自分とアイツ、俺とオマエ

もこ

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遭遇4 〜侑〜

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『お弁当を買うか、家に帰るか……。』

 今日は午前中で授業は終わり。杏が学校に来なかったから、お昼をどうするか悩み中。お弁当を買ってベンチで一人で食べるか、家に帰るか。でも足は自然に購買の方に向かっていた。

「侑香ちゃん、一緒に食べよ?」

 そう言ってきた友だちの誘いは断った。そんなに仲良くもない女4人で同じテーブルを囲んで、楽しいわけがない。「速攻で図書館に行きたいから。」の理由はちょっとだけ無理があった? ま、いいや。

 図書館に行けば、最近、必ず和樹が入り口近くのテーブルで本を読んでる。目が合えば軽く会釈はするけど、そのまま通り過ぎる。けれど、和樹が何か言いたそうにしているのが感じられて、とても居心地が悪い。次第に図書館に通う足が遠のいていた。

 購買の2階に学食はあるから、たくさんの学生がみんな同じ方向に歩いている。講義の話、彼氏、彼女の話、ゲームやアニメの話。それぞれが楽しそうに話をしてるのが聞こえてくるけど、皆がみな楽しいのかな? 無理して喋っている人も中にはいそう。

 自分は大勢の中では、結構無言になる。無理矢理話に割り込んで楽しさを演出したくないし、反論があってもそれを披露して友だちの反感をかいたくない。同意できる時だけ「そうだね。」「分かる。」と呟くぐらい。

 周りからは、変な人認定されてるとは思うけど、あからさまにそんな目で見てくる子はいないから、いつもこんな調子。みんな大人だよね。

『ん? タバコ臭い?』

 購買の入り口まで来たとき、微かに煙草の香りが漂ってきた。大学《ここ》では敷地内全面禁煙なはず。煙草を吸う友だちはわざわざ、誰もいない駐車場の奥の森の中で吸ってると聞いたことがある。誰だろう? そう思いながら、購買に入ってお弁当コーナーに立ち寄った。

『揚げ物っていう気はしないし……麻婆丼かな?』

 麻婆丼とお茶を買い込み購買を後にする。外のベンチで食べるのはちょっと寒い。友だちの誘いを断った手前、学食には行きたくない。図書館は飲食禁止だし。……となると、どこかの空き教室で。

『一番近いF棟に行こ。』
 食べたら、図書館で雑誌をチェック。新しい音楽雑誌が入った頃。和樹がいても居なくても関係ない。それからのんびりと家に帰ろう。

 そんな事を考えながら、歩き始めたとき、後ろから誰かに呼び止められた。

「おい。……侑。」

 振り返ると、1週間前に一緒のタクシーに乗った男がこちらに歩いてくる所だった。

「何? っていうか何でここに? 仕事?」

 初めてこの人と会った時には、沢山のダンボールを積んだ台車を押してた。今は台車はないけど、服があの時と同じように見えた。スーツの上に紺のジャンパー。少しガニ股で歩く姿があの時のまま。最後に会った時には、そんなに感じなかったけど。夜だったからかな?

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