僕とオオカミどものシェアハウス

もこ

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オオカミは1人だけ

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「えっ? 明日?」
 急な日程に僕は何が何だか分からなかった。

「そう、明日。カズはトモと一緒にいることを選んだんだろ? 言っとくけど、もうトモを引き剥がそうとしても無理だから覚悟して? こいつ12年間で相当拗らせているから。別れを切り出したら何をしでかすか分からない。」
「おいっ! それほど…………じゃない。」

 ユウの言葉に隣のトモが呟く。声がだんだん小さくなって、何だか歯切れが悪い。こちらを見ようともしない。説明を求めてユウを見るとリョウのようにニヤついていた。リョウも呆然とした顔でユウとトモを見比べている。

「ま、それは追々聞いてやって? カズに夢中なのは間違いない。さっき降りてきた時のトモの顔を見せたいぐらいだったよ。」
「おいっ! やめろ。」

 あはははっ! と笑うユウとは対照的にトモはピザを咀嚼しながら僕の方を見ようともしなかった。耳がほんのりと赤くなっている。僕もつられたように耳が熱くなってきた。

「俺もリョウをゲットできて満足。リョウ? もう誰とも遊ばせないからな? 俺以外の奴とヤったらお仕置きを覚悟して?」
「ユウっ!」

 抗議をしようとしたリョウの頬を両手で包み込み、ユウが僕たちの前でリョウの唇を奪った。めちゃくちゃ濃厚なキスだ。僕は一口だけ齧ったばかりのピザを手にしながら、視線が外せなかった。

「ぷはっ、はっ、……ユウっ!」
 真っ赤な顔をしたリョウが抗議をしようとしてたけど、ユウが笑いながらリョウに囁いた。

「これ以上のことをこの2人には見られてるんだぞ? 何を今更。」
 リョウの口がパクパクと動き、真っ赤な顔のままユウを見つめた。言葉が出ないようだった。

「ということで、俺らは明日12年後に戻る。12年後みんなで会おう。いや、カズは33? トモは39歳か! ふはははっ! 楽しみ。」

 ユウの言葉で12年後の今日、3人の務める会社があるショッピングモールで会うことを約束した。何だか……何だか変な感じがする。

「変な感じ。あっちに帰ったら普通に39歳のトモが働いているんだろ? きっと。僕たちとはどんな付き合いをしているわけ? 僕たちの上司にでもなっているの?」

 リョウも僕と同じ思いを抱いたらしい。リョウの言葉を聞いてトモが顔を上げた。

「俺は多分、これからずっと4階の一部屋で仕事をすることになる。所長にそう指示を受けてる。たまに地下に行くこともあるだろうが、あの環境なら分からないだろう。」

 トモの言葉で2人は納得したような顔をしていたけど、僕には何も分からなかった。

「俺は1人でお前らのことを見てニヤついているさ。5年間は小池基治とも同僚になるんだ。なるべく会わないようにしないと。12年前の俺が過去に飛んで初めてお前たちの前に姿を見せることができる。」

 トモの説明を聞いていたユウとリョウの2人は真面目な顔に戻っていた。

「なるほどな。トモ、お前そこまで具体的に指示を受けてたってことは、帰る気なんかなかったんだろ?」

 ユウが口を開くと、トモが僕の方を見て微笑んだ。

「まあな。何年かかってもカズを落とす気でいた。」
「それが一晩で! いや、落としやすくてよかったよな?」

 3人の笑い声が響く。えっ? 僕って落としやすい人種? えっ? チョロかった? 3人の笑顔に囲まれながら、顔がどんどん熱くなるのを感じていた。

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