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その線はもう見たくない
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「久しぶりねー。元気だった?」
「ああ。」
2月になってテストも終わっていたが、借りていた本を返そうと大学の図書館に寄ったところで、奈々美に会った。久しぶりにカフェでお茶をすることにする。
「3ヶ月?もしかしたらもっと?あのレストランぶりじゃない?顔合わせるの。」
「そうだな。」
白いコートを脱いで、水色のタートルネックのセーターに身につけた奈々美がにっこり笑った。奈々美の取っている授業が少ないからか、そんなに頻繁に会うわけではなかったが、こんなに会わなかったのは初めてだった。
「あの時の子、優乃って言うんだけどね、あそこで働いている駿に一目惚れして私に見せたかったんだって。びっくりしたわー、ほんとに。」
「奈々美の声に俺はびっくりしたけどな。」
あの時のことを思い出して苦笑する。
「まあ…ね。どんなカッコいい男かと思ったら駿じゃない?あの時は振られたばかりだったし。」
「振られたなんて……。」
ま、振ったのか?コイツはサバサバしてるから、あまり深く考えてはなさそうだったが、意外と繊細な面もあるのかもしれない。
「……彼女できた?」
一呼吸おいて上目遣いに見てきた奈々美に、ああ、悪いことをしたという思いが込み上げる。
「いや、夏から独り身をエンジョイしている。」
「エンジョイ?いろんな子をつまみ喰いして?」
「バーカ。つまむはずないだろ。」
少し暑い。俺も革ジャンを脱いで、椅子の背にかけた。
「だって……イブの日も……」
「熱があったんだ。昼間ずっと寝てて、夜は両親と一緒に煮込みうどんを食べてた。」
真正面から奈々美を見る。必要以上に期待は持たせたくはないが、変な誤解はして欲しくない。
「プッ、ふふふふ。イブに煮込みうどんだなんてっ!」
「ケーキと鳥もももついてた。サラダもフルーツもあった。ま、食べられなかったけどな。」
奈々美らしい笑顔が溢れたところでホッとする。
「じゃあ、初詣に誘えば良かった。変な奴と行っちゃったわ。」
「……彼氏?」
「そう。ようやく別れられた。ちょっと今回はヤバかった。」
校内で会わなかったのはソイツと会ってたからか?ヤバイというのは……。聞きたいような気もするが、俺が聞くのも違う気がして慎重に言葉を選んだ。
「大丈夫なのか?」
「大丈夫。円満に別れたし。もうアイツは他の子のとこに行ったし。ね、駿、またこうやってちょくちょくお茶しよう、ね?」
「ああ。」
奈々美に恋愛感情があるかといえばそうとは言えない。しかし、他の女たちよりは身近なことは確かだ。こうやって話をする事にはなんの異論もなかった。
「ああ。」
2月になってテストも終わっていたが、借りていた本を返そうと大学の図書館に寄ったところで、奈々美に会った。久しぶりにカフェでお茶をすることにする。
「3ヶ月?もしかしたらもっと?あのレストランぶりじゃない?顔合わせるの。」
「そうだな。」
白いコートを脱いで、水色のタートルネックのセーターに身につけた奈々美がにっこり笑った。奈々美の取っている授業が少ないからか、そんなに頻繁に会うわけではなかったが、こんなに会わなかったのは初めてだった。
「あの時の子、優乃って言うんだけどね、あそこで働いている駿に一目惚れして私に見せたかったんだって。びっくりしたわー、ほんとに。」
「奈々美の声に俺はびっくりしたけどな。」
あの時のことを思い出して苦笑する。
「まあ…ね。どんなカッコいい男かと思ったら駿じゃない?あの時は振られたばかりだったし。」
「振られたなんて……。」
ま、振ったのか?コイツはサバサバしてるから、あまり深く考えてはなさそうだったが、意外と繊細な面もあるのかもしれない。
「……彼女できた?」
一呼吸おいて上目遣いに見てきた奈々美に、ああ、悪いことをしたという思いが込み上げる。
「いや、夏から独り身をエンジョイしている。」
「エンジョイ?いろんな子をつまみ喰いして?」
「バーカ。つまむはずないだろ。」
少し暑い。俺も革ジャンを脱いで、椅子の背にかけた。
「だって……イブの日も……」
「熱があったんだ。昼間ずっと寝てて、夜は両親と一緒に煮込みうどんを食べてた。」
真正面から奈々美を見る。必要以上に期待は持たせたくはないが、変な誤解はして欲しくない。
「プッ、ふふふふ。イブに煮込みうどんだなんてっ!」
「ケーキと鳥もももついてた。サラダもフルーツもあった。ま、食べられなかったけどな。」
奈々美らしい笑顔が溢れたところでホッとする。
「じゃあ、初詣に誘えば良かった。変な奴と行っちゃったわ。」
「……彼氏?」
「そう。ようやく別れられた。ちょっと今回はヤバかった。」
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「大丈夫なのか?」
「大丈夫。円満に別れたし。もうアイツは他の子のとこに行ったし。ね、駿、またこうやってちょくちょくお茶しよう、ね?」
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