未来も過去も

もこ

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12年前

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バックヤードの突き当たりの壁に手紋を当てて扉を開ける。2メートルほど先にある白い螺旋階段を目指す。

コウイチとハンバーガーを食べてから2週間近くがすぎていた。クリスマスも経理の仕事をするだけで何事もなく終わり、(生田はエッチのないクリスマスは高1以来だと喚いていた。…俺は通常運転。)今日は大晦日…。全く…モールも年中無休だが、こっちもだ。

コウイチとお昼を食べたのは楽しかった。2人でテリヤキバーガーをセットで頼み、コウイチはチキンカツバーガーも単品で頼んでいた。

『奏が過去で食べているのを見て、食べたくなった。』
何故かコウイチが俺を名前で呼ぶようになったが、突っ込まない事にした。別に名前で呼ばれるのは嫌じゃないし…。突っ込むこと自体何だか恥ずかしいし…。

2人でハンバーガーを食べながら、どうして俺が過去に飛ぶのかを教えてもらった。過去に飛んで、巌城さんにメガネを渡す事で、こちらの技術がちょっとだけ進むらしい。
『開発部には10人ほどいるんだが、奏が飛ぶたびに何かしら起こるんだ。誰かが何か発見したり、やっていた実験がちょっとの工夫で成功したり…。』
コウイチがチキンカツに大きな口でかぶりつく前にそう言った。 

『ホント、アイツの口ってデカいよな…。あの口で…。』
キスされた(正確には口移しでOSを飲ませてもらったんだが…)事を思い出し、螺旋階段の途中で身悶えした。コウイチはどうだか分からないが、俺はなかなか忘れられない刺激的な経験だった…。

「はあ~、さ、いくぞ。」
赤くなったであろう顔を手で叩きながらまた螺旋階段を上り始めた。とにかく、俺が飛ぶことで、ただの顔認証をするためのカメラから、ビデオへ。そしてその映像が時間を超えて現代でも見れるように進化したのだ。

『今は音声も届くことが開発部の目標。』
なんだそうだ。昔と今で通話できちゃったら凄くないか?そしたら、こう君ともいつでもおしゃべりできるな…。あの日コウイチとお昼を食べて話をしてから、俺の精神面は通常に戻った。夜寝るときに、抱き枕がわりにコウイチのスウェットと寝る以外は…。早く洗濯をして返さなければと思うが、なかなかできないでいた。

今回は12年前に飛ぶ。こう君は中3だ。受験生…。
『また大きくなったんだろうな…。』
前回目線が変わらないほど大きくなってたこう君を思い出し、その成長ぶりを想像してみた。きっと今回は背も同じくらいになっているはず…。

螺旋階段を上りきり、白い部屋にたどり着く。右を向いて壁に手を当てる。いつものように音もなく扉が開く。いつものようにコウイチが…。

「は?…誰?」
そこには帽子を目深に被った見知らぬ男が立っていた。

「いらっしゃい。」
奥から聞き覚えのない声が聞こえた。
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