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指輪
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5月28日(金)am10:00
…意識が覚醒する。
『洸一…どこ…?』
洸一がいるはずの左側に腕を伸ばすが、いない。シーツを撫でただけだった。ハッとして飛び起きる。
「いてててて…。」
下半身がダルい。爪先立ちで立っていた足の裏が、つった後のような鈍い痛みを放っている。周りを見渡しても洸一はいない。そうか。夕べ、今日は地下で仕事があるって言ってたっけ。
「お腹すいた…。」
部屋中にいい匂いが漂っている。カウンターの上を見ると、洸一が準備してくれた朝食と、メモ書きが残されていた。
『味噌汁は温めて。行ってくる。早く帰る。』
洸一の字はとても上手い。硬筆のお手本のように整っている。羨ましい…。キッチンに回り込んで、味噌汁に火を入れた。今日は玉ねぎとワカメの味噌汁。エノキも入ってる。
『今日も失敗だったな。』
味噌汁をかき混ぜながら、今朝のことを思い起こす。今朝は5時に目覚ましをかけていた。すぐに目覚ましを止めて、右手を動かして封筒を探した。なかなか見つからず、足元の方に手を伸ばして身動きしてしまったのが敗因だ。
『おはよう…どうした?』
封筒らしきものが指先に触れた途端に、洸一が目を覚ましてしまった。
『ん?…目が覚めちゃった。』
右手を布団の中に戻し、ドキドキしながら洸一の方を見る。洸一がキスをしてきた。
『最近、早いな…。』
『う、うん。どうしてかな?』
俺は嘘が下手だ…充分分かってる。でも、今は本当のことを言いたくない。俺は洸一の首に手を回した。
『一緒に…シャワー浴びよ。』
そして自分からキスをした。洸一が珍しく真っ赤になった。無言で起き上がると、俺を抱き上げそのまま「管理人室」から出た。そして…。
「もうちょっと、手加減してくれてもいいのに…。」
ほーっとため息をついて、味噌汁の火を止め、お椀によそった。カウンターに戻ると、洸一が準備してくれていたおにぎりにかぶりついた。
風呂場で意識が飛ぶまで洸一に攻められ、気がついたのが今。このバスローブもボクサーも洸一が着せてくれたんだ。慣れてきたとはいえ、やっぱり恥ずかしい…。
『後2日だ。…どうしよう。』
ほうれん草のお浸しを食べながら考える。明後日は洸一の誕生日。それまでに解決しないと…。ベッドのマットレスに隠すのは無理かもしれない。
『本棚!本棚はどうだ?』
こんなにたくさんの本が詰まってるんだから、その間に隠せるかもしれない。俺はおにぎりと箸を置いて、後ろにあるベッドのマットレスの下から封筒を取り出した。
『寝ながらすぐに取り出せる位置…。』
実際に寝てみて考える。頭のすぐ上にある分厚いファンタジー。ようやく4巻目まで読み進めていた。年甲斐もなく児童書にはまっている。洸一が読んでいるところは1度も見たことがない。1巻目と2巻目の間に封筒を挟み込む。
「封筒、デカいな。」
キッチンバサミを持ってきて、封筒の3分の2を切り落とす。これでも全然大丈夫、中身は出ない。切り口を二重に折り曲げて、すぐに出てこないようにする。本の間の奥の方に押し込んだ。
『よし、これで大丈夫だ。』
よく見ると、本と本の間に隙間が見えるが、最近洸一は本に触れることがないし大丈夫だろう。俺は、成果に大満足してまたカウンターに戻り、鮭の切り身に手をつけた。
…意識が覚醒する。
『洸一…どこ…?』
洸一がいるはずの左側に腕を伸ばすが、いない。シーツを撫でただけだった。ハッとして飛び起きる。
「いてててて…。」
下半身がダルい。爪先立ちで立っていた足の裏が、つった後のような鈍い痛みを放っている。周りを見渡しても洸一はいない。そうか。夕べ、今日は地下で仕事があるって言ってたっけ。
「お腹すいた…。」
部屋中にいい匂いが漂っている。カウンターの上を見ると、洸一が準備してくれた朝食と、メモ書きが残されていた。
『味噌汁は温めて。行ってくる。早く帰る。』
洸一の字はとても上手い。硬筆のお手本のように整っている。羨ましい…。キッチンに回り込んで、味噌汁に火を入れた。今日は玉ねぎとワカメの味噌汁。エノキも入ってる。
『今日も失敗だったな。』
味噌汁をかき混ぜながら、今朝のことを思い起こす。今朝は5時に目覚ましをかけていた。すぐに目覚ましを止めて、右手を動かして封筒を探した。なかなか見つからず、足元の方に手を伸ばして身動きしてしまったのが敗因だ。
『おはよう…どうした?』
封筒らしきものが指先に触れた途端に、洸一が目を覚ましてしまった。
『ん?…目が覚めちゃった。』
右手を布団の中に戻し、ドキドキしながら洸一の方を見る。洸一がキスをしてきた。
『最近、早いな…。』
『う、うん。どうしてかな?』
俺は嘘が下手だ…充分分かってる。でも、今は本当のことを言いたくない。俺は洸一の首に手を回した。
『一緒に…シャワー浴びよ。』
そして自分からキスをした。洸一が珍しく真っ赤になった。無言で起き上がると、俺を抱き上げそのまま「管理人室」から出た。そして…。
「もうちょっと、手加減してくれてもいいのに…。」
ほーっとため息をついて、味噌汁の火を止め、お椀によそった。カウンターに戻ると、洸一が準備してくれていたおにぎりにかぶりついた。
風呂場で意識が飛ぶまで洸一に攻められ、気がついたのが今。このバスローブもボクサーも洸一が着せてくれたんだ。慣れてきたとはいえ、やっぱり恥ずかしい…。
『後2日だ。…どうしよう。』
ほうれん草のお浸しを食べながら考える。明後日は洸一の誕生日。それまでに解決しないと…。ベッドのマットレスに隠すのは無理かもしれない。
『本棚!本棚はどうだ?』
こんなにたくさんの本が詰まってるんだから、その間に隠せるかもしれない。俺はおにぎりと箸を置いて、後ろにあるベッドのマットレスの下から封筒を取り出した。
『寝ながらすぐに取り出せる位置…。』
実際に寝てみて考える。頭のすぐ上にある分厚いファンタジー。ようやく4巻目まで読み進めていた。年甲斐もなく児童書にはまっている。洸一が読んでいるところは1度も見たことがない。1巻目と2巻目の間に封筒を挟み込む。
「封筒、デカいな。」
キッチンバサミを持ってきて、封筒の3分の2を切り落とす。これでも全然大丈夫、中身は出ない。切り口を二重に折り曲げて、すぐに出てこないようにする。本の間の奥の方に押し込んだ。
『よし、これで大丈夫だ。』
よく見ると、本と本の間に隙間が見えるが、最近洸一は本に触れることがないし大丈夫だろう。俺は、成果に大満足してまたカウンターに戻り、鮭の切り身に手をつけた。
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