ある時、ある場所で

もこ

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2か月前、「自分の部屋」で(真人)

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「大丈夫よ。」
母さんが箕田さんからタオルを受け取りながら答えた。
「いや…俺、真人に聞いてるんだけど。」
もう、母さんのペースだ。間違いない。俺はこれから先の展開を幾つか思い浮かべながら、身構えた。

「大丈夫。真人のお父さんは真臣さんだから。」
…言ったっ!
箕田さんが椅子をガタッと音立てて立ち上がった。俺は最悪な展開にならないように祈った。無事、2人がくっつきますように…!どうして俺がこんなにドキドキしてなくちゃならないんだ?その間箕田さんは、口を開けたり閉めたりしながら、俺たちを見ていた。

「本当に…?」
「ええ。」
箕田さんは、信じられないって顔をしながら母さんを見た。母さんは少しだけ真面目な顔に戻っていた。俺は、その場から逃げ出したかった。

「…本当なんだな……やっぱりっ!」
箕田さんは、そう言ったかと思うと、俺のところへ飛んできて抱きしめてきた。
「真人!…小学生だったお前を見てた時、俺の小さな頃に似ているとずっと思ってたんだ。…聞けなかった…怖くて…。」

「…箕田さん………父さん…。」
俺は、どうしたら良いかわからなかったが、手を箕田さんの両肩に添えた。父さんの匂い…。初めて感じた父親の香りはコーヒーの香りでいっぱいだった。

「真臣さん、ごめんなさい…。」
母さんがそばに来ていた。俺を抱きしめている真臣さんの腕に手を乗せて、少しだけ俯き、殊勝な顔をしていた。

「奥ちゃん…!」
俺から離れた箕田さんは、母さんの手を取るとキッチンを出て、一緒に店の方へ行ってしまった。誰もいないテーブルに座る。…大丈夫だと信じたい。食事の続きをしようと箸を取ったが、何を口に入れても、何の味もしなかった。

ようやくご飯がなくなるという頃、バタンと扉が開く音がして、2人分の足音が戻ってきた。一旦鎮まりかけた心臓が、また早鐘を打つ。手を繋いで戻ってきた姿を見た時、心からホッとした。

「真人、明日は金曜日だ。仏滅だろうが何だろうが籍入れる。」
箕田さんは、今までに見たことがないほど、精悍な顔つきになっていた。母さんは…少しだけ赤い顔を俺に向けて、にっこり微笑んでいた。

「やったっ!…おめでとう!!母さん…父さんっ!」
立ち上がって2人の所に行く。3人でハグをしながら、人生で何度あるかわからないような幸福感に包まれていた。



「3人で一緒に寝る!」
箕田さん、いや、父さんは譲らなかった。俺と2人で一緒に風呂に入るとも言ってきたが、それは断った。結局「お客さんが泊まる部屋」に、敷き布団を2枚並べ、掛け布団を3枚重なるように掛けて俺たちは横になった。母さんがいつの間にか準備していた3人お揃いのパジャマを身につけて…。

「母さん…良かったね。」
真ん中に横になった母さんに声をかける。父さんはすでに寝ていた。母さんとこうやって一緒に寝るのも小学生以来だ。

「ええ。ありがとう…。…真人?あなたは…いないの?好きな人。」
「いるよ…。ずっと前から…いる…。」
目を瞑る…。ゆうのことを思い浮かべながら、ここまでなら別に言ってもいいかな、そう思っていた。



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