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1年前、「minori's coffee」で(真人)
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「おい真人、今日で最後だ。起きろ。」
部屋をノックする音で起こされた。時計を見ると5時。いつもの時間だ。俺はベッドで起き上がり大きく伸びをした。
屋根裏部屋のように大きく傾斜した天井が左右にあるそこは、このログハウスの2階部分だ。2階には2部屋あり、空いている方に折り畳み式ベッドが置かれて、俺が自由に使わせてもらっていた。壁のゴツゴツした杉の丸太はいろんな表情を見せていて飽きない。木とコーヒーの香りが相まってとても落ち着く空間だった。
「おはようございます。」
1階の洗面所で顔を洗って歯磨きをし、キッチン行くともうすでにトーストが準備してあった。箕田さんがもうカフェエプロンを着けて目玉焼きを焼いている。
「おはよう。今日は卒業試験だ。ブルマンやってみろ。」
『「ミノ・カフェ」に行く前に仕上げろということだ。』
俺は俄かに緊張した。ここ1ヶ月、5時起きで様々なコーヒー豆をローストしていた。ある程度はコツを掴んだ。でも、俺の豆を挽いて店に出す時には半額になっていた。半額のおかげなのか俺の腕がいいのか、「美味しかった。」と言われても判別ができない。「卒業試験」という言葉に、箕田さんが久しぶりに準備してくれた朝食もあまり味がわからないまま飲み込んだ。
「真人、お前付き合ってる子いないのか?」
「えっ?…いませんよ。」
キッチンの隣の作業部屋でローストの最中に話しかけられて、どきっとした。今まであまり雑談しなかった。母のことを聞いたのも初日だけ。話をしなくとも、あまり不自然な気持ちがせず、箕田さんとの生活は心地よかった。
「21だろ?今まで付き合った子は、1人や2人はいたんだろ?ここでもモテてたじゃないか。」
そう、ここで働くようになって大学生や高校生と思われる女の子にたまに声をかけられるようになった。
『付き合ってる人がいるので』
その度に断ってきたが、電話をするわけでもなく、休みなしで淡々と働いてきた俺の姿に疑問が浮かんでもしょうがない。俺は今はただ、あと1年ちょっとの時間が早く過ぎるのを待ち望んでいた。それに、女の子に魅力を感じた事は一度もない。
『あれ…?』
俺はそこで不思議に思った。箕田さんは男だ。体格は俺より少しいいぐらいだが、いつ鍛えているのかと思うほど立派な筋肉に覆われている。毛深いわけではないだろうが、顎髭を生やした姿はワイルドで好感が持てる。トキメイても不思議じゃないのに…。母さんの元カレだから?それとも年が離れているから…?
「好きな人がいるので。」
とりあえず、箕田さんの問いに答えなければと、昔から使っていた言葉を返した。
部屋をノックする音で起こされた。時計を見ると5時。いつもの時間だ。俺はベッドで起き上がり大きく伸びをした。
屋根裏部屋のように大きく傾斜した天井が左右にあるそこは、このログハウスの2階部分だ。2階には2部屋あり、空いている方に折り畳み式ベッドが置かれて、俺が自由に使わせてもらっていた。壁のゴツゴツした杉の丸太はいろんな表情を見せていて飽きない。木とコーヒーの香りが相まってとても落ち着く空間だった。
「おはようございます。」
1階の洗面所で顔を洗って歯磨きをし、キッチン行くともうすでにトーストが準備してあった。箕田さんがもうカフェエプロンを着けて目玉焼きを焼いている。
「おはよう。今日は卒業試験だ。ブルマンやってみろ。」
『「ミノ・カフェ」に行く前に仕上げろということだ。』
俺は俄かに緊張した。ここ1ヶ月、5時起きで様々なコーヒー豆をローストしていた。ある程度はコツを掴んだ。でも、俺の豆を挽いて店に出す時には半額になっていた。半額のおかげなのか俺の腕がいいのか、「美味しかった。」と言われても判別ができない。「卒業試験」という言葉に、箕田さんが久しぶりに準備してくれた朝食もあまり味がわからないまま飲み込んだ。
「真人、お前付き合ってる子いないのか?」
「えっ?…いませんよ。」
キッチンの隣の作業部屋でローストの最中に話しかけられて、どきっとした。今まであまり雑談しなかった。母のことを聞いたのも初日だけ。話をしなくとも、あまり不自然な気持ちがせず、箕田さんとの生活は心地よかった。
「21だろ?今まで付き合った子は、1人や2人はいたんだろ?ここでもモテてたじゃないか。」
そう、ここで働くようになって大学生や高校生と思われる女の子にたまに声をかけられるようになった。
『付き合ってる人がいるので』
その度に断ってきたが、電話をするわけでもなく、休みなしで淡々と働いてきた俺の姿に疑問が浮かんでもしょうがない。俺は今はただ、あと1年ちょっとの時間が早く過ぎるのを待ち望んでいた。それに、女の子に魅力を感じた事は一度もない。
『あれ…?』
俺はそこで不思議に思った。箕田さんは男だ。体格は俺より少しいいぐらいだが、いつ鍛えているのかと思うほど立派な筋肉に覆われている。毛深いわけではないだろうが、顎髭を生やした姿はワイルドで好感が持てる。トキメイても不思議じゃないのに…。母さんの元カレだから?それとも年が離れているから…?
「好きな人がいるので。」
とりあえず、箕田さんの問いに答えなければと、昔から使っていた言葉を返した。
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