僕とオオカミどものシェアハウス

もこ

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教育実習四週目

18

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「こ、こ、こっ、これっ!」
「そう。カズが佐々木先生に渡したものだろ?」

 手紙は封筒以上にしわくちゃになっていて、折り目の所が少し擦り切れているように見えた。はっきり言えばボロボロになりかかっているけれども、確かについ先日自分が書いたものだった。

「ど、ど、どうして?」
「ちょっとだけ座ろう。」

 トモと東屋にある長椅子に並んで座る。僕の左側に座ったトモは、大事そうに手紙を畳んで封筒にしまった。手紙を自分の横にそっと置くと、僕の方へ体を向けた。

「俺とユウ、リョウは同じ会社に勤めている。」
 トモが何かを考えているようにゆっくりと話し始めた。うん、それは前にも聞いた。何処なんだろうと思っていたことを思い出した。

「どこ?」
「F.O企画株式会社。ショッピングモール『FOUR』に行ったことは?」
「あ、ないけど聞いたことはあります。ちょっとここからは遠いですよね?」

 そのショッピングモールの噂は聞いたことがある。ここから離れているから、行く気持ちになったことはないけれども、その街1番の大きなショッピングモールで毎日賑わっているという噂だ。大学の知り合いたちは結構足を運んでいると思う。

「そうだな。車がないと、ここからは不便かもしれない。そのショッピングモールの地下にある会社だ。」
「ショッピングモールに勤めているということですか?」

 確か開発する仕事をしていると聞いたような……。食品? 衣類のデザイン? あれ? リョウは技術部とかっていってなかったっけ?

「ショッピングモールは隠れ蓑。地下では広大な敷地を使ってあらゆる開発や、製品を作る仕事をしている。そして、3階建てのそこには、隠された4階部分がある。」
「隠された?」

 トモが何を言おうとしているのかはさっぱり分からなかったけれど、何か重要なことを言わんとしている気がする。一つ一つの言葉を理解したかった。

「そう。4階にあるその場所は時間と場所の特異点。国からの補助を受けて、過去や未来、場所の移動などの研究が進められてきた。12年後は宇宙開発に力を入れている。」
「えっ? 待って、ちょっと待ってください。」

 過去? 未来? それに宇宙? トモが何を言い出したのか分からずに頭が混乱した。トモの腕が伸びてくる。僕の右肩を包むようにして体が引き寄せられた。

「分かっている。混乱するだろ? でもカズにだけは理解して欲しい。俺は12年後の未来からやってきた。カズに会いたい。その気持ちだけを抱いて……。」

 頭の上から声が聞こえる。トモの顔がそっと動いて、こめかみの上に優しくキスが降ってきた。

 もう少しで沈もうとする太陽が東屋とその下に座る僕たちの影を長く引き伸ばしていた。さっきまでサラサラと音を立てていた風も止み、聞こえるのは自分の心臓の音だけだった。


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