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4回目〜2年前〜(悠)
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店の脇から通りに出て、公園に向かって歩き出す。前から女の人が歩いてきて、慌ててメガネのスイッチを入れた。40代?50はいってないだろ?女性の年齢は訳わからん。この前のターゲットもワンピースを着てて歳より若く見えた。
『あの時は暑かったなあ…。』
次の任務は是非夏に行きたい。朝の冷え込みで刺すような空気の中を公園に足を踏み入れた。まだ8時過ぎ。このまま帰ったら早過ぎる?小野寺さんは…仕事に向かっただろうな…?鉢合わせはあまり気が進まない。ま、お互いのために…。噴水の前で少し時間を潰すことにした。
「ただいま戻りました。」
「お帰り。」
9時近くなってようやく戻ってきた。洸一さんは…?相変わらずパソコンの前だ。俺が近づくと、椅子を回して俺に向き直った。
「ターゲットは、引っ越して静岡まで行ってました。」
「ああ。確認した。ご苦労。」
あまり洸一さんを見ずに、後ろにあるテーブルに財布やスマホを置く。…き、気まずい…。
「お前、昨夜はどこに泊まったんだ?」
「……。」
きたっ!正直に言おうと覚悟を決めて来たはずなのに、やはり気まずい…。でも、そんなことよりも確認したいことがある…。
「すみません…真人の…所です。」
「はぁーっ…やっぱり…」
洸一さんの盛大な溜め息が聞こえた。
「すみません。あの…大丈夫でしたか?」
1番聞きたかった事を尋ねる。もし、俺が接触した事で…真人の存在がなくなっていたら…?
「この会話自体が大丈夫だった証拠だろう?」
洸一さんが、俺の財布やスマホを手に取って何やら確認しつつ話し出す。
『?』
俺には何か分からなかった。
「あ、あれ?どういうこと…?」
「もし、真人の身に何かあったなら、俺も真人の存在を知らないはず。飛ぶ前と比べて、俺との会話に不自然な事はあるか?」
スマホを触っていた手を止めて、洸一さんの視線が俺に向けられた。
「いや、全然…。」
「だから、大丈夫だという事だ。お前が…我慢できなかったのは俺にも分かる。」
洸一さんがまたスマホの操作に取り掛かった。ここでようやく息を思いっきり吸うことができた。緊張が解けていく…良かった…。
洸一さんがメガネを持ってまたパソコンの前に座った。
「今朝公園に戻る前にすれ違った女…誰だか分かるか?」
パソコンのキーボードを叩く音が響く。三台並んだ画面の1番左端に、先ほどすれ違った画面が映し出された。俺は無意識に顔を捉えようとしたのだろう。髪が長く、ロングコートを羽織った女性が、こちらをチラッとみて通り過ぎていった。
「いえ…誰ですか?」
「奥村みのり…多分、真人の母親だ。」
画面が変わって先ほどの女性のデータが映し出された。顔写真…間違いない。45歳。住所は…真人と同じ所だった。
『あの時は暑かったなあ…。』
次の任務は是非夏に行きたい。朝の冷え込みで刺すような空気の中を公園に足を踏み入れた。まだ8時過ぎ。このまま帰ったら早過ぎる?小野寺さんは…仕事に向かっただろうな…?鉢合わせはあまり気が進まない。ま、お互いのために…。噴水の前で少し時間を潰すことにした。
「ただいま戻りました。」
「お帰り。」
9時近くなってようやく戻ってきた。洸一さんは…?相変わらずパソコンの前だ。俺が近づくと、椅子を回して俺に向き直った。
「ターゲットは、引っ越して静岡まで行ってました。」
「ああ。確認した。ご苦労。」
あまり洸一さんを見ずに、後ろにあるテーブルに財布やスマホを置く。…き、気まずい…。
「お前、昨夜はどこに泊まったんだ?」
「……。」
きたっ!正直に言おうと覚悟を決めて来たはずなのに、やはり気まずい…。でも、そんなことよりも確認したいことがある…。
「すみません…真人の…所です。」
「はぁーっ…やっぱり…」
洸一さんの盛大な溜め息が聞こえた。
「すみません。あの…大丈夫でしたか?」
1番聞きたかった事を尋ねる。もし、俺が接触した事で…真人の存在がなくなっていたら…?
「この会話自体が大丈夫だった証拠だろう?」
洸一さんが、俺の財布やスマホを手に取って何やら確認しつつ話し出す。
『?』
俺には何か分からなかった。
「あ、あれ?どういうこと…?」
「もし、真人の身に何かあったなら、俺も真人の存在を知らないはず。飛ぶ前と比べて、俺との会話に不自然な事はあるか?」
スマホを触っていた手を止めて、洸一さんの視線が俺に向けられた。
「いや、全然…。」
「だから、大丈夫だという事だ。お前が…我慢できなかったのは俺にも分かる。」
洸一さんがまたスマホの操作に取り掛かった。ここでようやく息を思いっきり吸うことができた。緊張が解けていく…良かった…。
洸一さんがメガネを持ってまたパソコンの前に座った。
「今朝公園に戻る前にすれ違った女…誰だか分かるか?」
パソコンのキーボードを叩く音が響く。三台並んだ画面の1番左端に、先ほどすれ違った画面が映し出された。俺は無意識に顔を捉えようとしたのだろう。髪が長く、ロングコートを羽織った女性が、こちらをチラッとみて通り過ぎていった。
「いえ…誰ですか?」
「奥村みのり…多分、真人の母親だ。」
画面が変わって先ほどの女性のデータが映し出された。顔写真…間違いない。45歳。住所は…真人と同じ所だった。
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