未来も過去も ー番外編ー

もこ

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「じゃあ、俺かき氷買ってくる!」
「ああ。」
俺たちは休みを合わせて海へ来ていた。午前中だと言うのに8月の太陽がジリジリと照りつけ、砂は焼けるようだった。今日は平日なのに、人が多い。ほとんどが夏休みを楽しむ学生たちだが、家族連れもちらほら見える。俺たちは人が少ないスペースを見つけて、キャンプ用のテントを張り終え、張り出したタープの下にテーブルを設置していた。

「固定しとくか…。」
テントの方はまだ固定していない。重りになるものはクーラーボックスだけだ。ときおり強くなる風に飛ばされないように、ペグで固定しようとテントが入っていた袋を取り上げた。

『遅いな…。』
テントの固定を終了し、辺りを見渡す。ここの海の家は3軒あり、店先に4・5人の行列ができて賑わっていた。けれども、ちょっと遅すぎないか?遠くに見える海の家の前に白っぽいラッシュガードを着けた奏が見える。迎えに行く事にした。

「えー!若ーい!!」
「奥さんも若いの?24より下なら私たちと同じぐらい?ってか、私たちでも良くない?」
「…はは…」

『……』
奏が女の2人連れに捕まっていた。笑顔を見せながらもどこか狼狽ているようだ。…なんでモテてる…。奏に選んだ椰子の木柄の水着とラッシュガードは失敗だったか…。…似合いすぎる。知らず知らず眉間に皺が寄っていた。

「おいっ、奏!」
奏の後ろから声をかける。奏が振り向いた途端に満面の笑顔を見せた。ダメだ。その笑顔を今見せちゃぁ…。女たちが俺を見て目を丸くする。奏が買ったばかりのかき氷を差し出してきた。
「はい。こっちが洸一の。」

「ありがとう。行こう。」
かき氷を受け取って奏と並んで歩き出す。水色のシロップがふんだんにかけられた氷を口に入れると、口の中がキンと一瞬で冷えた。
「あ、あのっ!」
声がした方に2人同時に振り返る。さっきの女たちが追いかけてきていた。

「お昼、一緒にどうですか?」
白のビキニを着て、パーカーの胸元を大きく開けた女に声をかけられた。さっきはもっと隠してなかったか?まだ昼には1時間もあるというのに…。

「『俺たち』、結婚してるんで。」
断りながら、左手の指輪を掲げて見せる。
「お、奥さんは…?」
「着替え中。」
こんな行きずりの女に詳しく話してやる必要はない。
「行こう。」
奏に声をかけてその場を後にした。



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