いました【完結】
三宅スズ
BL
社会人3年目の皆川涼介(みながわりょうすけ)25歳。
皆川涼介の上司、瀧本樹(たきもといつき)28歳。
涼介はとにかく樹のことが苦手だし、嫌いだし、話すのも嫌だし、絶対に自分とは釣り合わないと思っていたが‥‥
上司×部下BL
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
【完結】男の後輩に告白されたオレと、様子のおかしくなった幼なじみの話
須宮りんこ
BL
【あらすじ】
高校三年生の椿叶太には女子からモテまくりの幼なじみ・五十嵐青がいる。
二人は顔を合わせば絡む仲ではあるものの、叶太にとって青は生意気な幼なじみでしかない。
そんなある日、叶太は北村という一つ下の後輩・北村から告白される。
青いわく友達目線で見ても北村はいい奴らしい。しかも青とは違い、素直で礼儀正しい北村に叶太は好感を持つ。北村の希望もあって、まずは普通の先輩後輩として付き合いをはじめることに。
けれど叶太が北村に告白されたことを知った青の様子が、その日からおかしくなって――?
※本編完結済み。後日談連載中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる