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迷わずその男の隣に歩いて行った。座ってみると、やはり大きい。僕とは20cm以上は違う。左目の下に……ホクロは無いな。でも、あの時会った人はたぶんこのぐらいの背の高さはあったはずだ。
「ねぇ。お兄さん、タチ?」
「……。」
僕の問いかけに答えてはもらえなかった。まだ若いな。20代半ばか……後半っていうところか。
「アキラさん。来ていきなりですか……。」
マスターが呆れ返っている。僕の名前は陽《アキラ》。夜の街ではアキラで通している。ま、本名がバレた所でどうっていう事はないだろうけど、生きにくくなる事は間違いがない。
「だっていい男はちゃんとキープしておかなっきゃ。」
知ってるくせに……! マスターに膨れて見せる。僕が昔会った人を探しているっていうこと。ここにはいい男を眺めに来ているっていうこと。
「僕、アキラ。よろしく。お兄さん、名前は?」
「……洸一。」
こういちか……。この名前も本当だとは限らない。でも、別にいい。
「歳は?」
「二十歳。」
へっ!? ハタチっ? 僕より2つも下なの? マスターも目を丸くしている。……だよね? 二十歳には見えないよね?
「びっくり!僕より年上だと思ってた。お兄さん、落ち着いてるね?」
こういちさんは、僕の言葉に、鼻でフッと笑って、またウィスキーに口をつけた。その落ち着きが二十歳にはとても見えない。黙って飲んでる横顔から目が離せない……何か、何かが僕と同じような気がするんだ。
「ここは初めて?」
初めてだろうな。頻繁に来ていた僕と会ったことがないんだから。
「ああ。」
ほら、当たり。マスターがギムレットを作って出してくれた。この後で大抵おつまみを出してくれる。ここに来るときには、頼まなくても大丈夫な僕のルーティン。一口飲んで、グラス越しに見てみる。うん、やっぱりいい男だ。でも……。
「こういちさん、男、経験ないでしょ?」
「……ああ。」
「やっぱり。ノンケ? でもないか……。男に恋したことはありそう。」
そうじゃなければ、「J」には来ない。ここは口伝えで集まってくる隠れ家なんだから。こういちさんが、驚いた顔でこちらを見てきた。真正面から見ると、目が鋭い。女の子にはモテるだろう……。誰でもよりどりみどり、っていうところか……。
「ねえ、こういちさん、この後時間ある?」
後ろを向いて、顔を見ないようにして寄りかかってみた。うん、頑丈そう……。全然僕の探している人とは似てないけれど、何故かもう少しだけ知りたいような気がする。何が僕と同じなのか……。
「僕が教えてあげる。」
「……。」
誘ってみたのは初めてだ。……ノルかな? しばらくすると、体を押された。こういちさんが立ち上がる。無言で財布からお金を出して……。
「マスター、今日は帰るね。」
黙って出て行く彼の後を追うように、僕も店を後にした。
「ねぇ。お兄さん、タチ?」
「……。」
僕の問いかけに答えてはもらえなかった。まだ若いな。20代半ばか……後半っていうところか。
「アキラさん。来ていきなりですか……。」
マスターが呆れ返っている。僕の名前は陽《アキラ》。夜の街ではアキラで通している。ま、本名がバレた所でどうっていう事はないだろうけど、生きにくくなる事は間違いがない。
「だっていい男はちゃんとキープしておかなっきゃ。」
知ってるくせに……! マスターに膨れて見せる。僕が昔会った人を探しているっていうこと。ここにはいい男を眺めに来ているっていうこと。
「僕、アキラ。よろしく。お兄さん、名前は?」
「……洸一。」
こういちか……。この名前も本当だとは限らない。でも、別にいい。
「歳は?」
「二十歳。」
へっ!? ハタチっ? 僕より2つも下なの? マスターも目を丸くしている。……だよね? 二十歳には見えないよね?
「びっくり!僕より年上だと思ってた。お兄さん、落ち着いてるね?」
こういちさんは、僕の言葉に、鼻でフッと笑って、またウィスキーに口をつけた。その落ち着きが二十歳にはとても見えない。黙って飲んでる横顔から目が離せない……何か、何かが僕と同じような気がするんだ。
「ここは初めて?」
初めてだろうな。頻繁に来ていた僕と会ったことがないんだから。
「ああ。」
ほら、当たり。マスターがギムレットを作って出してくれた。この後で大抵おつまみを出してくれる。ここに来るときには、頼まなくても大丈夫な僕のルーティン。一口飲んで、グラス越しに見てみる。うん、やっぱりいい男だ。でも……。
「こういちさん、男、経験ないでしょ?」
「……ああ。」
「やっぱり。ノンケ? でもないか……。男に恋したことはありそう。」
そうじゃなければ、「J」には来ない。ここは口伝えで集まってくる隠れ家なんだから。こういちさんが、驚いた顔でこちらを見てきた。真正面から見ると、目が鋭い。女の子にはモテるだろう……。誰でもよりどりみどり、っていうところか……。
「ねえ、こういちさん、この後時間ある?」
後ろを向いて、顔を見ないようにして寄りかかってみた。うん、頑丈そう……。全然僕の探している人とは似てないけれど、何故かもう少しだけ知りたいような気がする。何が僕と同じなのか……。
「僕が教えてあげる。」
「……。」
誘ってみたのは初めてだ。……ノルかな? しばらくすると、体を押された。こういちさんが立ち上がる。無言で財布からお金を出して……。
「マスター、今日は帰るね。」
黙って出て行く彼の後を追うように、僕も店を後にした。
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